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『隙あらば猫』町田尚子さん絵本原画展で (しまなみ海道、尾道へ②)

雨のしまなみ海道をこわごわと走り、やっとのこと本州へ辿り着いた。自分の車で四国から出たのは初めてであるし、しかも土砂降りの雨だったので、非常に緊張感のある道のりだった。

高速を降りてからは携帯のナビの通りに行けたこともあり、目的地の尾道市立美術館へはすぐにたどり着いた。この時にはもう緊張感よりもずっとワクワク感が大きくなり、雨のことなんて全く気にしていませんでした。

初めての土地、尾道。

到着したのは11時過ぎ。高知を出て4時間弱。寄り道が多すぎたかなと反省しつつ、駐車場に車を停め、美術館に向かって歩いて行く。
雨の中、猫柄の傘をさして猫の原画展を観に行く。

玄関前の大きな猫ちゃんに挨拶をして、入館!
親切な警備員さんに迎えられ、それだけでもうホッコリ。さらには受付のスタッフからも温かいおもてなしを受け、来た甲斐があった〜!と、私のワクワクはほぼ絶頂に達していた。
順路を案内していただき、いざ原画展会場へ。

猫好きなんだけど、猫を飼っていない私にとって町田尚子さんの絵本は必要不可欠なもの。とても表情豊かで愛らしくって悪戯っぽくて、手を伸ばせばふわふわのあの感覚が伝わってくるような絵がなんとも言えないのです。
猫絵本じゃなくても、町田尚子さんの絵本には必ず猫が出てきます。そして町田さんが愛して止まない愛猫、白木くんがいるのです。

私が手にした町田尚子さんの最初の絵本は『ネコヅメのよる』でしたが、実はその前に図書館で出会っていた絵本がありました。
『さくらいろのりゅう』です。

いつも、ひとりぼっちのコイシに初めてできた友だちはりゅうでした。ある日、りゅうがコイシに青いうろこをくれたので、コイシは自分のたからもののさくらいろの貝と交換します。そのうろこが、村の男たちの目にとまり…。

この絵本の表紙に惹かれ借りて読みました。なんとも切ない気持ちになったのを覚えています。何度も借りて読んでいました。(今はもう我が家にお迎えしています)この頃はどなたが描いた絵本なのかなんて、気にもとめていなかったので、猫絵本に出会ってから町田尚子さんの作品だということがわかりました。

絵本の原画展というよりも、本当に絵画を見ているようでした。

大好きな『ネコヅメのよる』のたくさんの猫たちの表情を見ていると、自分も仲間に入れて!って言いたくなるし、『なまえのないねこ』では絵本では見れない貴重な絵も見れました。
そしてまだ手にしていなかった『マッチうりのしょうじょ』の少女のきれいな澄んだ瞳に、思わず涙したりして…。

また絵本になる前の資料や絵コンテなども展示されており、絵本になるまでの過程を知る事もできます。本当に何度も試行錯誤され、絵本を手に取る側のことを考えて作ってくださっているんだなと思ったら、ますます町田尚子ワールドにのめり込んでいってしまいます!(それが嬉しい!)

町田さんの最初の絵本『小さな犬』をこの尾道で初めて読むことができました。泣いている女の子を元気づけようとする小さな犬。いろいろ試してみるけれど、女の子はまだ泣いています。どうしたらいいかわからなくなりそっと寄り添う。
寄り添うってできるようでなかなかできないこと。どうしても解決してあげようとか、力になりたいって気持ちが先になり、余計なことしてしまったりしてしまう。寄り添って、肩をポンポンってしてあげられるようになれたら…って思いました。

平日だったのもあり、作品を一枚一枚をゆっくり見ることができました。

そして売店ではまだ持っていなかった絵本と、尾道限定のポストカードとグッズを購入。
他のグッズは既に猫グッズや猫絵本を扱っている馴染みのショップから通販で購入済み。町田尚子さんにとっても貢献していると思うよ、私って(^^)

画集『隙あらば猫』は発売前に予約注文していました。注文後にサイン本が発売されるということを知り、しまった!と思いましたが、これは絶対観賞用と保管用の2冊は欲しい!と思って2冊購入済みなのですが、ここでも3冊目を買っちゃいました。
3冊も飼ってどうするの?って言われたら…それはプレゼント用にねって答えます。猫好きの娘に。欲しいって言ってないけどプレゼントします。

売店で精算してくれたお姉さんの妹さんが高知にいらっしゃるとの事で話に花が咲きました。尾道に来て高知のお話ができたなんて最高ですよね!

喫茶コーナーではメロンソーダが飲めるということでちょっと休憩してもちろん、メロンソーダをいただきました。そして焼き菓子を2つ。
尾道市立美術館に出入りするケンちゃんとゴッちゃん色の焼き菓子で、一緒にお茶してる気分なりました。お茶の間も売店のお姉さんが話し相手になってくれて本当に楽しい時間を過ごすことができました。尾道に来てよかった!

本当はもっと見ていたかったのですが、今回は日帰りの予定なので、正味2時間の滞在で尾道を後に…。

尾道まで来たのだから、尾道ラーメンとか美味しいものでも…って普通はなるのでしょう。でも私は今回はとにかく町田尚子さんの原画展に!としか考えてなくて、2時を過ぎたところからラーメン屋さんを探して行くということも、何だか中途半端で出来ませんでした。
案の定、高速に入る道がわからなくなり、ウロウロしてやっと帰り道に。

帰りは雨も上がり、景色も眺めながらしまなみ海道を戻っていきました。晴れたらもっと爽快に走れたのになぁと思いながらも、美術館の喫茶コーナーから尾道水道を眺めることもできたので、本当にいい旅になりました。
そして今治まで戻り、数年ぶりの友だちと再会。
話せた時間は僅かでしたが、久しぶりとは思えないくらい気さくに話せたことが本当にありがたかった。最後はまた来るね!と約束。 

ここからまた寒風山を通って高知へ向かう。
西条までで5時。山を越えたら辺りは暗くなって家へ着く頃はもう夜だな…と考えながら車を走らせていたら、すれ違いのできない崖っぷちの道で対向車が正面に!どっちが待避所に近い?えっ⁉︎相手下がる気ないの?わ、私がバックしなくちゃならない?あ、そちら様、県外ナンバーですか…。
車幅ギリギリの道で、しかも山道でバックしなくちゃならなくて。でもなんとかバックミラー見ながら待避所まで下がることができ、相手を通すことが出来ました。なんだ私って結構運転上手いんじゃん!と、旅の最後の最後に自己満足に浸って家に帰りつきました。

普段はあまり会話のない夫に、今日の出来事があまりにもよかったので、話したくて話したくてマシンガンのようには話せなかったけど、一方的に話していました。
夫へのお土産に、サービスエリアで買った尾道ラーメン食べ比べセットを買ったのですが、それが美味しかったと言ったので、じゃあ行く?尾道に。私また行きたいんだよね〜尾道に、原画展に。一緒に行って帰りにラーメン食べて帰るの。あなたの車ならETCあるし。

そう、私の車にはついてないの、ETCが。
運転に自信がないし、高速道路使うほど長距離の運転なんてしないと思っていたから付けなかったの。付けていたら往復で2,000円ほど安かったのに。絵本がもう一冊買えたのに。
なので今度は夫の車でしかも運転してもらったら楽だよね。

さらにまた別の日に、保育園の帰りに寄った三女に話し、話している間にまた行きたくなってしまい、この原画展の最終日が私の誕生日だから、その日にもう一度行こうと思ってる。と話したら「じゃあ一緒に行く?運転していくよ、みんなで(三女一家と)行こうよ!と言ってくれたのである。

ということで、あと2回は猫たちに会えそうだ。

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