桃谷 修司

顧客価値共創堂代表/ P&G流の顧客心理深掘り思考法で、デジタルや数値データ、…

桃谷 修司

顧客価値共創堂代表/ P&G流の顧客心理深掘り思考法で、デジタルや数値データ、通常のインタビューだけでは理解することが難しい顧客の心の奥底にある望みや悩み、さらにその理由や背景まで深掘りし、そこから顧客の心に染みる商品やサービス、マーケティング計画を共創します。

最近の記事

【ちょっとした特別扱いでファン増加】

航空会社のマイレージプログラムの上級会員って魅力的ですよね。よく記事で見ますが、その上級会員のステータスを獲得することを目的に飛行機に乗る人もいるようで、その搭乗を修行を呼ぶそうです。私もあと少しで1つ上のクラスになれそうな時、修行しました。 冷静に考えると、修行するお金で、空港のレストランでよい食事をしながら搭乗までの時間を過ごせます。しかし、特別扱いされていることの優越感がたまらないのです。合理的な判断が入る余地はありません。 継続顧客と気持ちでつながってファンになっ

    • 【お得意先になってもらうまで一歩一歩】

      私は味の素で通販化粧品を担当していたことがあります。今でも通販の広告が気になります。 よく目にするのが「初回限定OO円!」。そして、「今、定期購入を申し込んだ方には・・」。前者は理解できます。後者は「初めて買う人がいきなり、定期購入するのかな?」と思います。 お客様が商品を買う時のステップについては様々なモデルがあります。有名なのがAIDMA(注意、関心、欲求、記憶、行動 ― サミュエル・ローランド・ホール)やAISAS(注意、関心、検索、行動、共有 ― 電通)。 カス

      • 【自分の強みを、2段階で認識する。】

        お手伝いをさせていただく時に、その方や組織が強みをどのように認識されているかをお伺いしています。 最初のお答えとしてよくお伺いするのが、今の時点の特長。会社や個人なら資格など。商品であれば、特許、技術など。お客様が競合商品と比較をして、選んでくださるように、理想は「唯一」、少なくても「優位(より良い)」と思ってもらえる特長をきちんと整理、認識して、お客様にお伝えすることが有効です。 同時に、その現在の強みを生み出すことができた原動力やルーツをお伺いしています。個人の方でし

        • 【ほとんどの事業がBtoC】

          会社員キャリア最後の頃、味の素で化成品部に所属しました。主に電子材料と化粧品原料を担当していて、始めてBtoB事業を担当しました。その時の経験が、私のBtoBとBtoCの定義を変えました。 今は、BtoC(消費者向け)でもBtoB(事業者向け)でも、①提供する商品やサービスがそのままお客様に使われる事業では、その全てでBtoCマーケティングの考え方を活用することを勧めています。 最終使用者が、その商品・サービスの自分への価値を基準に購入判断をするのは、消費者向けでも、事業

        【ちょっとした特別扱いでファン増加】

          【満足度を聞くのは難しい。】

          一般消費者としてアンケートに答える時に、頻繁に回答に困ってしまう質問があります。 それは、満足度に関する質問。 「満足」とは、辞書では「満ち足りていること」、つまり100%願いが叶っている状態と書かれています。 しかし、満足度に関する質問の選択肢でよく見るのが、「とても不満 → 不満 → やや不満 → どちらでもない → やや満足 → 満足 → とても満足」。 「これを点数で表すとしたら、どんな数字にすればいいかな?」って、いつも迷います。 「不満がマイナスの点数だ

          【満足度を聞くのは難しい。】

          【一言で言おう!】

          皆さんにも心に残るキャッチコピーがたくさんあると思います。 最近では「おつかれ生です」でしょうか。同じ会社のもう1つのブランドとのキャラクターの違いを鮮明にしつつ、何をお客様に提供するかを見事に表しています。 自分が多少なりとも関わってきた商品はどうだったかな、と振り替えてみました。私自身が作ったわけではありませんが、キャッチコピーが浮かびました。 「油汚れに〜、ジョイ!」 台所用洗剤市場の2大ブランドがどちらも「手に優しい」のみを訴求していたので、あのメロディーとと

          【一言で言おう!】

          【お客様が一緒に使うものと連携する】

          P&G時代、ずっと洗濯関連用品のマーケティングに携わりました。当たり前のことですが、洗剤メーカーは、よりよい洗浄結果を提供することを目指しています。そのために製品を開発・改良し続けています。 しかし、P&Gは衝撃の事実に気づいてしまいます。それは、「洗剤を改良するのは重要だ。しかし、それだけでは不十分かもしれない。」 ご自宅でのお洗濯を思い出してみてください。そのシーンにはどんなものがありますか? まず、洗濯機。この洗濯機が洗浄環境を決めます。「洗浄時間」、「洗浄水の量

          【お客様が一緒に使うものと連携する】

          【嫌な顔をされても、お客様へ誠実に】

          55年超の人生で、スーツを買いに行って店員さんに「似合わないですね。」と言われたことが2回あります。 1回目は大学生の就職活動の時でした。毎年4月になると、街中で見るからに新入社員とわかる人たちがいますよね。これは仕方ないとして、もう1回は20代後半の頃で、何を思ったか当時はやっていたDCブランドのお店に行って試着した時のことでした。 自他共に認める胴長短足大顔なで肩の私が細いスーツを着て鏡の前に立った時、自分でも「ダメだ、こりゃ。」と思いました。背後のいた店員さんも「似

          【嫌な顔をされても、お客様へ誠実に】

          【どのシーンで役に立つか】

          ターゲットを明確に設定することがマーケティングの基本なのは、皆さんよくご存じのことですね。 年齢、性別、家族構成など国勢調査の項目的な分類から、その商品カテゴリーに関する価値観による分類を行い、それぞれの悩みや望みを理解していったりします。 私が最初にマーケティングに関わった洗濯関連用品は、毎日ほぼ同じパターンで使われる生活必需品だったので、ほとんど気にしていなかったでしたが、ソフトクリームなど食品・嗜好品を担当するようになって、改めて重要だと気づいたのが「生活のどのシーン

          【どのシーンで役に立つか】

          【ターゲットをできるだけ具体的に】

          そういう業務なので当たり前ですが、お問合せくださった方々やセミナーに参加してくださった方々と事業戦略についてよく話します。 いつもすごいなと思いますが、ほぼ全ての方が「ターゲットを絞ることが大事。」と自らおっしゃいます。ただ、せっかくご存じなのに、実践では必要なレベルまで十分絞れていないケースも見られます。 女性がターゲットの実例としてよく見聞きするのが「働くママ」。女性全体より絞り込まれていますが、様々な働くママがいることは言うまでもありません。 同じく「30代女性」

          【ターゲットをできるだけ具体的に】

          【ペルソナに関する個人的考え】

          私が業務のお手伝いをする際に、顧客ターゲットを明確に設定し、ご本人以上に気持ちを理解することの重要性をお話しすると、「ペルソナを作るんですね。」とおっしゃる方が最近多くて、ペルソナという思考法が浸透しているんだなと感じます。 ところで、私自身は人物像を詳細に描いたペルソナを作ることをお勧めしません。いろいろある中で1番の理由は「ペルソナが、どんなものを求めているか、新しいアイデアをどう評価をするか」を想像するのは、結局自分自身だということです。文章や画像のペルソナが自ら何か

          【ペルソナに関する個人的考え】

          「Consumer is Boss」のもう1つの意味

          「Consumer is Boss.(消費者が上司)」P&GのCEOを2度務めたA. G. ラフリーさんの言葉です。 このシンプルな言葉が全てのP&G社員の行動指針担っています。私も、今の業務でも、常にこの言葉を意識しています。消費者を顧客と捉えればBtoBにも当てはまります。 「Consumer is Boss」の広く知られている意味は「社内の上司ではなく、お客様に従おう」です。当たり前のようなことですが、本当に実践できている組織はどのくらいあるでしょうか。 ラフリー

          「Consumer is Boss」のもう1つの意味

          ソフトクリームは、なぜ観光地で買われるのか?

          10年前の2013年に日本初のソフトクリームのNB(ナショナルブランド)「クレミア」が発売されました。それまでは、「OO牧場のXXソフトクリーム」とか「(フルーツ名)ソフトクリーム」など販売者名や原料で呼ばれていて、全国ブランドはありませんでした。 初めてのソフトクリームのNB商品は大ヒットとなりました。召し上がったことがある方も多いのではないでしょうか?ワークショップの会場でも必ず数名以上手を挙げてくださいます。 アイスクリームにはいろいろなブランドがあります。ブランド

          ソフトクリームは、なぜ観光地で買われるのか?