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アジア紀行~インドネシア・タナトラジャ~サバイバル家族旅行note⑪~

帰りの便は・・・?

スラウェシ島にやって来て、今日で6日目になる。ウジュンパンダンの空港で帰りの空の便が取れていないことが発覚して以来、もやもやが晴れなかった。おまけに自分以外の家族全員が下痢に襲われたために、予定が大きく崩れてしまった。
しかし運に見放されたわけではない。ウジュンパンダンの空港にあるガルーダ食堂で、日本で聞いてきたガイドのGENTOグントと出会えたこと、彼に案内されてやって来たトラジャの宿LEBONNAレボンナの人々の親切な対応など、人との出会いには恵まれていたと思う。

この日は、阪急交通社のO君と連絡をとることになっていた。こちらでは飛行機のチケットが取れない状況なので、頼みの綱は彼だけだ。
朝8時にGENTOグントの車にみんなで乗って、国際電話ができる電話局まで行く。まだインターネットでメールをすることもできない頃だった。
約束通り、O君は我々からの電話を待っていてくれた。そして、3日後のデンパサール行きのガルーダの席を押さえてくれたという。これでやっと大きな肩の荷がおりた。こんなにホッとしたことは久しぶりだ。彼には感謝の言葉以外ない。
GENTOグントには2週間のツアーを組んでもらっていたが、事情を話して変更してもらう。あとはウジュンパンダンの空港のガルーダオフィスに電話して、リコンファームをするだけだ。その場で電話をして、やっと何とか通じたようだが、まだ不安が残る。


RANTE PAOランテパオのマーケット

スラウェシ島滞在も、今日を含めてあと3日となると、急に名残惜しくなる。明日はこのトラジャの宿LEBONNAレボンナを出て、SENGKANGセンカンに移動する。
トラジャらしい土産物もまだ買っていないので、GENTOグントに頼んでマーケットに連れて行ってもらう。
トラジャには伝統的な木彫り細工があって、さまざまな意味を持つ幾何学模様が施されている。

丸い模様が連なっているのは「ネリンボンガン(ne'limbongan)」と呼ばれる伝統的装飾である。写真のトレイはこの時に購入したもの。木彫りのトレイや壁掛けを10点ほど買ったが、いま我が家に残っているのはこれだけだ。

この日は水牛の取引が行われる「ビッグ・パサール」の日だったので、人出も多く、いろんな店が出ている。

突然、雨が降ってきた。みんなで一旦車に戻る。しばらく待つと小振りになったが、GENTOグントが子供たちを見ていてくれるというので、2人でもう一度マーケットに向かう。
水牛や豚や鶏が取り引きされる場所に行ってみる。

男たちが鶏を大切そうに抱きかかえている。これは闘鶏用の鶏のようだ。アジアではしばしば闘鶏を見かける。闘鶏が始まると、男たちの目の色がかわる。
どこかから悲鳴のような声が聞こえてくる。大きな豚が竹筒の上に縛り付けられている。目をむき歯を食いしばって抵抗しているようだ。もう観念してしまった豚もいる。

泥んこの広場にはたくさんの水牛が集められている。水牛は前にも見たように、トラジャの伝統的な葬儀において中心的な役割を果たす動物だ。高価なものは数百万円もするという。離れたところから眺めていたので、どのように取り引きされているのかわからなかったが、犠牲になるために売り買いされるのをかわいそうだと感じるのは、異文化を理解しない異邦人のわがままだろうか。

向こうからキャベツを持った女性がやって来た。どう見ても日本人らしい顔立ちだと思ったが、あちらも我々に気づいて驚いている。夫が現地のキー・コーヒーの社員として派遣されて、結婚してすぐにこちらにやって来たとか。当初はインドネシア語もわからず、大変だったという。欧米人の旅行者は見かけるが、日本人と出会うのは珍しい。

テントを張った前で、なんだか怪しいマジックをしているようだ。

「VARIA MAGIC」「AKROBAT MAUT」・・・
インドネシア語だろうか。「VARIA」は雑多、「MAUT」は死。「MAGIC」や「AKROBAT」は英語から来た言葉だろうか。なんだか怪しげ。テントの向こう側に行くと、昔の現地人?みたいな格好をした男がいた。

やっと車に戻ると、待ちわびていたのは子供たちではなく、GENTOグントのほうだったようだ。子供たちが彼に日本語を教えていたらしい。あまり覚えた様子はない。

みんなでランテパオの町に戻り、昼ご飯を食べる。
鶏の唐揚げ・魚とポテトのコロッケ・揚げ卵・インゲン豆のカレー煮・魚のフライ・スープ・コーヒー。
揚げ物が多いな~。
子供たちも回復して、やっと食欲が戻ってきたようだ。
5人でこれだけ食べて、Rp.12,700だった。1000円ぐらいかな。 

午後2時ごろ、LEBONNAレボンナにもどる。マーケットの雑踏からここに帰ってくると、ホッとする。空は相変わらずの曇り模様で、時折雨が降る。することもなく、ぼんやりと過ごす。
明日は、朝にはトラジャを発つので、夜のうちに宿の支払いを済ませる。結局この宿に6泊したことになる。 
 Rp.137,000
日本円に換算すると12,000円ぐらいだと思う。家族4人6泊の値段だから、驚くほど安い。

夜中に雨が激しく降った。明日は止んでほしい。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

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