水の基本 ―ヘンなおばさんにならないために―

(読了目安9分)

今回は身近な「水」について、基本的なことを書きます。
みなさんが将来「ヘンなおばさん」になるかならないかの分かれ道です。
「ヘンなおばさん」には「ヘンなおじさん」が近づいてきますから、知らなかった人は、この際しっかり覚えてしまいましょう。


以下のテーマに沿って書きますね。

◎白い浮遊物はなに?
◎ミネラルウォーターは身体にいいの?
◎ミネラルウォーターはおいしいの?
◎ミネラルウォーターはダイエットにいいの?
◎軟水・硬水って?
◎温泉
◎まとめ
◎余談


◎白い浮遊物はなに?


ではさっそく質問です。
写真は、コップの水の中に氷を入れたものですが、白い浮遊物があるのがわかります。
その白い浮遊物はいったいなんでしょうか。
写真全体に浮遊物はありますが、中央に大きめの白い浮遊物があります。
写真右上部はミネラルウォーターで作った氷です。

白い浮遊物



正解は、「ミネラルの結晶(主にカルシウムとマグネシウム)」です。
自宅で氷を作ると、ほとんどの場合、真ん中が白くなりますよね。
白い部分の正体は、「空気」と「ミネラル」なんです。
空気はすぐに上に向かいますが、ミネラルは浮遊します。
水にミネラル成分が多いほど、氷から浮遊物が出る傾向が強くなります。


※通常、氷を使うのは湿度の多い夏ですから、冷えたコップの周りはすぐに結露し、中の浮遊物が見えないことがほとんどです。
この写真は、冬の湿度が低い環境で、実際は「ぬるま湯」の中に氷を入れて結露を防ぎ、観察しやすくしています。


以前この浮遊物を「カビだ!」と騒いだ人たちがいて、一時的に社会問題になったことがありました。
それをきっかけにしてなのかわかりませんが、現在売られているミネラルウォーターのペットボトルには、写真中央のような注意書きがあります。

「加熱したり凍らせたりすると白い結晶が浮遊することがありますが、これは天然のミネラル成分が結晶したものですので、品質に問題はありません」

注意書き





ということで、氷が入った水の中の白い浮遊物を「カビだ!」と騒いだら、「ヘンなおばさん」になってしまいます。
まして、「ミネラルウォーターは身体にいい」と言っている人が、ミネラルの結晶を見て「カビだ!」なんて叫んでいたら、知恵のある人たちは、きっとそのヘンなおばさんから距離を置きます。
もちろんカビの可能性はゼロではないですが、「ミネラルの結晶かもしれない」という考えも頭に入れておかないと「カビよ!どうしてくれるの!」などと叫んでしまい、引っ込みがつかなくなってしまうかもしれません。


上の写真の説明にもあるように、「加熱」でも同様のことがあります。
理由は、加熱することによる水分の蒸発により、蒸発することのないミネラルが残るからです。
わかりやすいのが、「保温ポット」です。
保温ポットは常に高温のため、条件によっては白い結晶ができ、それが剥がれてお湯の中に戻ってしまい、浮遊することがあります。


下の写真は、保温ポットですが、金属部分の淵や内側に白い結晶が見られます。
これらの結晶が、水を入れたときの金属の急な冷却(体積変化)をきっかけにして剥がれ落ちると、ポットの中で浮遊するわけです。

内側に白い付着物




同じように、ヤカンの内側にこびりついた白い結晶もミネラルです。
中のお湯が減って「空だき」状態になってしまうと、水分が蒸発し、内側にミネラルだけが残り、白く見えるわけです。
※最後の方に、マスターがやった実験の写真を貼っておきますね


以下、もうちょっと続けましょう。
みなさんは、「ヘンなおばさん」になっていませんか?



◎ミネラルウォーターは身体にいいの?


いろいろな視点から考えると、「身体にいい」と言える場合もありますが、ミネラルウォーターだから身体にいいという意味だと語弊があります。
水に溶け込んでいるミネラルは、医学的には、「ほとんど身体に吸収されない」と言われているからです。
ミネラル類をとりたいなら、食品からの方が効率的だと言われています。
ミネラルウォーターが身体にいいと思っている人の多くは、テレビコマーシャルや雑誌が、そう誤解させるような販売戦略をしているからかもしれません。
ミネラルウォーターは、無料でたくさん手に入るため、多くの企業が売りたがっているんです。
「身体にいい」というより、「身体に悪くない」と言った方が的確と言えます。
ということで、「ミネラルウォーターは身体にいい!」と、大きな声で言ってしまうと、「ヘンなおばさん」になってしまいます。



◎ミネラルウォーターはおいしいの?


水の味は、「温度」と「のどの渇き」で決まる場合がほとんどです。
ですから、ミネラルウォーターだからおいしいというわけではなく、「水道水」でも「蒸留水」でも、「温度・のどの渇き」、という条件が整えばおいしいと言えます。
やはりこれも企業の販売戦略により、「ミネラルウォーターだけがおいしい」と勘違いさせられているのかもしれません。
極端に硬度が高いミネラルウォーターは、むしろ「まずい」と感じる人も多いです。
「コントレックス」という超硬水はその一例で、実際マスターは飲みたくないです。
ということで、「ミネラルウォーターはおいしい!」と、大きな声で言ってしまうと、「ヘンなおばさん」になってしまいます。



◎ミネラルウォーターはダイエットにいいの?


超硬水は、人によっては下剤の役割を果たすものもあり、上にも書いた「コントレックス」が一部の女性たちの間で、便秘解消やダイエット効果があると誤解されています。


飲めばお腹がゆるくなるので、便秘解消の効果はあると言えるかもしれませんが、基本的に水ですから、特にコントレックスがダイエットに効くというわけではありません。


コントレックスを下剤として使うという考えについては、それはどうしてものときであって、下剤系のダイエットを慢性的に続けると身体によくないのはわかると思います。

ということで、「ミネラルウォーターはダイエットにいい!」と、大きな声で言ってしまうと、「ヘンなおばさん」になってしまいます。



◎軟水・硬水って?


ミネラルウォーターを現す基準に、「硬度」というものがあります。
硬度とは、水に含まれているミネラルの量で決まります。

以下、ウィキペディアの「硬度(水)」のページから引用すると下記になります。
Wikipediaより
硬度(水)

軟水 0 - 60未満
中程度の軟水(中硬水)
60 - 120未満
硬水
120 - 180未満
非常な硬水
180以上

「蒸留水・純水」は、ミネラルがゼロですから硬度ゼロです。
「ミネラルウォーター」は、硬度がある水です。
※ちなみに、日本の水道水は、場所によりばらつきがありますが、硬度30~50の「軟水」と呼ばれる水が多いようです。


含まれるミネラルの量が多いほど、硬い水、「硬水」と呼ばれます。
世間では、硬度が低い水ほど料理に向いていると言われ、コーヒーの味も、硬度が低いほどおいしくなる傾向です。
また、洗剤の「落ち」も、硬度が低い水ほど洗剤をよく落とし、多くの面で、硬度が低いほど利用価値が高いとされています。
そのため、「硬水」から「軟水」を作るための「軟水器」というものも売られています。
人々が求めているものは「軟水」、つまりミネラルが少ない水ということです。


以下の写真を見てみてください。
中央に「硬度・・・約30mg/L(軟水)」とあります。
このように、1リットル当たり30ミリグラムのミネラルが入っているものを、「硬度30の水」と表現します。
さらにその下の写真は、この水を100cc、テフロンのフライパンに入れ、蒸発させた写真です。
フライパンには白い粉が残りますが、それがミネラルです。

硬度30




以下は硬度30の水を100cc蒸発させたものです。
左上の白いものがミネラルです。

左上の白いあとがミネラル


拡大するとこんな感じです。
指でこすると粉状になります。

水が蒸発した後に残ったミネラル



硬度30の水を100cc飲むと、写真の白い粉を全部摂ることになるわけです。
1リットル当たり30ミリグラムのミネラルを含む水ですから、100ccに含まれるミネラルの重さは3ミリグラムということになります。
つまり、写真に写っている白い粉の重さは、3ミリグラムです。
たとえば、上にも書いた「便秘やダイエットに効果がある」と言われる、超硬水の「コントレックス」は、硬度が1000以上の水ですから、1リットル飲むと、この白い粉を1グラム以上摂取することになるわけです。
具体的には、コントレックスを1リットル飲むと、写真にある白い粉の量の約300倍を摂取するということになります。
コントレックスに下剤の効果があるなら、この粉によって下痢の症状が生まれるということです。



◎温泉


熱い温泉が出ている「出口」には、白やベージュの塊がありますが、まさにこれがミネラルです。
「飲む温泉」という言葉があるように、「温泉」もミネラルウォーターの一種です。
井戸水より温度が高いため、温泉の出口では水分が蒸発し、ミネラル成分だけが蓄積され、塊になっていくわけです。
飲むためのミネラルウォーターは、温泉より、ニオイや色、ミネラル成分などの影響が少ないものだと言えます。


◎まとめ


氷の中の白い部分には、空気とミネラルが含まれています。
水の中に氷を入れ、白い浮遊物を見たとき、「カビ」と判断するか「ミネラル」と判断するかで、その人の知恵の度合いが試されます。
「カビよ!」と短絡的に判断するのは「ヘンなおばさん」です。
「ヘンなおばさん」に近づいてくるのは、「ヘンなおじさん」だけです。


水に関して疑問に思ったことは、積極的に調べてみてください。
いろいろな意見を客観的に見ることができれば、本質に近づけるはずです。




以上です。
最後までありがとうございました。

・・・

投稿タイトル一覧は以下です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?