今後のオンライン勉強会について

 現在、オンラインで「二つの菩提心(世俗菩提心・勝義菩提心)勉強会」(第一・第三月曜夜)と、「ナーガールジュナ(龍樹)と日本の高僧たち」(第四土曜午後)の勉強会をおこなっていて、まもなくどちらも第一期が終了します。
 以前からお話ししてきたように、これで完結ではなく、改めて告知をおこない、第二期を続けるつもりでいます。
 おそらく、開催は同じ時間で、来年にはいって告知をおこない、一月末か二月はじめから、第二期を開始することになると思います。

 現在、新型コロナの感染者はかなり減ってきていますが、海外では感染者の増えている国もあり、今後は不透明な状況です。
 第二期も、引き続きオンライン配信として、もし、今の感染者程度で抑えられていたら、「ナーガールジュナ(龍樹)と日本の高僧たち」については、以前おこなっていた神戸市大倉山の安養寺での勉強会を再開し、一方で、「オンラインになったので、遠方の私も参加できるようになった」という声もいただいているので、その場合は、会場に来ることのできない人のために、そこから配信をおこなって、会場での参加、オンラインでの試聴、どちらも選べるようにしたい、と考えています。

 先日、ボランティアで運営のお手伝いをしてくださっている方々と、今後について打ち合わせをしました。
 その中で、ナーガールジュナの『中論』について、むつかしすぎる、思想や学問に関心ある人には興味ある内容かもしれないが、実践に関心のある人には縁遠い内容だ、というご意見をいただきました。
 以前、神戸の安養寺で勉強会を始めたときは、ヨーガの先生や看護師さんなど、実践に関わっている、仏教に実践的な興味を持たれている方が多いのが、当時の私の勉強会の傾向でした。
 日本仏教の話なら、自分たちと接点がある感じがするが、古代インドの高僧の教えは、繋がりを感じにくい、とも。

 私が勉強会でお話したい、と考えてきたことは、それとは正反対のことです。
 日本の仏教は長い伝統があり、また宗派に分かれており、それぞれの宗派への帰属意識はあっても、それが釈尊のさとりとどう繋がっているのか、わかりにくい。
 「私は日本仏教徒で、インドの教えは関係ない」「私は○○宗の檀家で,インドの釈尊は関係ない」と感じている方も少なくない、というのが今の状況だと思います。
 私がお話ししたいと考えてきたのは、
 苦しみから完全に解放された釈尊が何を伝えようとしたのかを理解し、それを伝えようとしたのが古代インドのナーガールジュナ(龍樹)で、日本の高僧たち、空海、道元、親鸞といった方たちは、そのナーガールジュナのいわんとすることを理解され、それを踏まえたうえで、それぞれ、密教、坐禅、他力念仏を、その境地に至る実践として説かれた、ということです。

 ナーガールジュナの仏教理解を踏まえることで、一件バラバラな日本仏教の各宗派の実践が、同じ仏陀のさとり、苦しみからの解放の境地を目指すもの、現代の私たちがどうやったら苦しみから解放できるかについての実践手段として見えてくる、というのが、勉強会のねらい、私が伝えたいと考えていることでした。

 私自身は(実は、私も、ダライ・ラマ法王から『中論』の解説を受けるまではそう思い込んでいたのですが)、『中論』は思想を説いた著作ではなく、かなり手の込んだ、苦しみからの解放のための実践的著作だと考えています。
 しかし、そういう観点からの説明は、ナーガールジュナが『中論』にしかけた手練手管の解説、YouTuberのゲーム実況のようなものになってしまうとも感じています。
 ゲームを知らない(『中論』をあれこれ読んで、でもよくわからないと悩んでない)人にしてみたら、一体何の話をしているのか、訳の分からない話にしかならないと思います。

 ですので、今後、メインの勉強会である「ナーガールジュナ(龍樹)と日本の高僧たち」では、インドの話は簡単に整理、紹介して、それを踏まえて、毎期ごとに日本の高僧たちー道元や親鸞、源信などが、それをどう受け止め、人々に説いたかということを中心にしようと考えています。

 『中論』については、自分でも読んでみた、ナーガールジュナが何を言おうとしているのか知りたいという人がもしいらっしゃったら、別に、少数の有志のオンライン勉強会を立ち上げるのがいいのでは、と考えています。

 「二つの菩提心勉強会」の方は、あらかじめ内容を細かく決めず、その場その場で考えたことをお話ししているのですが、それでもいい、引き続き、あるいは新しく参加したい、という方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。

 近々の第一期終了から、来年の第二期の開始まで、すこし間隔が空いてしまいますが、その間については、
 月曜夜を利用して、何回か参加無料のオンライン勉強会を開催できれば、と考えています。
 参加費は求めない、逆にいえば、参加者のニーズが有るか無いかはあまり考慮せず、私自身の興味ある話しをさせていただくことができたら、と考えています。

 具体的な候補として今考えているのは、聖徳太子と、世阿弥の夢幻能です。
 なんで、その内容? と思われる方は、拙著『神と仏の倫理思想【改訂版】』北樹出版をご参照いただければ、と思います。
 聖徳太子の憲法十七条や『日本霊異記』については、第三章1、
 世阿弥とその夢幻能については、第三章3で取り上げています。

追記:ナーガールジュナ(龍樹)と日本の高僧たち については月曜夜、二つの菩提心(世俗菩提心・勝義菩提心)勉強会 については、土曜におこなうことになりました。後者については、コロナの流行が落ち着いたら、神戸市安養寺での講座の再開(遠距離の方には安養寺から配信)を考えています。ナーガールジュナについては、別の時間(たぶん月曜夜の他の日)に有志で『中論』についてのオンライン読書会を計画しています。

 新型コロナの流行の前、勉強会をやらせていただいていた神戸市大倉山の安養寺の清水良将さんは、インド・ブッダガヤにある仏心寺のお坊さまです。
https://m.youtube.com/channel/UCxJmnRVBzfPpKJiihkmoVzQ

 新型コロナが落ち着いて、清水さんがブッダガヤの仏心寺に戻られたら、ぜひブッダガヤからの中継講座をお願いしたいと考えています。
 ブッダガヤでは、釈尊がさとりを開かれた大菩提寺を取り囲んで、各国のお寺が建てられています。チベット寺、中国寺、ブータン寺、日本寺、等々。
 それはそれぞれの国の建築や仏像の様式を反映していますが、お参りする人は、私は日本人だから日本寺に、というのではなく、どれも仏陀をおまつりしたお寺ということで、お参りしています。
 前近代の日本では、善光寺の阿弥陀仏が特別視されるのは、それが三国伝来ー古代のインドで作られ、朝鮮半島にあった百済を経て、日本に伝えられた仏像だからということで、現在の私たちよりもはるかに、仏教の国際性を意識していました。

 ブッダガヤの視点から読み直した日本仏教、というのは、
 以前『大法輪』に原稿を書く機会をいただいた時に試みたことがあります。
https://note.com/konchogyeshe/n/nef1c1a5b29c6

https://note.com/konchogyeshe/n/n7dfa49666eb0

 今回のオンライン勉強会は、その再チャレンジ、興味を待つ人は少なくても、インターネットなら、関心のある人も見つかるのではないか、という企画です。

 三国伝来については、東京の青山善光寺での講演でお話ししました。
https://note.com/konchogyeshe/n/nd2aa34190703

 音声はこちら。
https://m.youtube.com/playlist?list=PLgdk4SV_b1O8mCoEIlNhgiSr1lvSpLmCn

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