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コミネキ欧州見聞録

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ドイツの小都市を中心に、コミネキが今まで訪問した欧州都市をご案内いたします。
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欧州の街と緑 かつての生活を支えていたものは…

コロナ禍をきっかけとして、突然自由になった時間。 PC環境が整わないまま始まった非効率なリモート・ワーク… 実際に仕事の案件が減ったこともあり、溜まり切っていた有給消化を勧められる。 そんな時間が、いつかはやろう…と思っていた旅の写真をまとめるきっかけを作ってくれました。 ウェブに投稿するつもりで集めたものではなかったので、絵ハガキを購入して写真を撮らなかったり、由来をしっかり覚えていないうえ詳しい資料を持っていなかったり、古くてもう状況変わりすぎ…等々色々… 他にも思い

映画とダンスとモノレール 何かが何となく懐かしい街

突然ですが、前世紀、しかも昭和の話。 1980年代末、ちょっとしたドイツ・ムーブメントが起きました。1987年にヴィム・ヴェンダース監督の映画、ベルリン天使の歌が公開(日本での上映は翌1988年)。1989年9月にはピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踏団が来日公演。そして、同年11月9日ベルリンの壁が崩壊… 東西冷戦を扱ったハードボイルドミステリーとは異なる文化的な面がクローズ・アップされました ヴィム・ヴェンダース監督と言えば「パリ・テキサス」(1984)が当時の代表作でした

この地に住んでいる人は 今でもNeanderthaler(ネアンデルタール人)です

先史時代の旧人として世界史の授業で習ったネアンデルタール人。 ドイツのネアンデルタールで発見されたため、このように名付けられたのですが、このネアンデルタール(Neanderthal)、デュッセルドルフから電車でおよそ15分と、とても行きやすいところにあります。 ネアンデルタール人は、およそ20万から30万年前の氷河期に出現し、約3万年前に滅亡したヒト属の一種ですが、現生人類(Homo sapiens sapiens)の直接の祖先ではなく、最も近い、いわば親戚にあたるそうです

今も尚広がる闇の世界… 足を踏み入れる際はご用心

フランクフルト近郊にある小さな街、ケーニヒシュタイン・イム・タウヌス (Königstein im Taunus)。フランクフルトおよび近郊にお住まいの方の週末散歩にはうってつけの田舎町…と言いたいところですが、このあたりは結構な高級住宅地でもあります。 この街にはケーニヒシュタイン城の史跡があり、中を見学することができます。小高い丘の上にあるお城に向かっていくと、先ず門を抜け、さらに先へ進んでトンネルを潜り抜けるのですが… このトンネル、途中で完全にBlack Outしま

大聖堂の屋根の上 あの人影は誰でしょう?

フランクフルトの隣街、マインツ(Mainz)と言えば、先ずはマインツ大司教の司教座聖堂。マインツ大聖堂はドイツ三大聖堂に数えられていますが、残念ながら、他の2聖堂(トリーア大聖堂、ケルン大聖堂)のように世界遺産には登録されていません。(今後に期待です。) 他にも、活版印刷を発明したヨハネス・グーテンベルクの出身地、また、ドイツ三大カーニバルの一都市としても有名です。(後の2都市はデュッセルドルフとケルン) マインツの大聖堂の名前は聖マルティン大聖堂と言うのですが、その名の通

ルービックキューブのよう と言われた革新的なデザイン 実はこの街以外にもあるのです…

オランダ最大の産業都市で世界屈指の貿易港を擁するロッテルダム(Rotterdam)。日本の神戸港(1967)と東京港(1989)とも姉妹港関係にあります。 この街にはちょっと変わった住宅が…  1984年に完成したキューブ・ハウスは45度に傾いたサイコロ型の集合住宅。全部で38ユニットあるそうなのですが、現在、そのうちの一戸を公開しています。 築40年を過ぎていますが、今も尚、斬新ですね。 キューブ・ハウスはオランダ人建築士のピート・ブロムによって設計されたのですが、実は

真珠の耳飾りの少女 に会いにいった筈なんだけど…

アムステルダムとロッテルダムに次ぐオランダ第3の都市デン・ハーグ(Den Haag)。オランダ議会の議事堂が所在している他、王室の宮殿や中央官庁、各国の大使館などが集まっている政治の中心都市です。 デン・ハーグ訪問の目的はマウリッツハイス美術館。 ここにはフェルメールの真珠の耳飾りの少女、デルフトの眺望、ディアナとニンフたちの3作品、ルーベンスやレンブラント等のコレクションがあります。 と言うことではありますが、観光案内所で貰ったデン・ハーグの美術館というパンフレットによ

人の手の入った風景を原生に… 取り戻された姿ってどんなだろう?

のどかに広がる自然の風景… とは言え、実際は人の手が入り、都合よく整備された景色がほとんどなのではないでしょうか? ヨーロッパ屈指の日本人街のあるデュッセルドルフの近郊、のノイス郊外に、自然と芸術の併存を理念として建てられたインゼル・ホンブロイヒ美術館(Museum Insel Hombroich)はあります。 広大な野外美術館の敷地内にはパビリオンと屋外展示品が点在、古代オリエント、アフリカ、オセアニア、中国漢唐時代、ヨーロッパ近現代絵画彫刻などが展示されています。

芸術とは何か? 現代美術の街でちょっと聞いてみた…

ヘッセン州にあるカッセル(Kassel)は国際的な現代美術展ドクメンタの開催都市。現在は5年に一度開催されていて、次回開催は2022年です。 現代美術、コンテンポラリーアート… 美術館を訪れたら、ドイツに限らず目にすることも多いのでは。 とは言え、作品を前に考え込んでしまうこともしばしば… かつてのガイドブックには、美術館で作品の質問をすると答えてくれるというようなコメントが多かったので、期待しながら館内の女性に聞いてみたところ… 良く分からないけどここに並べられたものが

北ドイツの芸術家村 駅はあるけど電車は来るの?

北ドイツ、ブレーメンから北にバスで小一時間ほどのところにある小さな村、ヴォルプスヴェーデ(Worpswede)。 19世紀末、都会に背を向け、自然のなかでの素朴で質素な生活に惹かれて集まった芸術家がコミュニティを形成。ユーゲントシュティール、印象派、表現主義といった芸術家が、ヴォルプスヴェーデ芸術家コロニーにて活動を開始しました。 パウラ・モーダーゾーン=ベッカー、オットー・モーダーゾーン、ハインリッヒ・フォーゲラー、フリッツ・マッケンゼン、クララ・ヴェストホフといったヴ

英語読み? ラテン語読み? ウェストファリア はドイツ語読みではありません

ノルトライン=ヴェストファーレン州(Nordrhein-Westfalen)にある街、ミュンスター(Münster)。1648年に近隣のオスナブリュックと共にウェストファリア条約が締結された街です。 17世紀ドイツ、宗教改革の後にプロテスタントとカトリックとの対立から宗教戦争が起こります。ところが、当時の欧州諸国の情勢からハプスブルク家に対するブルボン家の抗争に発展、カトリックのフランスが反ハプスブルクとしてプロテスタントを支援、北欧プロテスタント国のスウェーデンまで介入し

君の名は… カール? シャルル? それともチャールズ!?

5世紀後半にゲルマン系フランク族によって建てられたフランク王国。カール大帝(Charlemagne / Karl der Große : 768-814)の時代には現在の西ヨーロッパのほぼ全域を治め、800年にはローマ教皇から皇帝の帝冠を授かり、ローマ帝国の皇帝となります(歴史的には初代神聖ローマ皇帝と位置付けられています)。とは言え、カール大帝の死後、フランク王国は分割相続により分裂し、現在のフランス、イタリア、ドイツの礎となっていきます… で、古代ローマ、キリスト教、ゲ

世界的なメッセ都市 赤い糸が繋いでくれるのは…

世界最大級のコンベンション・センター、ハノーファー国際見本市会場を擁し、総合産業見本市 ハノーバーメッセ、IT関連見本市 CeBITが開催される街ハノーファー(Hannover)。 ニーダーザクセン州の州都で、ビジネスのイメージが強くありますが、中世にはハンザ都市として繁栄し、1714年にはステュアート朝の断絶を受けて、ハノーファー選帝侯ゲオルク1世がイギリスのハノーヴァー王朝を開きます。 1814年にはウィーン会議を経てハノーファー王国が成立しますが、普墺戦争でオーストリ

祝世界遺産登録!(2021年7月認定) ユーゲントシュティールの芸術家コロニーへようこそ

フランクフルトから南に約30㎞、鉄道では20分ほどのところにある街、ダルムシュタット(Darmstadt)。19世紀末にこの街に造られた芸術家村が、この度ダルムシュタットの芸術家コロニーとして世界遺産認定を受けました。 最後のヘッセン大公となったエルンスト・ルートヴィヒがマチルダの丘に芸術家コロニーを創設し、ユーゲントシュティール運動を擁護。 コロニー内には大公とマチルダ妃の結婚を記念して建てられた結婚記念塔があります。 塔は結婚式の宣誓の手がモチーフとされ、5本の指を表