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【仙川】レキュム・デ・ジュール

朝、目を覚ました瞬間からわくわくしていた。
前日の夜は、眠る前からどきどきしていた。

ついに、やってきた。
やろうと思えばすぐにでもやれた事。
自分のためのプチ贅沢。

わたしの2019年の密かな目標のひとつ。

朝ごはんを月に一度、外に食べに行く!


記念すべき初日は1月14日(月)成人の日。
場所は大好きな街、京王線の仙川。

仙川はライブハウスの無い下北沢というイメージ。
チェーン店と個人店が良い塩梅に混ざっている街。大きなお店もあれば小さなひっそりとしたお店もある。どこの道を歩いても面白いお店を見つける事が出来るので積極的に迷いたくなる街。ここで暮らしたいなあとさえ思っているほど。

角食が有名なパン屋さんのAOSANも、大好きなドーナツ屋さんのレポロも、月曜日が定休日。せっかく仙川に来たのに、と悔しくなる。


改札を出て右、京王チェーンのパン屋さんルパを正面にして左、ハーモニーロードをまっすぐ歩く。ABC-MARTも松屋も西友もある。

燻製好きとしては「燻製のおはなし」というお店が気になる。
妹の彼氏はわたしよりも年上で、趣味が燻製作りらしい。一度、梅干しを燻製にしたものを貰ったことがあって、それがまあ、なんとも美味しい!永遠に食べていたい。まいにち食べたい。良い彼氏を持ったね妹よ、と姉は密かにガッツポーズ。


ミスドの角を左に曲がると大きなホームセンターが見えてくる。大きいなあ、なんでもあるなあ、と感心しながら歩いていると通り過ぎてしまいそうになる。そんな場所にあるのが、レキュム・デ・ジュール

階段を登って、どきどきしながら扉を開ける。
今まで歩いてきた仙川の街とは全く違う別世界が目に飛び込んできて、それと一緒にレコードの大きめな音が耳に飛び込んでくる。

朝10時過ぎ、わたしたちが最初のお客さんだった。


「お好きな席にどうぞ」

その言葉にこんなにも悩んでしまったのは初めてだった。
小さな窓ガラスが四角くある席もとても素敵で、カウンター席も素敵で、うーんうーんと悩みながら座ったのはカウンターがよく見えるいちばん奥の席。

またもやうーんうーんと悩みながらメニューとにらめっこ。
わたしたちのすぐ後に入ってきたお客さんの方が注文が早かった。大きな音で流れるレコードの音にもすっかり慣れてきてそれが心地よくなってきたあたりでようやく注文する。


店内はあらゆる種類のランプとお花と膨大な数の本で埋め尽くされていた。わたしの席の近くにはフランスやパリの暮らしにまつわる本が並べられていて、恋人が手にとったのはねこ占いの本。
その占い、当たってる?いや、当たってないよね、なんてお喋りしながら珈琲を淹れるコポコポした音を聞く。居心地が良い空間ってこういう場所のことを言うんだろうなあ、とぼんやり考える。こんなにゆったりした気持ちで朝を過ごせるなんて、なんて贅沢!


先にわたしが注文したクロックムッシュが運ばれてきた。

うわ〜美味しい!とろりとしたチーズとハムの塩気。パンもとっても美味しい。ゆっくり一口一口に美味しさを感じながら口に運ぶ。だけど温かいうちに食べちゃいたいからそんなにゆっくりもしていられない。そのバランスが難しくてもどかしい。


恋人が頼んだのはシナモントースト。

どっちを頼もうか悩んでいたので一欠片ずつ交換する。
…信じられないくらい美味しい!カリカリでさっくさく。いや、ざっくざく?シナモンとザラメなのかな、この食感は。貰った一欠片を食べ終わってしまうのが悲しくてチビチビ食べる。食べるごとに「美味しい」って声が漏れてしまう。
こちらはホイップクリームとバナナ付き。お皿にいるリスがこれまた可愛い。わたしはバナナが食べられないのでホイップクリームだけちょっと貰う。
家で再現出来るのかしら。思い出しただけで胸が高鳴る。ときめいてしまうほどのシナモントーストだった。


そして、わたしが頼んだ飲み物が、凄かった。

その名もカフェ・クレーム。カフェオレにたっぷりの生クリームが乗ったもの。もう一つカフェ・カプチーノというシナモンとたっぷり生クリームのメニューもあって悩んでいたけれど、シナモントーストを(恋人が)頼むなら、こっち!と決めた。


スプーンもマドラーも無い。
持ってきてくれた奥様が説明してくださる。

「そのままお飲みください。生クリームを追うように」
「生クリームを、追うように」

聞き慣れない言葉に思わず反復してしまう。今までの人生で一度も生クリームを追いかけた経験は無い。

これで合ってるのかなとどぎまぎしながら生クリームを追って(いるつもりで)カップに口をつける。
あ、あま〜い。なんて幸せな甘さ。ほっこり、という言葉はカフェ・クレームのために生まれた言葉なんじゃないか、と思ってしまうほどのほっこり具合。甘いけど、くどくない。クロックムッシュを頼んで正解だった。シナモントーストとの組み合わせだと甘すぎるんだろうけど、クロックムッシュの塩気とカフェ・クレームの甘さを交互に楽しむことで大満足の最高の朝ごはんになった。


帰り際「ブックカバーってお使いになられますか?」と奥様が自分で折るタイプのブックカバーをくださった。茶紙に印刷されたオリジナルデザインのものを恋人と1枚ずつ貰う。

「ランプ、どれもこれも素敵ですね」とわたしが言うとにっこり笑って「あちこちで集めて増え過ぎちゃって」と返してくれた奥様。そこに恋人が「コンセント、大変ですよね」と急に現実的な話を出してくる。さらに笑った奥様が「そうなの、本当に。コンセントいっぱいあるんですよ」と。

通いたくなるお店だなあと思った。
ふらりと訪れて自分をリラックスさせてあげたい。


シチューが有名なお店なので次回はシチューにしようかな、でもパフェも美味しそうだったなあ、シナモントーストを今度はひとりで一皿食べたいなあ、今度はどの席に座ろうかなあ、なんて。すぐに「次」を考えてしまうそんな魅力的な喫茶店。


1日3食のうちでいちばん好きなのが朝ごはん。

最低でも月に一回は朝ごはんを外に食べに行く。
それがわたしの2019年の楽しみな目標のひとつです。

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