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鵜呑みの食事。

 昨晩、寝る前に旦那さんと反ワクチン、陰謀論について話した。私は職業柄いわゆる『自然派』のような人に触れることが多い。ここで私が言う『自然派』とは野菜は無農薬、添加物のないおやつ、ホルモン剤を打たれていない牛さんの乳製品、放牧され牧草を食べて育った牛さんのお肉、抗生剤を最小限に抑えた豚さんのお肉、平飼いの鶏さんの有精卵、お魚は頭から尻尾まで食べられる大きさのお魚まで、もちろん養殖ではなく天然、洗浄力は抑えられ香料のない洗剤……等を好む方々だ。その生き物や植物に対して不自然だと思われるものは体に悪いという思考。

 そういった方々の中に反ワクチンが多いように感じる。そもそもコロナが始まる前からワクチンを打たないという発想が定着している人々は、そういうナチュラルに拘る層ぐらいしか居ないのではないだろうか。世の大多数の人には予防接種を受けないという考えすらない人が多いのだから。

 この『自然派』の中にもたくさんのグループがあるが、私がよく接するのは玄米菜食主義の方々。白い物は悪いものという考え方だ。小麦粉、乳製品、白米、白砂糖、精製塩は悪。果物はくだらぬものとしてあまり食べない、動物性の物は最小限、加工肉なんてもっての他、葉物の野菜は体を冷やすので根菜がメイン。初めてそれを知ったのは10年前。当時はそうなのか~ふむふむと思った。私にはまだ否定する材料も肯定する知識もなかった。

 そこから私の情報収集が始まった。『自然派』な方々が好む作者さんの本を読み漁った。勉強会があるからと誘われたら参加もした。日本で一番大きな玄米菜食系の会長の奥様と直接お話しする機会も持てた。そして、それを実践する難しさを目の当たりにした。スーパーに並ぶもので彼らが良しとする食品が少ない。そうなると専門の小売店や宅配サービスでしか食品を購入する選択肢がなくなるのだ。ちょっとお値段は高いけど体のために家族のために思想のために、そこで購入する。皆さんすごく食にお金をかけていた。

 私が情報収集を始めてから3年目頃だろうか、糖質制限ブームが到来した。動物性の食品が少ない玄米菜食とは真逆の発想。それでも食に拘るという点は一緒であった。真逆だからという理由で否定したりはできないと思い、次は糖質制限についての情報収集が始まった。玄米菜食はどちらかと言えば古き時代の食事、いわゆる粗食こそが正解のような考え方だが糖質制限は現代の栄養学をベースに考えられている。古いものを掘り下げる事が私の仕事。だから仕事では玄米菜食がしっくりきていたが、育ちは現代なので栄養学をベースに考えられた糖質制限は理解するのが簡単だった。

 糖質制限は私の仕事の専門性に磨きをかけてくれた。糖質制限だけではなく分子栄養学の本や情報も漁った。講習も受けにいったし実際に1年間実践もしてみた。実践していくなかで思うような結果に結び付かず、より情報を求めるようになった。そのお陰でより理解を深められたし、食べ物が体に何らかの影響を及ぼすことはよく分かった。そして、こちらもまた食にお金をかけないと続けにくいのだ。

 両極端な2つを学び共通していることは白砂糖は良くないということとミネラルは大切ということ。栄養の吸収力の個人差は大きく、同じ食事を取っていても各々不足するミネラルに違いは出る。それが心身の不調に繋がる。
それと、過去の生活を例として上げることで、それが人間に合った食事だと両方とも述べている。ただ、どこの時代を切り取るかの違いなだけであって、狩猟民族だから…農耕が始まり病気が…動物性のものはあまりとらずにきた…歯の本数から言えることは…などと都合のいいところを切り取るのだ。

 疑わない人、自ら学ぼうとしない人には、説得力のある内容に聞こえるのだと思う。私は両方の食事法を否定はしない。参考になる考え方はたくさんあったから。でも、私は両食事法を実践するグループ内で感じたことはどちらも攻撃的な人が一定数居ることだ。それがとても見苦しかった。WHOでも言われているが健康とは心身共によい状態。社会的にも経済的にも安定しているということだ。自分たちと違う食事法だから他者を蔑んだり叩き落とそうとするのは健康ではない。これは食事法以外の分野でも見かける。

 これまでに一番争いがなかったのは、皮肉なことに不食(食べない)や少食を選択してきた人たちであった。実際にお会いした方、本で読んだ方、記事で読んだ方……残念ながら多数ではないので上記の2つの食事法とは比較はできない。医師も採血などをして精密検査を試みるのだが、足りない栄養素などはほとんどないそうだ。そして、心穏やかに過ごしているとのこと。他にもチリの炭鉱で事故があり69日間閉じ込められた方々が誰も死なずに救出されたことがあった。報道でしか真実を知らないのだが、できる限りみんなでポジティブに過ごしていたらしい。

 これらのことから、私はなにを食べるかも大切だとは思うけど、どんな気持ちで日々を過ごし食事ができるかが大切だと思うようになった。どんなに栄養状態がいい食事でもネガティブな食事は身を滅ぼすだろう。胃腸の調子やその時の気持ちに従って食べたいものを選んだらいいと思う。

 30歳で生活がガラリと変わったときに1度飲食に対する箍を緩めた。お酒も甘いものも乳製品もパンも少しは取っていいだろうと。そして今回、初めて妊娠をした私は食事の箍を外した。妊娠したなら頑張れよ!と思うかもしれないが、気持ち良く食事を終えることができるものが限られていて無理だった。食事に甘味料(白砂糖ではないが…)をたくさん使うようになったし、乳製品も気にしないで取ることにした(本当は牛乳大好き)。毎日パンも食べるようになった。それでいいと思っている。要は自分が納得するかが大事なのだ。


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