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航空身体検査を受ける

航空身体検査は、航空従事者が定期的に受けなければならない特殊な身体検査です。一般的な健康診査や人間ドックとは異なり、操縦士であれば安全に航空機を操縦できるように、航空管制官ならば的確に管制業務に当たれるように、心身に問題ないことを証明するための医学検査です。特に職業操縦士にとって、航空身体検査は引退するまで続く関門と言えるでしょう。大事なお客や品物を積んで飛行するので、心身の健康は最低限必要で、更に人間が普段行かれない上空の環境でも充分な操縦能力を発揮できる健康状態であることが求められるからです。

航空身体検査の基準は、民間と軍隊では異なります。民間では航空業務が遂行できる最低限の身体能力を有していれば適合となる一方、軍隊では敵部隊を打ち負かせるだけの身体能力が求められるからです。特に高高度や超音速の航空機を操縦する者には、多数の候補者から選抜するため手段にも用いられます。

このシリーズでは、民間の事業用・自家用操縦士に対する航空身体検査の概要を日米の制度を中心に説明します。特に大臣判定となることが多い疾病について、実際の症例をもとに解説し、同様な健康問題を抱えるエアマンに参考となる内容にまとめていきます。なお各症例の詳細な医学所見は、年齢、性別、既往症などによって様々です。シリーズで取り上げた事例が自らのケースに類似していても、それに対する最終判断は必ずしも一致しないことがあることを、予めご承知おき下さい。

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