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おすすめの推薦図書【トラウマ治療編】

こんにちは。
うるま心理相談室ココロンの心理士・とねがわです。

今回は、私のおすすめするトラウマ関連の書籍を紹介します。
おすすめの…という意味合いもあれば、私のブログの参考文献のような意味合いも両方あります。

「普段、こんな目的で相談者の方にもおすすめしています」という観点で紹介できればと思います。

注意点としては、必ず読まなければいけないものではまったくない、という点です。

書籍はそうした情報のインプットが得意な方には適していますが、必ずしも皆がそうではなく、むしろこういう本を開くことすら、何が出てくるかわからない不安・怖さを感じる人もいます。

そういう方は、華麗にスルーしていただいてなんの問題もありません。

必要な情報は、自分が必要だなと思ったとき、自分の信頼する人から得てください。

せっかくの有益な情報も、伝わる文脈によっては、薬にもなれば害にもなります。

したがって本記事の活用は、なるべくこの記事を読んだご本人の自己使用に留めていただくのが安全です。

なので例えば
・親御さん→こどもへ
・支援者→クライエントへ
・友人→友人へ

に勧めるとして、相手がその当事者の場合、「今のタイミングで紹介することが本当に適切なのかどうか?」についてはカウンセラーと一度相談されることをおすすめします。

しかして、一方で今回も紹介する、セラピストのジェニーナ・フィッシャーが

トラウマサバイバーにとって最も必要なものは情報だ

と喝破したように、専門的な知識を持つことによって、ご本人が
・過度に自分を責めなくていいんだ、と学ぶことができたり、
・今、自分に起きていることを距離をもって、俯瞰して見れるようになったり

といったメリットは期待できます。

そんな流れの上で、今だったら少し余裕をもって読めるかも、と感じる方はぜひ情報までに今回の記事をご覧ください。

※私もすべての本を読めているわけではないので、あくまで主観的なセレクトになることをご了承ください。

1、まず、最初におすすめする本

不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方 ポリヴェーガル理論の第一人者が教える47のコツ

トラウマのことがわかる本 生きづらさを軽くするためにできること (健康ライブラリーイラスト版)

・上記の2冊は、イントロのイントロとして読んでいただくのに最適です。

・特に「安心のタネ」は、非常にゆるいネコちゃんのイラスト付きで、日常の中でできるセルフケアの方法も紹介されており「自分は敏感さんだな」と感じる人にまずおすすめしています。評判もいいです◎

2、もう少し詳しく知りたい方へ

「いごこち」神経系アプローチ 4つのゾーンを知って安全に自分を癒やす

レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒

どちらも「安心のタネ」の著者、浅井咲子さんの著書&翻訳書です。
浅井さんの本は基本的に内容の信頼性が高くおすすめしやすいです。
「レジリエンスを育む」は愛着とトラウマの関連について深くまとまった名著。

3、当事者に向けて書かれた本

サバイバーとセラピストのためのトラウマ変容ワークブック―トラウマの生ける遺産を変容させる

複雑性トラウマ・愛着・解離がわかる本

こころを癒すノート:トラウマの認知処理療法自習帳

・「サバイバーとセラピストのトラウマ変容ワークブック」は、私の最もフェイバリットの本で、やはり浅井さんの翻訳ですが、厚さの薄い本なのに必要な情報がすべてコンパクトにまとまった当事者の方にまずおすすめしたい本No.1です。当事者の方のこころに寄り添ってくれる本当に素敵な文章です。私もいまだに目から鱗の連続。

・「複雑性トラウマ・愛着・解離がわかる本」は私の中で頭ひとつ抜けていて、この本の中で丁寧に述べられていることはトラウマケアに限らず、本当に優れたセラピストの態度のそれだと思います。

・「こころを癒すノート」は認知処理療法(CPT)という有効性の高い方法論で、ホームワーク形式でできるようになっています。

3、フラッシュバックに苦しむ方へ

・フラッシュバックの対処と予防 服部信子

フラッシュバックだけについて述べられた本は、意外にほとんどなく、その意味で貴重な一冊。応急処置としておすすめ。

4、支援者におすすめしたい本

トラウマインフォームドケア :“問題行動"を捉えなおす援助の視点

この本についてはnoteですでに紹介済みなので、省略しますね。

5、解離症状のことで困っている方へ

トラウマによる解離からの回復:断片化された「わたしたち」を癒す

私の中に住む人たち: IFS(内的家族システム)へのお誘い Kindle版

・私たちの中には、適応のために生み出されたこころの役割パートが幾つかあり、それを「解離パーツ」と呼んでいます。パーツ同士の意見がぶつかっていたり、繋がり合っていないと、毎日の決断に葛藤が生まれ、苦しくなります。解離そのものに効くのは私の知る限り、今のところ「パーツワーク」のみです。

・「私の中に住む住人たち」は電子書籍ですが、ゆるいイラストでそこら辺の事情をわかりやすく説明してくれます。

6、もっと詳しく知りたい方へ

構造的解離-慢性外傷の理解と治療-上巻(基本概念編)

「ポリヴェーガル理論」を読む -からだ・こころ・社会-

・「構造的解離(Haunted Self)」はトラウマを徹底的に解離の視点から読み解く、という意味で、重要な理論書です。フロイトの影に隠れたジャネの功績が、時を経て現代に蘇ります。パーツについてもっと深めたい方向け。
でも「サバイバーとセラピストのトラウマ変容ワークブック」の中にも要点はまとまって紹介されてはいます。下巻の翻訳が10年以上待たれている状態です。

・どちらも骨太な本です。

悩み「保護者の方向けの本がない…!」

目下、私の悩みは、当事者や支援者向けの本はあっても、保護者の方[に]向けた本がない、ということです。(しいておすすめしているのは「安心のタネ」)

【保護者の方の立場から】ではどうしていけばいいのか?に関する本がどうも見当たらないのです。
そしてトラウマという考え方は、えてして親御さんにとって「私たちの育て方が悪かったのだろうか…」という不安を与えます。

しかし私としては、それは本意ではありません。

トラウマという概念は、自動的に、暗黙に「加害者と被害者」という構造を前提としていますが、それがこの理論の欠点でもあります。
その発想だけでは救われないケースが存在します。

子どもの支援が重要な一方で、それを支える家族の側のサポートも必要だということを私は特に強調したいです。

したがって、もし子どもや家族への対応にお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ相談のドアを叩いていただければと考える次第です。

個別個別の事情について、私は丁寧にお伺いしたいと思います。

終わりに

以上、13冊をご紹介しました。

私が個人的にお勧めの読み進め方としては、

①「安心のタネ」(導入)
②「サバイバーとセラピストのトラウマ変容ワークブック」(必要知識)
順不同で
③「フラッシュバックの対処と予防」(応急処置)
③「トラウマによる解離からの回復」(解離の対応)

④「トラウマインフォームドケア」(公衆衛生)
⑤   必要に応じて、他の解離についての学び

の順をおすすめします。

そのほかにもいい本あるよ!という方は、ぜひコメント欄に情報いただけるとありがたいです。

今回、色々まとめてみて、いつかココロンの本棚を「ブクログ(booklog)」で紹介しても面白いなと思いました。それはまた時間あるときに。

最後までご覧いただきありがとうございました☺︎

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