小松台東 コマツダイ・EST       ~あなたと、あなたのだいじな贈りものと、小松台東~          ③

こんにちはこんばんは 小松台東(こまつだいひがし)です。こちらのnoteにて不定期の連載を始めました。

タイトルは「 小松台東 コマツダイ・EST 」。

「EST」はフランス語の「東」なので、「コマツダイ・ヒガシ」とそのままの意味もありますし、「確立された 定評のある」という意味の【established】の略でもあります。  定評のある、というのは言い過ぎのような気もしますが、もっと皆さんに小松台東のことを知っていただきたいという思いを込めて、お届けします。

小松台東が、小松台東のお客さんに会いに行きお話を聞く、という企画。



EST!EST!!EST!!! このイタリアワインの「エスト!」はラテン語で「ある!」 ある!ある!!ある!!!



第3回目は、前回に引き続き AKさんのお話の続きです。

「 小松台東の舞台は 淋しかったり、怖かったり、他人事でない気持ちで、 部屋の片隅にいるかのように観ています。  宮崎弁での芝居。舞台上の音にも耳をすませていたい、と思います。あの場面の、あの役者のあの仕草は何だったのだろうか、あの明かり(照明)には どんな意味があったのだろうか。 いろいろなものを見落としたくないのです 」 (前編より)

島根県松江市で生まれたAKさんは、大学進学を機に上京。大学院で政治哲学、政治思想を学んだ後、テレビ(報道)の世界へ。
多忙な生活の中、演劇に救われていたというAKさんは東日本大震災を経て、岩手へ転勤となりました。

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第2回  アリストテレスと石川啄木と そして、ことば  (後編)


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2016年から2年弱。岩手県盛岡で暮らした。
AKさんが遠方からTwitterを通してたくさんの舞台、たくさんの役者にエールを送っていたのを覚えている。 AKさんに励まされた役者も多いだろう。

盛岡では郷土芸能にも触れた。鹿踊(ししおどり)、 鬼剣舞  (おにけんばい)、神楽。以前から興味のあった高校の音楽部の合唱を聴きに出かけ、高校の演劇部や地元の劇団の芝居を観にいった。たくさんの地域の人と触れ合った。

 
 「 ことばや暮らしや文化、地域や人を描くドキュメンタリー番組を作りたくて、テレビの世界に入りました。 その思いは、今もずっと自分の根っこにあります。 盛岡で、初心に繋がることが出来ました。 
盛岡の石川啄木記念館の学芸員だった方にはとても仲良くしていただいて、折に触れて、啄木の歌について、表現者・啄木について、ふるさとについて、いろいろな想像を膨らませてお話しできることが楽しかったです。 元々、石川啄木も宮澤賢治も好きでしたが、あらためて『出会った』というかんじでした。  」
 
 

   「ふるさとの 訛なつかし 停車場の 
              人ごみの中に そを 聴きにゆく」

上野駅にもモニュメントがある啄木の詩だ。 盛岡であらためて啄木や賢治に触れたこと、 東北での経験が 演劇との繋がりをさらに深めた。 

 
「  「そ」はふるさとのことば。 懐かしい景色が立ち上がる歌。 宮崎弁での小松台東の創作に繋がる気がします。ふるさとにはいい思い出だけがあるわけではありません。  でも、そんな『傷』と共に思い出したくなるものがある。 小松台東を見て感じる「 芝居の中のふるさと 」を通して、「ふるさと」(島根 松江)と「第二のふるさと」(盛岡)を想います。 」


2年の岩手生活を経て、ふたたび東京に戻ってきた。  
コロナ禍の2020年の夏、「旅立て小松兄弟」(下北沢・劇小劇場)を観た。松本と瓜生の2人芝居だ。 
私もあの舞台のことは忘れられない。  緊急事態宣言下の3カ月あまり、家に閉じこもっていた。あの夏の、あの劇場の舞台から見た客席の風景はこの目に焼き付いている。  

 
「 客席最前列で、2人芝居を見ました。 芝居を劇場で、有観客で行うこと、観ること、双方に戸惑いのあった時期だと思います。 劇中の 『 実現できれば、それが現実 』 というセリフに涙が止まりませんでした。 
自分が、劇場に通うこと、観ること、笑ったり、泣いたり、見つめたりすることが、表現をされるみなさんの応援になったら、と。 ともに幸せな双方向の関係があったらうれしいなと妄想しています。  」

 

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『アリストテレスと石川啄木に、共通することはあるでしょうか』
少し、難しい質問を投げてみた。
 

「 これまで考えたこともありませんでしたが、2人とも、『 人をしっかり見つめている 』 ような気がします。 人が人との生活の中でよく生きるということは何なのだろうと、「実践」について考え続けたアリストテレ
ス。 啄木も、まわりの人たちをしっかり見て、その心を想い歌に表現しています。
啄木の歌は、「ツイート(つぶやき)」のように感じることがあります。景色があって、悲しいことも、うれしいことも、率直で。人間的で、思い出の中のふるさとが、哀しくも恋しくもあるような。」 
 
 

「 一渥の砂 」   復刻本


石川啄木記念館の学芸員だった友人に手渡されたのが、この復刻本 
「 一渥の砂 」 だ。 

この本の中から一句選ぶとしたら、どの歌を選びますか?  

「 不来方(こずかた)の お城の草に 寝ころびて 空に吸はれし 十五の心 」


 


「 『感受性豊かに生きる』『可能性を胸に輝く』、そんな景色が目に浮かぶ、美しい歌だと思います。啄木の歌には、命と暮らし、ことば(方言)や地域の記憶に通じるあたたかさ、共感、そして嫌なことも含めて、いろいろな
ものを感じて、想って、心動かされます。 いろんなところにいろんなものがあっていい。いろんなものがあるからいい。  それがとっても大切だと思うんです。 」



お話ししていると背筋が伸びる。 
なんども姿勢を正した。
Aさんの声や表情から滲み出る暖かさと、知性のあるエピソードに、私の気持ちも凛とした。
アリストテレスのことを勉強してみようかと伝えると 
「 ニコマコス倫理学 」という本をすすめてくださったので早速読み始めました。

空に吸はれし五十の心。だ。



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AKさん  ありがとうございました。
お話を聞かせていただいたのが、3月の、まだダウンコートを着ている季節でした。 なんだかあわただしく過ごしてしまい、気がつけば2箇月も経ってしまいました。 
その間、文章の添削のやり取りをしたり、AKさんの最寄りの駅と聞いた町の見事な桜の前を通り過ぎた際にはメールの交換をしたり、松本の作演出の銀平さんの企画の初日公演でばったりお会いしたり、いつも丁寧にやさしくお気遣いいただいたAKさんに、あらためて感謝申し上げます。


今後ともどうぞ、応援よろしくお願いいたします。
私たちもAKさんを応援しております。


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小松台東とお話してみたい、と思った方、ぜひ info@komatsudai.com までメールにてご連絡ください。 
ご連絡いただいた全員とお会いするのはむずかしいかもしれませんが、なるべくたくさんの方のお話を聞きに出かけていこうと思っております。 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
この企画はお客様を、匿名(イニシャル)でお呼びします。
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小松台東 次回公演は 2023年8月3日から13日まで  
「 オイ! 」 
下北沢ザ・スズナリ です。
チケット発売は6/24です


情報公開まもなくです。
客演の小椋毅さん




小松台東も皆様を、強く強く強く、応援してまいります。
皆様も小松台東オリジナルトートバッグを手に取って、
     応援いただけたらうれしいです。      

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  2022年 5月  小松台東



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