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雪と狛犬

雪山と犬というと、子供の頃読んだ「高安犬物語」を思い浮かべる。読書感想文にと思ったが、雪と無縁の場所で育った筆者はゲートルやアイゼンを想像できず、主人公の犬も可愛いというより誇り高く激しい気質の猛犬。「銀牙」的なテイストは果たして子供向け・・・?映像化したらR指定のハードコアな犬生に圧倒されたのだった。

しかし、時がきた。雪山と狛犬に挑む。グラウンドの片隅を冬の登山靴とアイゼンで歩いてみたり、真冬に窓を開け放して床に寝てビバーク訓練(寒すぎて眠れなかった)。講習を受け、ガイド付の登山ツアーで長野の入笠山へ。
八甲田山のイメージが強すぎて、天気予報や警報を1時間おきに確認する。当日は拍子抜けするぐらい穏やかな天気。
富士見高原へ向かう道で凍った池の静けさに息をのむ。堀辰雄の「風立ちぬ」の最後の療養の地、富士見高原病院を思う。

登山口まではロープウェイ。針葉樹の蒼い影。ウサギの足跡の行方を追う。雪に魅せられた日本人は江戸時代にもいて、古河(茨城)藩の名君土井利位(としつら)が日本で初めて雪の結晶を研究し「雪華図説」を記している。この研究がきっかけで雪華模様が流行したとか。

ツララをなぜ「氷柱」と書くのかを初めて知る。

澄んだ空気。寒くはないけど、外気はどこまでも冷たい。誰が置いたか標高1955mの小さな狛犬。

帰りはリニアモーターカーで活気づく甲府へ。普通の服に着替え小作のほうとうでシメ。めでたしめでたし。


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