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不登校と待つ姿勢 〜家から出られない 家族以外の人と関われない〜

看護師 乾愛子


 訪問看護では、社会との接点もなく、部屋に引きこもり、長く不登校のお子様と関わることもあります。学校の先生とも距離をとり、家族以外との接触を拒むケースもたくさんあります。

 会えるのかどうかわからず訪問することも多いです。

 車の止まる音、チャイム、玄関のドアを開けて聞こえてくる声など、自分に会いに誰かが来ていることは感じているはずと思い、私は会えなくても訪問することを大切にしています。

 会えずにご家族のお話を聞いて終わる事もありますが、そんな時はご本人宛に、「また来るね」という小さなメモを残して帰るようにしています。

 直接的ではない関わりの継続の結果、会えた時は心から嬉しく、その気持ちはご本人にもきっと伝わるのだと思います。

 学校に行く行かないよりも、ただ会いたくて、一緒に過ごしたくて来ています、一緒にいる時間は楽しく過ごそう、という思いを大切に関わっています。

 ですので、生活習慣や学校の話は、ご本人から話してくれるまで待つ姿勢でいます。そしてその思いはご家族とも共有し、ご本人だけでなくご家族との意思疎通も大切にしながら、訪問しています。

 そうして少しずつ信頼関係が出来ていきます。

 訪問看護をしていく中で、ご本人が自ら少しずつ外の世界に興味を持つようになり、ずっと引きこもっていた家から出て、外部のイベントに参加する変化が見られた時、この仕事をしていて良かったと心から嬉しく思います。

 待つ姿勢の継続で、現在、少しずつ社会参加ができるようになってきました。

 その喜びも共有しています。

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