勘違い女の最後のチャンス 後編

(読了目安11分)

前回は、

「・・・と思いきや、その後のK子さんに明るい展開があったんです!」

で終わりました。


では続きです。
前回に続き長めの投稿です。

◎「勘違い女」の最後のチャンス 



・・・

時計の針が夜の12時を過ぎました。

・・・

「誕生日おめでとう!」


・・・なんていうLINEは誰からもありません。
友達も、K子さんの誕生日だと知っていても複雑な心境で連絡ができず、昔の彼氏たちはみんな結婚したか、若い女性に夢中でK子さんに興味などありません。


婚活サイトの画面を見ながらK子さんは考えます。

「40歳ね・・・もう結婚はムリかもしれない。でもこのまま惰性で仕事を続けるのもどうなんだろう・・・」

「私、仕事をするために生きてるみたい。楽しく生きるための仕事だったはずなのに・・・」


すると、深夜にもかかわらず、珍しく実家の父から電話があったんです。


電話に出るK子さん。

K子 「もしもし、お父さん?」

父 「大変なんだよK子! お母さんが交通事故で入院したんだ。応急処置も終わっていまようやく落ち着いたんだけど、とにかく一度戻ってきてくれないか?( ←お父さん、娘の誕生日を忘れています)」



その日の夕方、自転車を運転していた母は、子どもの飛び出しを避けようとして電柱に衝突し、足と手首を骨折したとのことでした。
他に打撲などもあり、経過次第では入院が長引く可能性もあるとのことでした。
K子さんの妹は嫁いでいて、小学生の子どももいます。
家事がまったくできない父にとって、一人で毎日の食事と母の入院中の世話は、かなりの負担だと思われました。


また、退院後もしばらくは自由に動けない母に代わり、家事を続ける必要もありました。


K子さんは考えます。


「数ヶ月後には母の容態も落ち着くのかもしれないけど、この際思いきって環境を変えてみるかな」


40歳の節目ということもあり、仕事を辞めるいいタイミングだと判断したK子さんは、半ばやむなく、半ば納得して都会の生活を捨て、実家に帰ることを決断します。


退職願を出し、退社までの1ヶ月間は、週末だけ実家に帰ることにしたK子さん。
実家では、父親のために数日分の食事を作り、冷凍庫に入れます。
たまった洗濯物、掃除などの家事をしながら、実家へ引越す準備を進めました。
やがて母親のケガも回復し、杖をつけば動けるまでになり、退院の日も決まりました。




K子さん40歳、親子3人での新しい生活が始まりました。




新しい生活が始まって1週間後のことです。
K子さんの人生を変えるすごいことが起こったんです。


まだ自由に動けない母が、申し訳なさそうに、しかし落ち着いた声ではっきりとK子さんに話しかけます。


以下太文字はお母さんの言葉です。

K子が私とお父さんの世話をしてくれるから助かるわ。
いま、K子がいなかったら大変だったと思うの、ありがとう。
K子も事故には気をつけてね、お父さんとお母さんが死んじゃったら、あなたを看病してあげられないんだから。

ところでK子、この1週間でわかったんだけど、昔からちっとも変わってないわねえ。
いつもイライラしてるし、歩く音もドタバタうるさいわよ。
洗面所の水跳ねもすごいし、クチャクチャと音を出して食べてるわよ。

高校生のときのこと、覚えてる?
お母さんが注意してもK子は反抗してたわよね。
もう大人なんだからそろそろ自覚したらどう?

こんな調子でいつまでも独身だと、K子が不安な老後を送るんじゃないかって心配なの。


これを聞いたK子さんは、今の自分、そして自分を取り巻く状況について、一瞬で理解しました。


全身に鳥肌が立つ思いでした。


「・・・そういうことだったのか!この21年間、私はなにも変わってなかったんだ。一生懸命がんばってきたつもりだったけど、本当にやらなければいけなかったのは、自分を見つめることだったんだ・・・」


自分が全く変わらず、むしろ歳だけとってしまったショック、そして、仕事を続けられたのも、周囲の負担や気配りによるものだったという恥ずかしさ、娘の未来を心配する両親の気持ち・・・


「自分・人生」について、大きな視点から理解することができたK子さんは、母に頼みます。


「お母さん、もう一度私をしっかり叱ってくれない?私を叱ってくれるのは、もうお母さんしかいないの。お願いします、私、自分を変えたいの」

・・・

その後、娘の本意を理解した母親は、K子さんの悪いクセを直すための助言をし続け、K子さんは改善の努力を続けました。
ひとつひとつ自分を見返り、何事もよく考えて行動するようになり、これまでにおろそかにしてきた細かなことを、確実にこなそうと努力し続けました。


この努力の間、K子さんは、「今の人生は全て自分が作り上げてきた・原因は自分にある」ということなどについて本質的な面から理解し、それまでとは全く違う深いレベルで反省することができました。


1年後、お母さんはK子さんに言います。


「あんたホントに変わったわね、見直したわ」


K子さんは、お母さんの助言を聞くことで、生まれ変われたんです。


お母さんの指摘を受けて自分を変えていく作業は「愛する努力」です。
「愛する努力」を続けた結果、結婚についての考え方も大きく変わりました。
都会にいた時の自分の方法は間違えていたと気付いたんです。
「イイ人がいたら」とか「いつか」と言っていたら、いつまで経っても結婚はできないということ、そして、「自分がイイ人にならなければイイ人は現れない」ということも理解できました。


愛する努力によって生まれ変わったK子さん。
すでに「勘違い女」は卒業し、努力に応じた自信を得た、「イイ女」に変わっていました。


・・・そしてK子さん、改めて婚活です。


以下、「元勘違い女」が、最後のチャンスに挑みます!


◎最後の婚活


この時点でK子さんの年齢は41歳ですから、すぐに結婚して順調に妊娠できたとしても、出産は42歳以降になります。
高齢のため、子どもは諦めなければならない可能性も含まれました。


「母子共に危険な妊娠になるかもしれない」

「子どもが幼稚園のとき自分が50歳を超えているかもしれない」

「子どもが未成年のうちに自分の寿命が来るかもしれない」

などと考えたからです。

子どもを諦めなければらない可能性については、両親も納得していました。
「長女の子(孫)を見ることはできない・命のバトンは娘から先には繋がらない」・・・これは残念なことではありましたが、それでも結婚を応援するのは、娘が少しでも長く誰かと助け合う人生を送ってくれれば安心だからです。


「私は結婚する・愛する努力をする」と、改めて強い覚悟で臨んだ最後の婚活でしたから、同じく、覚悟を決めた男性との出会いがありました。
結婚は思いのほかすぐに決まり、しかもK子さんに後悔はありませんでした。
親からの指摘を受けながら本気で自分を鍛え直し、「感謝・自信」がベースになった人生をスタートしたからです。


周囲から「勘違い女」と陰口を言われていた都会時代のK子さんは、41歳を過ぎて自分を知り、ようやく本物のK子さんになりました。


◎K子さんの現在の様子


41歳で結婚したK子さんは、現在45歳。
夫の両親と同居し、助け合いながら生活をしています。


子どもは授かりませんでした。
しかし、それも受け入れた上での結婚でしたから、本人も、そして周囲の人たちにも落胆はありません。


K子さんの母親は、今ではすっかり元気になり、事故の後遺症もなく、元の生活に戻っています。


今後K子さんには、お互いの両親の介護が待っているかもしれません。
しかし、それも今のK子さんにとっては「ストレス」ではなく、「恩返し」と思えるようになりました。
K子さんは現在、自分の実力どおりの生活を、自分の責任で楽しんでいます。


お母さんの交通事故をきっかけに、K子さんは最後のチャンスを得ることができ、しかもそのチャンスを活かすことができたんです。

・・・K子さんの話は、以上です。


ところで、K子さんがもし「勘違い女」のままだったら、いまごろどんな生活をしていたんでしょうね。
会社のお局になって、若い社員たちから、いまだに陰口を言われながら仕事を続けていたかもしれません。
焦ったあげく、どうにか結婚したのはいいとしても、昔のK子さんでは夫の助言を聞くことはしませんし、夫の親と同居すれば姑とは当然ぶつかるでしょう。
もし夫とK子さんだけの二人暮らしだったとしても、小言の言い合いは日常的にあったはずです。


そして子どもができたとしても、「学歴だ一流企業だ」と偏った思考で子育てに夢中になり、「世の中はおかしい」と嘆きながら、うつ状態になったかもしれません。


自分を見つめ、自分を理解することができない限り、K子さんはいつまでたっても「勘違い女」だったとマスターは思います。


◎話のまとめ


高校を出て親元を離れると、親から注意してもらえなくなりますよね。
それを「自由になった」と感じる若者がほとんどですが、実際は、唯一本質的な助言をくれる親と離れ、「成長するチャンスが減った」と言える場合もあるんです。


極端に言えば、自由になった代わりに成長が止まってしまうんです。
ですから、周りに親がいないなら、友達からの助言ほどありがたいことはありません。


しかしK子さんはこれも無視してしまいました。
その結果、助言をくれる友達を失い、自分を鍛えないまま歳をとってしまったわけです。
人が離れていく寂しさを癒すためには、結局自分を鍛えることが必要ですが、それもせず、ただ男遊びをしてしまったツケが「独身」という状態でした。


この投稿の一番最後に書く太文字のような「悪いクセ」を指摘してくれる人に対して、まずは「ありがとう」と心から感謝すること、次に、何度指摘されても、「何度もありがとう」と言い続けられるかどうかがカギです。
これができた人は、次々に悪いところを指摘してもらえます。
その指摘に感謝しながら努力を続けられる女性が、長く愛される女性です。


◎「おひとり様」の傾向


マスターはレストランを経営している関係で、これまでに延べ10万人以上の人を観察するチャンスに恵まれました。
また、15年来の常連さんもいるので、「常連さんの成長」も見ることができます。

お客様は、大きく分けて「グループ」と「おひとり様」に分かれます。
グループで来る人はグループ内で盛り上がるのでマスターは話をすることはほとんどありません。


マスターは主に「おひとり様」と話すのですが、おひとり様に共通する傾向だと感じているのは、「否定的な話し方をする・自分が正しいと信じている(断定的)」ということです。

悪いクセや体臭などが目立つ人もいますが、基本的に「否定的・自分が正しい」と思っている人が多く、本人はそれに気づいていない場合も多いのかと思います。



◎あなたが成長し続けるには


今、結婚を望みながらもひとり暮らしで、独身のまま35歳を過ぎようとしている女性は、唯一あなたの悪いクセを指摘してくれる親が亡くなる前に、親の言葉を真剣に聞き、自分と向き合ってください。
親の言葉の多くは、あなたの未来を考えた愛の言葉です。


「実家の親の言葉」・・・この「最後のチャンス」を逃すと、自分が誰なのか、自分はなにをしているのかなどを客観視することが難しくなります。


親からの指摘で鍛えれば、結婚は確実に近くなります。
そして結婚後は、夫からの愛のある指摘に耳を傾けてください。
さらに、子どもができたら、あなたの子どもは、あなたに対して正直にダメ出しをしてくれます。
そうやって、あなたは生涯成長し続けることができます。


「親」、次に「夫」、そして「子ども」から多くの指摘をしてもらい、その指摘に感謝してください。


「私、もう両親が亡くなってるの、最後のチャンスを失った私はどうすればいいの?」


こう思った人もいるかもしれませんが、安心してください、このnoteがあります。
このnoteは、マスターの2人の子どもたちへ遺言として書いているものです。
このnoteはマスターそのものですから、あなたは1人ではありません。
諦めないでください。


では、話の終わりに確認しましょう。
みなさんは以下のようにしてください。
何度も何度もしつこいですが、マスターがみなさんの親に代わって書きますね。



「相手によって態度をコロコロ変えないように」

「香水が強すぎないように」


「しょっちゅうため息ついていないか」


「時間を守る」


「人の目を見て挨拶をする」


「足と汗の臭いに気を付ける」


「お金を渡すときに投げない」


「照明をつけっぱなしにしない」


「人の話を最後まで聞く」


「人の言葉を全部否定するのはやめる」


「不都合を人のせいにしないように」


「イライラすると周囲が困る」


「トイレをきれいに使うように」


「手を洗ったら水跳ねしたところをちゃんと拭く」


「静かに歩く」


「クチャクチャと音をたてて食べるのをやめる」

「食事中に肘をつかない」

・・・

以上で「勘違い女の最後のチャンス <後編>」は終わりです。
前編と合わせるとけっこう長い内容だったと思います。
最後までありがとうございました。

・・・

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