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狛犬歌留多 Vol.2

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狛犬を訪ねて訪れた寺社のいろは歌。ち〜を編。
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再び行田へ

今回の行田めぐりは、ICカード対応になった秩父鉄道を利用した。いつも食べ物について語り合う同僚が行田で気になるかき氷店を見つけたと話していて、あの翠玉堂を思い出したのだ。ある時、遅い初詣を終えて行くところがなくなり、あてもなく歩いていたら営業していた。味のある木造店舗のガラス戸に手書きの張り紙がしてあり、何かを始めたとかそういったことだったと思うがよく覚えていない。あとからお店のtwitterを見て季節のメニューのお知らせと分かった。冬だったが、かき氷のお知らせだったかもしれ

ふらり途中下車 沼袋 瑠璃光山禅定院

浮きつ沈みつする日々の小さな冒険。それが途中下車の散歩。みなさんは「沼袋」を知っているだろうか??島袋でも池袋でもなく沼袋。知ってるあなたは東京通。筆者は沼袋のことを池袋の蔑称だと思っていた。ごめんなさい。 西武新宿駅から5つ目に沼袋は実在している。西武鉄道の池袋駅の一日の乗降者数は36万人。沼袋駅は1万5千人。(最下位は正丸駅169人)。知る人ぞ知る都会の秘境、それが沼袋なのだ。 https://www.seiburailway.jp/railways/ad/data/p

東京と湧き水 貫井(ぬくい)神社

しりとりの「り返し」攻撃をご存知だろうか?常に「り」で終わる言葉を瞬時に返す戦法だ。だんだん語彙が尽きてきて最後は困り果てたものだった。はてさて、歌留多作りも佳境に差し掛かると地名や寺社の名前に神経を尖らせる。 手に取ったのは雑司ヶ谷の墓地に眠る明治文士、大町桂月の「東京遊行記」。言葉灯台下暗しとは言ったもので、東京にはいろいろな場所がある。「ぬ」で始まる神社は果たして小金井にあった。 かるがもも惰眠をむさぼる昼下がり。野川(のがわ)沿いの遊歩道をぶらついていると森が現れ

せみ塚と立石寺

夏はやおとろえ、鈴虫が鳴き初める。蝉のむくろが所構わず転がるようになった。我が物顔で夏を謳歌した彼らだが、幼虫の半数は羽化できぬまま尽きるという。蝉時雨も聞き納め。大役を果たした蝉たちをねぎらう碑が東北にある。立石寺(りっしゃくじ)の「せみ塚」だ。 立石寺は東北の四寺廻廊の一つ。天台宗の霊山で創建は860年。芭蕉の 「閑さや 岩にしみ入る蝉の声」 で知られる。「Lonely planet Japan」で「end of the world」と説明された「みちのく」も東京駅

山街ダイアリー 秩父神社行

平素は都会の雑踏やサイレンを子守唄としている。ふと川が恋しくなり長瀞へ。風を切って野山を行く。池袋から電車で2時間。酒と旅をこよなく愛した歌人若山牧水は秩父を好み、「渓をおもふ」や「くろ土」を記している。 長瀞へは長瀞駅下車。ライン下りも楽しめる。 川は夏模様。薄荷色のガラスを溶かしたような瀞。8500万歳の岩が川に磨かれてできた岩畳に、芽吹いたばかりの緑がみなぎる。壮大な時の流れと季節の命の渓の交響曲。 秩父の町へ。かつては海の底であった秩父盆地。石灰でできた武甲山が