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航空英語能力証明の概要

国土交通省が行う航空英語能力証明は、ICAO(国際民間航空機関)が操縦士に課す航空業務に関係する英語力を公的に証明する国家資格です。

レベルは1から6まであり、レベル4以上が航空業務に適する能力とされています。

日本での航空英語能力証明試験の実施基準は、国土交通省のホームページを調べれば最新の情報が得られます。一次(学科)試験は、管制塔と航空機間のATC(航空交通管制)を録音テープの音声で聞き取り、各シーンに3つの設問に選択式で答えるマークシート方式です。ATCの音声は文字に起こされておりませんから、耳からの情報のみです。全体の7割以上正解して合格すると、二次(実地)試験を受験することが出来ます。こちらは試験官とman-to-manの個別試験で、飛行計画書を音読みさせられたり、漫画のようなイラストを見ながら、英語で状況を説明します。事故やヒヤリハットにつながるような場面のイラストが多く出題され、それに関連した事項を質問されたり、時には自らの経験談や意見を求められることもあります。

学科・実地試験とも東京と大阪で年6回ほど開催されており、何回でも受験出来ます。けれども受験料がいずれも3万円ほどかかりますし、地方にお住いの方々では時間的にも相当な負担がかかるでしょう。

国土交通省が行う航空英語能力証明に備える書籍には、成山堂書店「パイロットのためのICAO航空英語能力試験教本」や「パイロットのためのICAO航空英語能力試験ワークブック」などがありますが、特に二次(実地)試験対策に適当な教本がありませんでした。そこで本シリーズでは、国土交通省で近年行われている試験形式をもとに、自信と余裕をもって試験に臨めるよう工夫した内容となっています。また航空安全に寄与するようなコラムも設け、より興味深く、かつ関連知識が豊富となるよう読み通せるよう配慮しております。

一次(学科)試験に合格されていない方は、本シリーズの該当箇所を勉強してから、国土交通省ホームページにある最近の試験問題を解答してみて下さい。二次(実地)試験のみ受験しようとされる方は、第2部から開始されても構いません。なお今後使用する略号や専門用語は以下にまとめてあります。少しでも内容に不明なものがあったら、AIM-jなど関連書籍で確認するようにしましょう。


本書で使用されている略号・専門用語

AIM-j Aeronautical Information Manual Japan AIM日本版

ATC Air Traffic Control 航空管制

ATIS Automatic Terminal Information Service

FL Flight Level フライトレベル

ETA Estimated Time of Arrival 予定到着時刻

FAA Federal Aviation Administration 米国連邦航空局

FOD Foreign Object Debris 異物の残骸

HAZMAT Hazardous Materials 危険物質

ICAO International Civil Aviation Organization 国際民間航空機関

IFR Instrument Flight Rules 計器飛行方式

ILS Instrument Landing System 計器着陸用施設

IMC Instrument Meteorological Conditions 計器気象状態

ITU International Telecommunication Union 国際電気通信連合

MAYDAY 遭難通報

MEDEVAC Medical Evacuation 医療搬送

METAR 定時飛行場実況気象通報式

PAN-PAN 緊急通報

POB Passengers On Board 搭乗客数

QNH 高度計規正値

TCA Terminal Control Area VFR機が多い進入管制区

VFR Visual Flight Rule 有視界飛行方式

VHF Very High Frequency 超短波(30~300MHz帯)

VOR VHF Omni-directional Radio range 超短波全方向式無線標識施設


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