自由に妄想したい

星を継ぐもの / ジェイムズ・P・ホーガン

SFの入門と言ったらこれ!という、この本。
読んでみたら意外といけるかもよ?と勧められたので読んでみたが…
しんど。それでもなんとか読み切れたことに関しては成長したな…。

しんどいと思う理由は、物語がなかなか進まないから。
背景の大部分は現状の地球、今の自分の生活から想像することのできる範囲。しかし、未来で宇宙の話の中でキモとなるのは作者の想像から生まれた革新的な技術なので、それに関する説明が増えるのはわかるが…多すぎるのだ。
序章に主人公が開発した素晴らしいメカについての記述と、彼の今までの人生(背景)が語らえる。だが、最後の展開でその機械は特に登場しない。彼の人生の背景が重要な何かを与えている感じもない。
事細かに説明するのならば、その機械を中心に話の展開をして欲しかった。今後どれくらい生産量を上げていくうんぬんの下りや、技術者の育成、更なる発展に向けた主人公の苦悩や相方の存在とか。
主人公の背景を重要視するならば、彼が本の中で自分の道を決断するときの悩みや葛藤を展開したら面白かったのでは?と思う。上司に言われて、「はい、わかりました」とあっさり承諾しすぎなのだ。なぜ周りがこういう行動をするのかを彼自身が思考している描写はあるが、それに対して抗うことなく全部受け入れ体勢で展開されていくので止まることなく砂時計のように話が流れていくと感じた。

SFが苦手なのではなく、細かく背景を説明しないと話が展開できない本が苦手なのかもしれない。日常的な話の中に少しだけ非現実感のある話が好きなのは、多く語らずに話を展開されるからかも。
本は想像(妄想)するのが楽しいのであって、作者が意図している背景を事細かに正確に想像する必要はないと思う。ある程度の背景を説明したら、あとの細かいところは自分で補いつつ読めばいい。そうすることで人それぞれの読み方になっていく。そういう余白、自由さのある本が私は好きだな。
本が映画やドラマなどになった時、思っていたのと違うと感じるのは自分なりの読み方をしているからだろう。実写化されるとき、作者に許可は取っているだろうし、それなりに世界観の擦り合わせはされているはずだ。つまり、作者にとってのその本のイメージは実写化のイメージとだいたい同じなのだろうと考えらえる。
それと違うと思う私は、作者がイメージしている世界観とはまた違った形で捉えているのだろう。

The SF!という本がとりあえず読めるようになったこと、自分はSFが苦手なのではなく、描写の細かい本が苦手なだけだということが、今回の大きな収穫でした。
次は何を読もう。

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