妄想の無責任

燐寸少女 / 鈴木小波

“火が付いている間に思った妄想が具現化する”
“妄想は覚悟を持たない無責任でいい加減なもの”

わかるような、わからないような言葉だろう。でも、この漫画を読んでいるとなんとなくわかってくる。
妄想は勝手に、好きなように、現実ではありえないことも考えれらる。でもそれが具現化したときには、現実に則すように現れるのだ。強いことを望めばどこかでその歪みが起こる。ただの単純な思いだけを形にしても、良いことばかりではない。
そう、「妄想は覚悟を持たない無責任でいい加減なもの」なのだ。
いい加減。あらゆる側面を考え、状況を思考し、矛盾のないように考えなければならないのだ。

ある意味、りんちゃんはずるい。
燐寸を売る相手に対する説明が曖昧すぎる。妄想と願望は違うことの説明はほぼない。燐寸の効力に取り憑かれてから止めようとしても甘い汁を知ってしまった人は、自分で止まることはできないだろう。
救いがあるとすれば、妄想したこと以上に強い思いで現実を受け止め、自分の裏の気持ち認識すれば消える。

漫画の話全部が暗いものばかりではない。明るい話もある。
でも、なかなか考えさせられる漫画だなと思った。今後の展開に期待。

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