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国語のテストは究極のつまみ食い

本を読むことが好きな人は、本屋に行くときに買いたい本が決まってる状態で本屋に行くことは少ないと思う。並んでいる本の中から気になった本を取り出して、あらすじを読み、冒頭部分を少し立ち読みをして購入する。

読み慣れているので自分の中でヒットする本の指標みたいなものは持っていると思う。
しかし、それでも実際に買ってじっくり読んでみると「おもしろくない」という事態に陥ることはある。

私は「続きがきになる!」と、どんどんページをめくりたくなるような本を読むのが好きなので、前置きが長い本を読んでいると飽きる。早く展開して欲しいと思う。あらすじを読んで面白いと思っても、あらすじは展開される手前までをいい感じにまとめているので、本の中の展開スピードまで先読みすることは難しい。

そういう様々な要因から、自分がおもしろいと思う本に出会うのはそれなりに難しい。

また、一冊の本を短い時間で味わうのはなかなか難しい(速読は除く)
あらすじには、本の一番面白いところは書かないし、買う前から本の中盤を立ち読みすることもない。本のレビューを読めばもっと詳細な情報を得ることはできる。しかしそれは、書いた人の主観が多く入っており、その本自体を正しく表しているわけではない。

しかし「国語のテスト」だけはそれが可能なのだ。

模試には、現代文の問題が必ず大門1問分は出る。
まとめた文であったり、誰かのフィルターを通した文が問題文として出ることはない。本のどこかを必ず抜粋する。抜粋する箇所も、問題にするために短い文章でそれなりの展開が入っている箇所になる。つまり、だいたいの問題が本の「山場」を持ってくる。
一番美味しい部分を簡単につまみ食いできちゃうのだ。

山場を先に読んじゃうなんて本の醍醐味が…となるかもしれないが、前後の流れもわからないし、出てくる登場人物すらよくわからない。それでも「おもしろい、気になる!」と思ったら、その本は間違いなく自分の中の当たりだ。

中学受験から始めて、散々「国語のテスト」は受けてきた。「主人公の気持ちはなんでしょう?」「筆者の言いたいことはなんでしょう?」と言った、曖昧な答えにもやもやするのも嫌だった。正直、もう受けたくない。

でも「辻仁成」を好きになったのは、間違いなく模試の問題文だった。
もうつまみ食いができないからこそ、また食べたいと思う。

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