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お点前(てまえ)の道具

茶碗(ちゃわん)
茶碗は古くから「一楽二萩三唐津(いちらくにはぎさんからつ)」という言葉がある。茶碗の扱いやすさなどから好まれる茶碗の産地の格付を表しており、1位が京都の楽焼(らくやき)、2位が山口県萩市の萩焼(はぎやき)、3位が佐賀県唐津市の唐津焼(からつやき)と言われている。高価な茶碗だからいいというわけではなく、亭主が客をもてなすために、お茶を点(た)てやすく、おいしくいただける茶碗を選ぶことが大切とされる。季節によって、茶事などで客の好みなどに合わせて茶碗を選ぶことを茶碗組(ちゃわんぐみ)という。釜や水差しなど道具を選ぶことは道具組という。

夏茶碗(なつちゃわん)冬はお茶が冷めにくい飲み口の狭いもの、夏は冷めやすいように飲み口の広がったものを使う。

様々あるお茶碗の形状

出帛紗(だしふくさ)
主に織物や染物の絹布(けんぷ)で仕立てられ、亭主が濃茶(こいちゃ)を出す際に使用する。客も出帛紗の上に茶碗を置いてお茶をいただく。

帛紗(ふくさ)
服紗や袱紗とも書く。お点前で茶器(ちゃき)を清めるときに用いる。生糸(きいと)を平織り(ひらおり)した布で流派により色が異なり、また男子と女子で大きさも異なる。お点前の時は腰につけておき、チリ打ちして茶器(ちゃき)などをふく。


扇子(せんす)
お茶で使う扇子は普通のものより小さく、挨拶をする時や軸や花、道具などを見る時に自分の前に置いて使う。裏に歴代の家元が書かれている。

(なつめ)、茶杓(ちゃしゃく)、茶筅(ちゃせん)、茶巾(ちゃきん)
(なつめ)は薄茶(うすちゃ)を入れる薄型の木製の茶器(ちゃき)。上下同じように面を取った背の高いものは雪吹(ふぶき)といい、様々な形がある。
茶杓(ちゃしゃく)は抹茶(まっちゃ)をすくうためのもの。茶筅(ちゃせん)は抹茶とお湯を混ぜお茶を点てるためのもので、例えば表千家は煤竹を、裏千家では白竹で造るなど流派により異なってくる。茶巾(ちゃきん)は茶碗を拭くためのサラシの布。

柄杓(ひしゃく)、水差し(みずさし)、蓋置(ふたおき)、建水(けんすい)
柄杓(ひしゃく)はお釜のお湯や水差し(みずさし)の中の水を茶碗に入れる時に使う。水差しは陶器やガラス製など様々な材質と形があり、茶碗をゆすいだり、釜の湯が減った時に水を足すために使う。蓋置(ふたおき)は竹製や陶器、金属製で出来た(かま)の(ふた)を置くもの。建水(けんすい)は茶碗をすすいだ湯や水を捨てる器。こぼしともいい金属製や塗り物、陶磁器製などがある。

(たな)
棚物(たなもの)は、茶席の道具畳(どうぐたたみ)に据えて、点前(てまえ)に際して茶道具を飾り置く棚の総称。種類も多く、天地(てんち)2枚の板でできた台子(だいす)、畳幅に近い大きな大棚(おおだな)、大棚の半分程度の小棚(こだな)があり、小棚には台子系の四方棚(よほうだな)、高麗卓(こうらいじょく)、袋棚系(ふくろだなけい)の水指棚(みずさしだな)、卓系(たくけい)の丸卓(まるじょく)、そのほか山里棚(やまざとたな)、三重棚(さんじゅうだな)などがある。一枚の板の長板(ながいた)を置くこともある。また、桐木地の四方箱で、倹飩蓋(けんどんぶた)になった旅箪笥(たびだんす)もある。

立礼卓(りゅうれいじょく) 明治初期に考案され、椅子に座って点前ができる。様々な形がある。

台子・臺子(だいす)
水指などの道具を置くための棚物の一種。真台子(しんだいす)、竹台子(たけだいす)をはじめとして様々あるが、格式の高い茶礼で用いるものとされており、真台子は献茶式などで用いられる。真台子を用いた点前は奥儀・奥伝・奥秘などと呼ばれて最後に伝授される。


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