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学生時代の思い出【寮その2】

お騒がせで有名な我が班であったが、個人的にもやらかした事がある
大学生になって、やりたい事の一つに自転車が欲しかった
ママチャリではなく、マウンテンバイクの競技用だ

バイトと奨学金(おいおい)で数十万の自転車を買い、納車の夜だった
それは出て間もない自転車で、確か数量も全世界で3000台程度しか
作られない逸品で、無理を言って日本入荷数台を
引っ張ってきてもらったのだ

自転車部の人に散々自慢をし、夜にも関わらず走りに行こうとなり、
その後をついて行った
京都の冬、気温はあっても3度やその程度だっただろう
目を細めてもじわじわと涙が浮かび、鼻は痛い
まだ体も温まっていないし、装備はTシャツ、フリース、ランニング用のウインドブレーカーと、室内着か?と言う貧弱さ
何一つ、冷え切った風を遮る能力がない

そこはまだ若さだけでなんとかなるはずだった
熱い心と身体は寒さを吹き飛ばすはずだった

住宅街に向かう裏道に入り、街灯もない細い道で
前からの車を避けるため横に寄って停車
草むらが見えたので、左足を置いた

はず・・・だったのだが

そこには大いなる大地は存在せず、枯れ草が刈られもせず伸び放題
あるはずの物へ、体重をかけたにも関わらずそこに何も無かった時に
人間は成す術がない
ニュートンが見かけたリンゴよろしく、万有引力に基づきその質量は下にのみ向かうのだ

そこは高さ2m以上の崖であり、下は川
今では考えられないが、ガードレールも付いていない
(卒業後通った時には付いていた)
しかも真冬なのにちゃんと水の流れはあり、
比較的上流の為そこそこ石もある
何故にガリレオは地球上では、「空気抵抗がなければ」重い物も、
軽い物も同じ速度で落ちると解明してしまったのか、
謎のままであれば私は足から落ちる事もあり得るのに
人間は頭が重いのだ

私は足を支点に頭から川に落ち、ほとんどが砂地なので水と砂に落ちれば
いい物を、頭がその少ない石にクリーンヒット
水に落ちる音しか耳には届かず、その時にはまだ私はただの真冬に
川に飛び込み泳いだ変態で済んだはずだ(いやそれでも良くない)
同行の友人曰く、
後ろからバシャーン!と水の音がして、大きな魚でも跳ねたのかと思い、
振り返った所、居たはずの私が居なくてパニクった、だそうだ

幸いにも意識は明瞭だった
そりゃ、真冬に川だもん目も覚めるわな
取り敢えず大事な自転車を道に持ち上げ、私も直角の壁をなんとかよじ登り
大事ないか、体を一周回って見てもらおうとしたが、
45度くらい回転した所で、友人が大声をあげた

後から聞いた話だが、私は白いウインドブレーカーを着ていた、
その背中がマントの様に真っ赤だったらしい
そう、頭はぱっくり割れて鮮血をダラダラと流していながらへらへらと
笑いながら話していたのだ

人間の機能とは良くできたもので、余りにやばい時はドーパミンがドパドパ出て(ここ笑うところですよ!皆さん!!)
痛みを感じないシステムなんですよね~
友人の大慌てぶりに私は??となり、救急車!と友人は言っていたが
頑なにその当たり前の処置を断り、
「取り敢えず寒いし着替えに帰りますか~?」などと呑気をかまし、
また自転車に乗って、寮へご帰還

すれ違う奴らは真冬にずぶ濡れで歩く男を見かけて
全員幽霊を見たかの様な顔をし、
二度見どころか、10度見くらいはしてるのでは?と言った状況で
シャワるかーと言う私を全力でホールドし、タクシーを呼んだ
そりゃ、ずぶ濡れの幽霊が出回るのは真夏だから、無理もない
(ソコジャナイ)

そのまま救急車でもないのに、救急へ連れて行かれ未だ呑気な顔を見た
先生は、じゃあ麻酔はいいか・・・
と、当直で面倒なのか手順を短縮し、そのまま針と糸で縫合をした
うむ、まだ昭和だったのか?いや平成だ
きっと麻酔が発明されたのは、この数年後なんだろう
そう言う事にしておこう

それ位から私のドーパミン噴出は止まっており、
「本当はこんなに痛いんだよー」と脳みそがやっとこさ
危険信号を私に伝えていた

そんな折、針が分厚い頭の皮膚を通る音・・・
ブツ、ブツ、ブツ…
おいおい
麻酔なしで出来るサイズの針なのか、それ?
犬用とか、マグロ用とかでやってない?

そして、あっと言う間に6か所を縫い
処置終了となり、大学名と説明を聞いた先生が
半ば溜息交じりで、お大事に~と
うん?レントゲンとかないの?
とも思ったが、まあいいやと

またしても日に2度もタクシーに乗ると言う贅沢をぶちかまし
(歩いて1時間だから歩くと言ったら怒られた)
帰寮

痛ぇ…

もうこれ以上付き合っていられなくなった脳みそは、
完全にドーパミンを止め、主である私に痛みを全力で伝えてきた
後頭部だったため、うつ伏せしか選べなかった
寝れないよな…と思ったが、ちゃんと寝た笑

翌日の朝食も当たり前のように食べ、その後の後遺症もなく、
若さは違う部分で発揮されあっと言う間に回復
血まみれのジャケットも翌日は綺麗にして復活
2,3日は頭痛もしてた気がしたが、あれどこ行ったんだろう
あの先生は手からX線でも出せるのだろうか?
内出血とか疑わんのかね?
まー、アホな学生は相手してられんわ…と思ったんでしょうね
私もこれが他人事だったら、そう思いますもん

みなさんも、ちゃんと麻酔はしてもらってから縫合してもらってね!
とっても痛いから
お兄さんとの約束だよ!!


次回、アホ学生翌月は前頭部を縫うに続きます 笑



自己肯定が爆上がりします! いつの日か独立できたらいいな…