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悩んで悩んで悩みつくした私を救ってくれた曲

こんにちは、元国語教員、現ライターの国語の庭です。

タイトルが「悩」だらけ。笑
でも、これでも足りないくらい悩んでました。

そんな時期の私を救ってくれた曲について、今日はお話しようと思います。

どんな曲?

先に曲の紹介から。

BUMP OF CHICKENの「beautiful glider」です。

もともとBUMPは好きなのですが、この曲は特に思い入れが強い曲の1つです。

2010年発売のアルバム「COSMONAUT」の中に収録されています。

何で悩んでた?

次に、悩んでいた内容ですが、「教員を辞めること」です。

私は元教員です。

大学4年生、初めて受けた教員採用試験に落ち、新卒で非常勤講師になりました。

その後、常勤講師を経て教員採用試験に合格し、晴れて公立学校の教員に。

でもその数年後、「教員、辞めたい」と思うようになりました。

教員になってから、思うことがいっぱいありました。

よかったことももちろんあったけど、そうでないこともいっぱいありました。

悩みまくっていた当時。

「辞めたい」がどんどん大きくなっていった当時。

「続ける」選択肢が次々しぼみ続けていった当時。

経済的なことを考えると、続ける選択肢の方が正しいに決まってる。

でも。

でもでも。

やっぱり。

いや、もうダメだ。

辞めることに苦しんでいた時、救ってくれたのがこの曲でした。

美しいグライダー

「beautiful glider」、美しいグライダー、って訳せばいいんですかね?

グライダーって、エンジンがついていないから、飛び立ったらもう風に任せて飛び続けるしかないんですよね。

紙飛行機みたいなイメージでしょうか。

うまく上昇気流をつかめたらいいのかもしれませんが、基本的にできることは滑空のみ。

徐々に地上へ降りていきます。

周りの天候や風に左右されてしまうから、自分では積極的にコントロールできない

グライダー自体が、自分の意志じゃなくて周りのことばっかり、世間体ばっかり考えて悩んでいた自分と重なるような気がしました。

以下、歌詞を引用します。

羽根の無い生き物が飛べたのは
羽根が無かったから

beautiful glider

もともと飛ぶ能力を持っていない生き物。
人ってそうですよね。

だから飛びたいって思う。
ないものに憧れるというか。

教員の採用試験を受け続けていたころの自分を思い出します。
本当に教員に向いているかどうかは考えもせず、とにかく受かっていないから受かりたい。合格したい。とりあえず正規の教員になりたい。みたいな。

いや、なりたいというか、そういう雰囲気に流されていたのかもしれませんね。

「今年も採用試験受けるんでしょ?」
「ずっと非常勤じゃダメだよ」
「結果は?来年どうするの?」

正規じゃない期間中、周囲の先生方とのこんなやりとりが日常茶飯事でした。

教員やるからには正規でないと!みたいな。

担任をもってなんぼ、みたいな。

やりたい事に似た 逆の事
誰のための 誰

beautiful glider

非正規教員を数年やって、やっと採用試験に合格。

正規の教員になりました。

でも、本格的に教員の仕事に関わるようになってから「やりたいこと」と「やるべきこと」のギャップに挟まれることが多くなりました。

非常勤や常勤の時とは違う業務量、責任感。

多様性が大事だよ、なんて教えているくせに、一方で厳しい生活指導をしないといけなかったり。

教科の楽しさを共有したいのに、受験指導一色を求められたり。

国語を教えたいのに、まずは授業を成り立たせるところからだったり。

これ、やってて意味あるのかな?

ここまでやる意味って、何なんだろう?

私って子どもたちのためになれているんだろうか?

別の人がやった方がいいんじゃないか?

分かち合えない心の奥
そこにしか 自分はいない

beautiful glider

正規教員になって数年、抱えるモヤモヤがどんどん大きくなっていきました。

でも、昔からのやり方とか風習とか。

おかしくない?って言ってしまえば、後ろ指をさされてしまう。

表面上は平気なフリを保っていましたが、だんだん殻にこもるようになっていったような気がします。

もう答え出ているんでしょう
どんな異論も あなたには届かない

beautiful glider

働く中で、結論が固まっていきました。

教員、辞める

止められても、もう無理だ。

もう明確に、辞めたいって思うようになりました。

もう 誰の言う事でも予想つくぐらい
長い間 悩んだんだもんね

beautiful glider

この曲で1番刺さったのは、ここの歌詞です。

辞めたい、辞める。とは思っていたものの、怖かったのは世間体。

周りの人にどう思われるか。言われるか。

両親。友人。お世話になった先輩、後輩。

「もったいない」
「せっかく試験受かったのに」
「公務員の安定を捨てるなんて」
「辞めてどうするの」
「他に何ができるの」
「まだできるでしょう」

それぞれの反応が頭の中でぐるぐる。

あの人に「教員を辞める」と言ったら、きっとこう返される。

誰に何を言われるか、何パターンだって思いつきました

それくらいたくさん悩んで、悩んで、悩み尽くしました。

いつだって そうやって 頑張って 考えて
探してきたじゃないか
いっぱい間違えて 迷って
でも 全て選んでいくしかなかったグライダー
雨雲の中

beautiful glider

悩んで悩んで、悩んだ。

決して一時の感情で「辞めたい」と思ったわけではありません。

私なりにいろいろ模索しました。

辞めずにもうひと踏ん張りするにはどうしたらいいだろう?

続けるためにはどうしたらいいだろう?

ここを乗り越えたら少しは景色が変わるかもしれない。

ちょっと踏ん張ってはみたんです。

でも、続けるための手段は見つかりませんでした。

できる限り、がんばったんじゃないかな

雨雲の中、辛い状況の中でも、歯を食いしばってよくやってきたんじゃないかな。

もうここまでで十分なんじゃないかな。

夜明け前

歌の最後は、「夜明け前」で締めくくられます。

雨雲の中をずっと飛んでいたグライダー。

もうすぐ、朝日が差し込んでくる。

ずっと雨雲の中を飛び続けるわけじゃない。
ずっと暗い夜が続くわけでもない。

状況は変わっていくはず。

私が「辞める」決断をしたとして、その後はきっと新しい夜明けが来る。

教員を辞めた今でも、この曲を聴くとあのころの葛藤や決断を思い出します。

もう十分がんばった。

やり切った。

おそらく、他の岐路に立った時も、この曲が救ってくれるはずです。

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