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「今日産まれて来たかったんだね。」

先日娘が1歳の誕生日を迎えました。2人目は本当に時間が経つのがあっという間で、体感としては1人目の倍速でした。

何だか1歳ということに私自身の心がまだ追いついていない感覚ですが、産まれた日のことを少し書いておきたいと思います。

娘は4月下旬の出産予定でしたが、1ヶ月早まり3月に産まれました。
まさか3月に産まれるとは思っていなかったので、陣痛らしきものを感じ始めた時「まさか!!そんなはずは!!」と、すぐには受け入れられませんでした。そしてこういう時変に冷静なのって女の人あるあるな気がしますが 「早生まれになっちゃったら、保活大丈夫か!?」「あ~4月から出産手当金50万円に増額だったのに微妙に早くて悔しい(3月だと改正前の42万円)」もうおそらくこの痛みは陣痛なのにそんなことまで考えたり、なんというか3月に産まれてしまうことや早生まれになることへの不安があったのです。

そして病院へ連絡し「今から来てください」と言われたため何の心の準備もないままかろうじて用意してあった入院バッグを持ち出発。
到着して診察が始まり「これは陣痛なので、このまま出産になります。でも早産になるためここでは産めないので今から産める病院を探します。」

え!確かにそこは厳密には「クリニック」になります。早産だとここでは産めないというのは初耳だった気がしますがもしかしたらどこかで「万が一~」と説明はされていたものの他人事と思ってスルーしていたのかもしれません。

心の準備がないまま陣痛が来て、しかも1人目と同じ病院で安心して産むつもりが今から別の病院を探してそこで産んでもらうと言われ、色々心が追いつかないままでした。

しかも結果としてお産が一気に進み間に合わないと判断され、その病院で到着から1時間程度であっという間に産まれてしまいました。

そして早産だったため我が子の顔も確認できないまますぐに奥へ連れて行かれそのまま触れることもないまま保育器へ入れられ、これから別の大きな病院へ搬送する為の手配にスタッフさんたちも皆バタバタしており、実にあっけなく、余韻に浸る間もないようなお産でした。

無事産まれただけで幸せなはずなのに、妊娠中も何かとトラブルもあったので、本当に産まれて来てくれただけで十分、なはずだったのに、色々なことに心が追いつかないまま、産んだのは私のはずなのに、産んだ実感は私だけがあるはずなのに、もしかしたらあの時あの場で私だけが置いてけぼりのような気持ちで、一番実感出来ていなかった気がします。

そんな時、ある助産師さんが来ました。
上の子の出産に立ち会ってくれた助産師さんです。私はもちろん覚えていました。向こうも一瞬「あっ!!」と覚えていてくれたような反応でした。そして娘を見てこう言いました。

「今日産まれて来たかったんだね。」

娘を見てごく自然にさらっと言いました。
なんか、泣きそうでした。

そうか、そうだよな。今日、産まれて来たかったんだ。

私のここまでの心が追いつかないような消化不良のような出産を100%全力で喜べていなかったような何とも言えない気持ちが、どうでもよくなるような一言でした。

それが全てな気がする言葉でした。

赤ちゃんはよくお空の上でお母さんを選んでやって来るだとかそういうお話、私は割と抵抗なく、そうなんだーと興味深く、そういうこともあるんだなーと受け入れていました。
ならば、産まれてくる日も赤ちゃんが決めてくるんだ。「今だ!」って思う何かがきっとあったんだ。
今日産まれて来たかったんだね。

その後の色んな人からの「おめでとう」より、あの時の助産師さんの言葉が一番嬉しかった気がします。娘の全てを受け入れてくれるような言葉でした。
その後やはり早産で発育もスムーズには行かず、今も苦戦している所はありますが、原点に帰るとやっぱりあの言葉に行き着き、いつも救われる思いがするのです。

あの時産まれたくて来たんだから、それ以上でも以下でもなく、それだけ。

そしてここからは余談になりますが、1人目を産んで数時間後、あの助産師さんが部屋に来て、「今、こんなことお聞きするのもアレなんですが、2人目はお考えですか?」と聞かれました。
え!いや、午前中に産んだばっかりで、まだ夕方 笑 質問の意図がわからないままに、
「え?まぁ…」とかぼんやり答えたと思います。すると、1人目は、病院に着いて2時間位で産まれ、それは経産婦並のスピードだから、2人目はもっと早まる可能性がある。なので、2人目は陣痛が来たかもと思ったら早めに連絡するようにとのアドバイスでした。(そうでないと自宅で出産とか移動中に、とかになりかねないとのこと)

その時のお話はずっと頭の片隅にあって、だから「でも、早めに連絡の早めにって、どれ位?次の検診で聞こう。」そう思っていたら検診を待たずして陣痛が来てしまい、産後あの助産師さんに再会した時、「あっ!!」という顔をしたと書きましたが、もしかしたら内心「やっぱ早く産まれたな。」と思ったのかもしれません 笑 

娘の誕生日よりも数日前に、ある方のお誕生日がありメッセージを送りました。
その方のお誕生日に初めてメッセージを送った時、「春が待ち遠しくなるこの季節がお誕生日って素敵ですね。」と送ったことを思い出しました。

そうか、娘のこの誕生日も、そうだな、春が待ち遠しくなる素敵な季節じゃないかと。
思いがけず何年も前に自分が贈った言葉が返ってきました。

そして娘の誕生日に、その方からお祝いメッセージが届きました。お会いしたのは一度だけですが、息子の誕生日にも娘の誕生日にもメッセージを送ってくれるのです。

そんな優しい方と近い誕生日になったことも何だか、誇らしいです。

これからは春が待ち遠しくなるこの季節が、優しいあの方と娘のおかげで、より楽しみになりそうです。



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