サブスク・ビジネスにおけるリテンション率の重要性と向上のための施策とは?


1、サブスク・ビジネスにおけるリテンション率の重要性 

リテンション率とは継続率を意味します。
数式としては「リテンション率(%)=(期間終了時の顧客数 - 期間中に獲得した顧客数) ÷ 期間開始時の顧客 × 100」によって定義されます。
例えば、期首において顧客が100人いる場合、期間中に新規顧客を30人獲得したものの10人が解約したとすると、期末においては120人の顧客がいることになります。
これを例として上記の公式を用いて計算すると「リテンション率(%) = (120- 30) ÷ 100 × 100 = 90%」となります。 

リテンション率は、サブスクリプションのビジネスモデルにおいて特に重視されます。
理由は、サブスクリプションの特徴が、ユーザーの利用期間に応じて継続課金がなされる点にあり、リテンション率をあげて既存顧客がサービスから離脱するのを防ぐことが利益の拡大には必須だからです。
しかも、現在はサブスクリプションのビジネスモデルが一般化しつつあり、競合他社がひしめき合っています。そのような中で新規顧客を獲得する営業コストが以前に比べて高額になっているのです。
この結果、同じ労力とコストをかけたとしても既存顧客からは新規顧客の5倍の利益があがると言われます。そうだとすれば、サブスクリプションのビジネスモデルではリテンション率の向上に注力すべきといえます。

2、リテンション率向上のための施策

一般に、新規顧客獲得を目指すためには、サービス内容の質向上・価格の低廉化・サービスに付随する特典の付与などが考えられます。
しかし、これらの施策によって既存顧客のリテンション率があがるとは限りません。リテンション率向上のためには新規顧客獲得とは別の施策が必要です。

具体的な施策としては次の2点がポイントとなります。第一に、企業側が既存の顧客データの把握・分析に努めることです。
まず、どのような属性の顧客が、どのようなタイミングでサービスから離脱しているのか把握すべきです。
そうすれば、必ず一定の法則が見えてくるはずです。これが顧客の声を代弁するものであり、データと真摯に向き合い分析するのがリテンション率向上のための第一歩です。 

第二に、カスタマーサポートの充実により顧客満足度を向上させることです。目指すべきカスタマーサポートとは、既存顧客の抱える問題点を聞き取って、迅速かつ適切に解決へとつなげていくことです。顧客が持ち込む問題は千差万別であり、マニュアル化しての対応には限界があります。
このため、高度なコミュニケーション・スキルを持った従業員が不可欠です。このようなスキルを育てるためには実際の接客場面を想定したロール・プレイングが効果的といえます。

実践的な研修を通じて従業員の現場での対応力を育成すべきです。具体的には、顧客の相談内容を聞き取り対処するのは当然として、問題が持ち込まれた背景に対する分析力や、対応への迅速性、顧客の心情への共感力が求められます。
トラブルによって顧客のサービスへの満足度は極端に低下しています。対応力の高い従業員をカスタマーサポートとして配置することで、顧客のサービスへの満足度をプラスへ転換できれば、結果的に解約の危険も回避できます。小さなトラブルにも丁寧な対応をする。地道なプロセスを着実に重ねることがリテンション率を向上させるのです。

3、まとめ

サブスクリプションのビジネスモデルでは、購入はスタートラインに立ったにすぎません。せっかく自社のサービスを購入していただいたわけですから、既存顧客の満足度向上と、その結果としてのリテンション率向上には常に注意を払うべきです。
大切なのは既存顧客のデータを分析し、適切なカスタマーサポートを提供する地道な企業努力といえます。

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