ひらがな推しがなぜこんなに面白いのかを本気出して考えてみた 前編


ポルノグラフィティがサブスクリプション解禁したのを知っているだろうか。俺は知らなかった。なぜならポルノグラフィティにそこまで関心が無いからだ。だいたいこの文章を打つ際、ポルノグラ”フ”ティと打っていた。ポルノグラ”フィ”ティだったのだ。知らなかった。なぜならポルノグラフィティにそこまで関心が無いからだ。

しかし、「サウダージ」や「アポロ」は俺ら世代(20代前半)にとってカラオケの定番曲、「メリッサ」や「ヒトリノ夜」といったアニソンも固い。昔は売れ線の曲をバカにしていたが、20歳を超えた頃から”そういう”曲が刺さるようになってきた。
特に「幸せについて本気出して考えてみた」という曲が好きだ。タイトル名はいかにもゴットタンマジ歌企画に使われていそうだが、アップテンポな曲調と爽やかなメロディライン、最高に軽過ぎる詩が不思議と元気にさせてくれる。


まあ、そんなことはどうでもいい。


「幸せについて本気出して考えてみた」を聴いていたら、ひらがな推しについて本気出して考えたい!という衝動に駆られ、今に至る。

(どちらにしても聴き手にそういった感情を沸かせる事ができるポルノグラフィティは素晴らしい)


『ひらがな推し』について。

テレビ東京系、日曜深夜25:05〜25:35、ひらがなけやきの冠番組である。MCはオードリー。

好きなアイドルと好きな芸人が出演しているので観ないわけは無いのだが、それを抜きにしても本当に面白いバラエティー番組だ。

ひらがなけやきファンのみならず、リトルトゥース(オードリーのオールナイトニッポンリスナー)、テレビ批評家、業界関係者も観ている番組である。

なぜこの番組がそこまで人を惹きつけるのか、本気出して考えてみた。


MCオードリーの存在

まずはこれである。

ちょっとした事でも全てにツッコミを入れ、誇張しすぎなのにも関わらず嫌味のない大爆笑。全体の仕切りは勿論、あくまでひらがなけやきの番組であるというスタンスの回しをする若林さん。

基本的に存在がボケであるが、振られたらフルスイング。的確なツッコミも冴えており、回によっては裏回しも担当する。「かつて」だった異様なキャラもひらがなけやきには通用する春日さん。

アイドル番組は普通のバラエティとは勝手が違う。千鳥のノブさん風に言うと「大回しじゃあ」である。

若林さんの司会はとにかく演者や企画、VTRを主演とさせる徹底したバイプレイヤーっぷりが光る。オードリーANNで若林さんは自分の仕事について「男性アナウンサーみたいな仕事」と自虐しているが、個人的にそうは思わない。あくまで主導権は若林さん、演者を手のひらで転がしている感覚である。これはまさにオードリーの漫才なのだ。そして、今一番オードリーの漫才に近いことをバラエティでやっているのが『ひらがな推し』だと考える。


アイドル番組をすでに経験している。

『AKBチーム8のブンブン!大放送』という番組を観ていただろうか。俺はオードリーが出ているという理由だけでなんとなく観ていたが、これが本当にイかれた番組で、芸人の真似事は勿論、”オタク参加型”という前衛的でカオスな番組だった。ワンクールで終わってしまったが、個人的には面白かったと思う。そんな番組の回しをやり遂げたのは勿論だが、ここで注目したいのは春日さんの異様さが通用したところである。

若林さんはよく春日さんのことを俯瞰に見て「マスコットキャラみたいな笑い」と揶揄する。
”気持ち悪い”をアイドルにぶつけるのは昔から良くある。しかし、気持ち悪いだけでは時代に合わない。
南海キャンディーズの山里さんはかつてアイドル好きの気持ち悪いキャラとしてバラエティーに出ていたが、バナナマンの『バナナムーンGOLD』にゲスト出演した際「僕も本当はああいう(乃木とバナナマン)関係性を築きたかった」「気づいたら、全アイドルから針のむしろ。もう誰も(相手にしてくれない)」と言っていた。

春日さんの気持ち悪さは受け付けないものではなく、マスコットキャラみたいな異様さがあるだけである。異様なものを見てアイドルたちが悲鳴をあげる。それだけなのである。(バナナマン日村さんは昔から気持ち悪さより異様さの方が優っていた気がする)


バナナマンと乃木坂の関係性

ちなみに山里さんは『バナナムーンGOLD』にて、さらにこう言っている。

「乃木坂の番組とかも、無茶苦茶いい関係性」

本当にそうである。”公式お兄ちゃん”と言われ、乃木坂ファンからも絶大な人気と信頼を得ている。実際バナナマンから乃木坂に流れた人もたくさんいるだろう。ラジオでのバックアップ、たくさんのバナナマンMC番組へのゲスト出演。そして『乃木坂って、どこ』『乃木坂工事中』での回し、選抜発表時や卒業コメントに対する真摯な向き合い方。まさに公式お兄ちゃん。

アイドルと芸人が作りに行くべき関係性の一つの答えだ。

しかし、当然だがバナナマンとオードリーは全く違うコンビである。似ているようだが全く違う。

バナナマン設楽さんはやんわりいじられることもあるが、オードリー若林さんは『ひらがな推し』が始まってすぐにいじられたりコントに強制参加させられることが多い。
そして、もし今後真面目なコメントを求められた時に設楽さんのようにアツい言葉を言うのだろうか。
ラジオのバックアップも『バナナムーンGOLD』に比べたら少ないと思われる。(トークに出てくることはたくさんあるが曲を流さない展開なので)

これは勝手に思っているだけだが、オードリーはバナナマンと乃木坂の関係性にならないと思う。
公式お兄ちゃんと言うより、公式従兄弟、みたいな関係性になる気がする。近いけど遠い、みたいな。

そしてオードリーはバナナマンに比べて「隙」が多い。それが結果的にメンバーの積極性に繋がっている。その「隙」が今後ひらがなけやきとオードリーの関係性にどう響くか。楽しみである。


ひらがなけやきの積極性

『ひらがな推し』の面白さはこれに尽きると思う。前述したがオードリーには「隙」があり、若林さんがどんな発言でもツッコミを入れて大爆笑する雰囲気作りも大きい。

特に大喜利回、あんなにポンポンと回答が上がるのがまず素晴らしいが、若林さんのどんな答えでも爆笑する姿勢と春日さん(大喜利は割と得意)が何も思いつかないキャラになっていて全体的なハードルが下がるというチームプレイ。佐々木久美の上手すぎる回答、春日さんがスベった後の井口眞緒の「春日、芸人辞めるってよ」大オチも井口眞緒の「茶番」という”まさに”な回答。


アイドル番組に欠かせない”アンケート”がまず面白い。挙手を求めれば何人も手が上がる。MCが振ればコメントもギャグも変顔もコントもする。
正直お笑い講座でも受けたのか疑うレベルである。

特に佐々木久美、加藤史帆、富田鈴花の積極性は他メンバーのモチベの底上げも担っていると思う。なおかつこの積極性に溢れたメンバーたちが他のメンバーを立てることが多い、これは本当に大事だ。


大ボケの2人

バラエティには大ボケと呼ばれる人がいる。編集点を作りやすい人である。

『ひらがな推し』で言えば井口眞緒と齊藤京子だ。

最近『さんま御殿』に抜擢されたことでも話題な井口眞緒。とんでもないキャラクターである。散らかったマシンガントーク、MCに無茶振り、暴走。
しかし、頭の回転は早いのかセンスがあるのかはわからないが、〇〇の再来という大喜利に近い回答を求められた際「与沢翼」と答え若林さんを本気で爆笑させた。

「スナック眞緒」というコーナーでは自分を卑下した上でメンバーをユニークに立てる。ここで〇〇やってみて!という演出に近いこともやってしまうのだ。

この思い切りの良さとメンバーへの優しさは『ひらがな推し』に欠かせない。(これはけやかけやKEYABINGOだが、虫を躊躇せずに食してしまうところはマジで引いてしまうのでやめた方が良い)

齊藤京子は破天荒である。

料理回では天然っぷりと破天荒さが入り混じった奇跡の回になった。天然だろうがなんだろうが、ナポリタンを作れと言われてパスタとインスタントラーメンを一緒に茹でる人はいない。しかし、齊藤京子はそれをやってのけてしまうのだ。
さらに、コメントを求めれば一言で爆笑が起きる。一番編集点を作りやすい人物だと思う。(それでいて歌やダンスが上手く顔面が良いという)

(この戦場に赴くかのような表情も最高だ)


確立したぶりっ子キャラ

アイドルのぶりっ子キャラは面白い。

柿崎芽実は最近になって「にゃあ」を連発している。可愛い。その時の流れとか関係なく「にゃあ」をぶっこむのだ。全く意味がわからないが、可愛い。そして笑ってしまう。可愛い。本当に可愛い。マジに可愛い。

宮田愛萌はぶりっ子キャラだが「スナック眞緒」でのサポートに徹する雰囲気から”出来る女”、”良い女”感が滲み出ている。本当に好き。

少し主観が出過ぎたが、2人ともタイプが違うぶりっ子なので観てて楽しい。可愛い。


スナック眞緒

本当に良いコーナーである。もはや本編の後にゆるく30分この番組をやって欲しいくらいだ。

井口眞緒の項でも書いたが、自分を卑下した上でメンバーを立てるのが上手かったりメンバー紹介が独特で興味深い。最近で印象的だったのが潮紗理菜回。

「ファンの人からは聖母って言われてるの、でも私たちからしたら赤ちゃんなの」

この、何気なくメンバー間の情報を入れてくる短くて秀逸なコメント。

このコーナー、メンバーはしっかりとした悩みを話に来る。それを若林さんと宮田愛萌がアシストをしながらメンバー間でやり取りをする。メンバーから始まりメンバーで完結するのだ。(正確には春日さんのまとめがあるが)
グループアイドル番組は埋もれてしまう人が出てくるのはしょうがないが、このコーナーはゲストメンバーのキャラを出来るだけ濃くしようと導いている。
オードリーを交えた茶番コントも最高だ。
メンバー全員登場させた後も新人として誰かスナックに加入させたり仲の良い何人かの来店など、様々な応用も効く。名物企画である。


まだまだ書きたいことはたくさんあるが、ここらで一回終わりにする。(長すぎる)

後編は

・喋れない2人

・ジェラシーキャラで売って欲しいメンバー

・クイズに強くなれば『潜在能力テスト』出れそう

・ラストに歌を入れる至高のアイドル番組

・オードリーのことが好きすぎる制作

について本気出して考えたい。

(エンディングテーマ、ポルノグラフィティ、幸せについて本気出して考えてみた)






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