30年ぶり#2

あのあとこの先生から妙なメールが来ていてスルーした。胸くそ悪い内容だったと思う。思い出したくないけど、このnoteは読み返すことなんかいちいちなくて実態のないスペースデブリのように思ってるので書いておく。

今日着信があってたまたま出れちゃうタイミングで出てみた。もう私にとっては関わることのない人。

と思いつつ、これがもし具合でも悪くて死にそうで最期に話したくてかけてきてくれたのだったら…?と一瞬で考えが巡ってしまった。

最近どうしてる?からの近況は差し支えない話題。就職したし後ろめたいことなんて何もない。習字も続けて順調だし人間関係も良好。

そしてそうこうするうち、あなた好きな人はいるの?

黙ってしまった。


そこで何だかんだの言い訳をして電話を切った。

そんなこと貴方に言う筋合いない。し、

いなかったらまたそれで何かの説教が始まる気がした。

もう私にとって貴方はかつて尊敬していた先生ではない。肉親でも親戚でもない貴方に私の生き方を否定されて酷く傷ついた。もう関わりたくたくない。そう思った。でもそのことを伝えることはしないでおいた。

もう忘れてしまおうと思っていたから思い出すのに時間がかかったが、かつての先生は恩師だ。と思っていた。大学を中退しようとしてきかない私を説得しようと私の父親を説得しようとした人なのだ。担任でもない。私がなついていた英語の講師。

まあそもそも私は新聞奨学生で大学へ行き、父は大学行くのを反対するような人だったのだから先生の思惑は空振りに終わった。だけど私が恩義を感じていたのは、何年もたってからやはり大学を卒業したいと入り直した時に、あれだけ真剣にとめてくれようとした人が私の人生の中に一人でもいたということが、後の私の人生において支えになったということなのだ。だから卒業から何十年もお礼を言いたい気持ちがあって、先生は体も弱かったからもう死んでしまっているんじゃないかと思っていた。でももう大丈夫。こういう人は死なないんだな。本当に。もう心配することないわ。

もう次の電話には出ない方がいいだろう。

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