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心が軽くなる「フラット思考」

こんばんは。やさしい文芸・写真の人、小牧幸助です。

私はかなり忙しい仕事に就いています。数年前、三十日ほど連続で働いて、最終的にインフルエンザにかかって倒れ、ようやく休めたことがあったくらい忙しい職場です。最近はそこまで酷くありませんが、それでも一般的な会社に比べると忙しいほうだと思われます。

かつて毎日終電で帰り、土日祝日もなく働いていたとき、私は仕事と食事と睡眠以外の時間で本を読むようになりました。その苦しみから逃れるすべを探そうとしていたのかもしれません。

そもそも時間が足りないのであまり多くの本を読んできたわけではありませんが、それでも数年で百五十冊ほどの書籍を読み漁ってきました。

さまざまな本を読むたびに、少しずつ心が楽になりました。そうして学び、自分のなかで咀嚼したことがらを、本記事ではみなさまにお伝えできればと思います。考え方のお話しなので、抽象的になってしまう点はご容赦くださいませ。

学んだことをひとことでまとめますと、「フラット思考」が大事ということです。

フラット思考は私の造語ですが、行動経済学や文化人類学、心理学や哲学、宗教学や社会学など、いろいろな書籍から少しずつ学び、数年をかけて私のなかで立ち上がってきた考え方です。

平たく説明すれば「ものごとをありのままにみる」という考え方です。

ピンと来る方は、「禅」やそこから派生したいわゆるマインドフルネスを想像されるかもしれません。あるいは、科学や数学的な思考ともいえるかもしれません。それはそのとおりで、私が読んできた本のなかにはそうした書籍も多く含まれます。ただし禅については宗教的な意義ではなく考え方じたいに重きを置いております。

フラット思考をより具体的に説明します。たとえば、よくある考え方のお話しで、コップに水が半分入っているときに、どう捉えるべきか? という命題があります。「あと半分しかない」と考えるのではなく、前向きに「まだ半分ある」と考えましょう、みたいなお話しですね。フラット思考で考えるなら、この問題への答えは「コップに半分水が入っている」となります。

つまり、「あと半分しかない」には「もう少ししかない」という気持ちが含まれます。「まだ半分ある」には「まだいっぱいある」という気持ちが含まれます。いずれも主観が入っており、事実そのものではありません。事実は、ただそこにコップがあり、そこに水が半分入っているということだけです。

これが「ものごとをありのままにみる」ということだと私は考えます。この考え方が身についてから、たいへん心が楽になりました。

日常生活で生まれる悩みや苦しみは、事実そのものから生まれているわけではありません。事実を解釈する自分の主観から生まれています。事実そのものは、悩みや苦しみではありません。

たとえば、タンスに小指をぶつけたとしましょう。「痛い」と感じるのは事実としての生理現象です。「今日は運が悪い」「私はおっちょこちょいだ」というのは自分の考えであって、事実ではありません。ただ「痛い」で済ませることがフラット思考です。

もうひとつ例を出しましょう。三十連勤した挙げ句、インフルエンザにかかったとします。「熱で辛い」と感じるのは事実としての生理現象です。「誰も助けてくれない」「誰のせいでこうなったのか?」というのは自分の考えであって、事実ではありません。

後者はちょっと極端で、そしてその状況に甘んじるべきというお話しでもありませんが、つまり心が苦しくなってしまうのは、こうした自分の考えじたいに心が乱されてしまうからだということを言いたいのです。

「誰も助けてくれない」「誰のせいでこうなったのか?」「私の人生はどうなるのか?」「こんなはずじゃなかった」「昔に戻りたい」「他の人はもっと幸せそうなのに」などという考えを追いかけ続けると、心が押しつぶされてしまいます。

「熱で辛い」「痛い」。本当に在るのはその事実だけです。

ただし、さらに重要なのは、フラット思考の外に生まれるこうした自分の考え・主観を悪いものだと思わないことです。

「今日は運が悪い」「私はおっちょこちょいだ」と心に浮かぶこともまた、自然なことです。その考えについて「ああ、余計なことを考えてしまっている!」などと落ち込む必要はありません。

大事なのは「今日は運が悪い、と自分は考えている」「私はおっちょこちょいだ、と自分は考えている」と自分の考えさえもフラットに受け止めることです。

日常で起こったことに対して自分が反応することも、また事実です。事実として捉えて、ただフラットに見つめていれば、やがて自分の考えや主観は去っていきます。追いかける必要はありません。このあたりは、かなり禅的な考えですね。

このようにフラットに考えるのは決して簡単ではありません。とても難しいことですが、毎日繰り返し意識していると、少しずつフラット思考が強まります。脳科学的にいえば、脳には可塑性があるためですね(このあたりは本筋から逸れるので気になった方はネットなどで調べてみてください)。

ポイントをまとめるとこうなります。
・ものごとをありのままにみる
・ものごとをありのままにみられない自分をありのままにみる

このフラット思考は私が書いている小説に通底している考え方でもあります。

やはりかなり抽象的な話になってしまいましたが、このフラット思考によって、今日からみなさまの心が少しでも軽くなることを願っております!

よく分からない点などあればコメント欄でご質問いただけますと幸いです。

みなさま、余白ある快適なフラットライフをお過ごしくださいませ。

ではまた!




photo by Komaki Kosuke

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