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雪中四友 蝋梅の宝登山神社

冬のアルプスは敷居が高いがインドアにも飽きた向きは長瀞アルプスなどいかがだろう。冬枯れた野原を駆け抜け池袋から電車で2時間。レトロで可愛い駅舎に鄙びた街並み。美味しいお蕎麦屋さんもある。

長瀞の由来となった滔々と流れる荒川は青々とガラスのように美しく、河原に広がる岩畳は地質学的にも珍しく明治時代から著名な研究者から宮沢賢治まで様々な人々を惹きつけてきた。コタツ舟という冬ならではの酔狂な遊びも楽しめる。
荒川を背に大通りを歩いていくと宝登山の石畳の参道に行き当たる。宝登山神社は秩父三山の一つで、神武天皇や大山祇神(おおやまづみのかみ)、火産霊神(ほむすびのかみ)を祀っていて火災盗難よけ、諸難よけの神様として信仰されている。熊谷の彫刻師、飯田岩次郎氏による彫刻が施された豪奢な社殿で日光東照宮と同じ権現造。

宝登山のもう一つの魅力は四季折々の花。東京タワーより少し高い宝登山の山腹にはロウバイ園がある。ロウバイは雪中四花(水仙、梅、椿)に数えられ寒い季節に可憐な花を咲かせる。見頃は2月頃か。武甲山を眺めながら一息。ロウバイの透明感のある甘い香りがそこはかとなく漂う。

山頂の奥社には人懐っこい顔つきの狛犬が。実はこの狛犬、狼なのだそう。山で苦難に遭った日本武尊を狼が導いたという神話から狼が信仰されているのだ。しかしこの狛狼、上目遣いでお賽銭箱を大事そうに抱えているところが正月に会う親戚の小学生感。「任天堂のスイッチほしいんだよね〜」と今にも語りかけてきそう。

奥宮は古式ゆかしい佇まい。

宝登山は、茶店もあるし参道にカフェもお食事処も。少し足を伸ばせば秩父駅で日帰り湯や土産物店など充実している。ひと風呂浴びて山歩きの疲れをとるとしようか。

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