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妄想日記㉙もしも私がおじさまだったら。

「ということで、頼むよ」
「待ちなさいよ」
小奇麗に整えたおりんさんを頼子に任せて応接室を出ようとしたが、やっぱり止められた。
「時間旅行の件はいったんおいておくけど、タダで済むと思ってるの?」
「もちろん、授業料は払うよ。そうそう、久美子おばさんが請求書を送ってほしいって言ってたよ」
「それは当たり前のことよ」
「あ、なるほど。俺に何かしろと」
頼子はソファに座っているおりんさんをチラリと見た。
襟足に指を添えて首をかしげている。
「あなた、この年になったら茶飲み友達がちょうどいいなんて言っていたけど、私、知ってるんですからね。ここ最近、女の子たちと出歩いているの」
「さすが。探偵でもつけているの。驚きはしないけど。わかったよ。また連絡してくれよ」
おりんさんは澄ましたままだ。
「じゃあ、許す」
「おりんさんをいじめるなよ。因みに俺はおりんさんにはまだ何もしていないからな」
「わかりました」
「おりんさん、じゃあ、がんばって」
「はい」
俺はようやく頼子から解放された。

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