私のプレイリスト DENIMS
DENIMS(でにむす)
2012年に結成された日本の4人組バンド。
バンド名の「DENIMS」は地元大阪の先輩によって命名された。
結成10周年を迎えた昨年、およそ3年半ぶりとなるニューアルバム『ugly beauty」をリリースした。
釜中健伍(かまなかけんご)
・ボーカルとギターを担当。キーボードを弾くこともある。
・大阪府出身
・愛称は「カマチュー」
岡本悠亮(おかもとゆうすけ)
・ギターを担当
・大阪府出身
・愛称は「おかゆ」
・1988年5月5日生まれ(35歳)
・バックトゥザフューチャーが大好き
・恐竜のモノマネが上手い
江山真司(えやましんじ)
・ドラムを担当
・大阪府出身
・愛称は「えあmax」
・岡本のことが大好き
土井徳人(どいのりと)
・ベースを担当
・大阪府出身
・愛称は「のりと」
・Special Favorite Musicなどのバンドでもベーシストとして活動している。
略歴
元々同じバンド仲間だった釜中と江山に、バイトや高校で繋がりのあった「まっつん(松原)」(ベース)を加えたDENIMSの前身バンド「AWAYOKUBA」が2008年大阪にて結成される。
廃工場へ設置した自作の音楽スタジオを拠点に活動する同バンドは、結成から約半年後、釜中と大学が同じであった「あんどう」をキーボードとして迎え、4人組バンドとなる。
地元のライブハウスを中心に活動を続け人気の出てきたAWAYOKUBAだったが、2011年6月、キーボードのあんどうが幼い頃の夢だった音楽教師を目指すために脱退し、それを機に解散する。
あんどうが抜けて3人となったAWAYOKUBAの元メンバーたちは、翌2012年、ギターに岡本を加えてDENIMSを結成する。
結成から5年目に初フルアルバム「DENIMS」をリリースした同バンドは、大阪らしいノリの良さと心地のいいグルーヴでコアなファンを獲得していく。
2020年、ベースの松原が自らの夢を追いかけたいことを理由に脱退を発表する。
しばらくベースにサポートメンバーを迎えながら活動を続けたDENIMSだったが、2021年、別バンドでベーシストとして活動していた土井を正式メンバーとして迎える。
新たに4人体制となったDENIMSは、様々なアーティストのツアーへ積極的に参加し、自らも全国ツアーを行うなど、ますますパワーアップして活動を続けている。
夜にとけて
ダンサーのyurinasiaがYouTubeに公開した『夜にとけて』のダンス動画を見て、DENIMSの音楽と出会いました。
お洒落だけど少し汗くさい。新しいのにどこか懐かしい。初めてDENIMSの曲を聴いて、心のどこかで求めていた音楽はこれだ!と興奮したのを覚えています。
友達と遊び疲れた夜が描かれた『夜にとけて』は、「あぁ、きっとこんな夜こそ人生で一番輝いているんだろうな」と思わせてくれる大人な名曲です。
一度歌詞と同じようなシチュエーションで聴いたことがあるのですが、酔った状態で聴くこの曲の沁み具合は段違いで、わけもなく恍惚とした気分になりました。
おそらく大人になればなるほど心に響く曲なのでしょう。
この先どんなに歳をとっても、友人とこんな素敵な夜を過ごすことができたらいいなと思います。
DAME NA OTONA
『DAME NA OTONA』はDENIMSらしさがふんだんに詰め込まれた愛すべき名曲です。
イントロのドラムから思わず頭を振ってしまうこの曲は、飾らない歌詞とノリやすいリズムが相まって自然と明るい気持ちになってしまいます。
ぱっと見ふざけているように思えるこの曲ですが、DENIMSが生んだ底抜けに平和な歌詞は、私たちを「ダメな部分も愛せる素敵な大人」に成長させてくれます。
AメロBメロでこれでもかと「ダメ」な部分を晒される“あいつ”。詩を聞いて、特定の人物を思い浮かべる人もいれば、不特定のキャラクターまたは自分のことを歌っているのだと感じる人もいるでしょう。
いずれにせよ、曲を通して「ダメな大人」である“あいつ”のことが、いつの間にか好きになっているのです。この曲を聴いた後では、それまで抱えていた妬みや僻みの気持ち一切が馬鹿らしく思えてきます。
ゆるりゆらり
『ゆるりゆらり』は、ファーストフルアルバム「DENIMS」に収録された一曲です。
結成5年目にリリースされたファーストアルバム「DENIMS」は“原点回帰”がテーマだそうで、アルバムには彼らの自己紹介ソングというか、“俺らのスタイルはこんな感じやで”的な曲が詰め込まれているように思います。
ゆったりした一定のリズムが心地いい『ゆるりゆらり』からも、周りを気にせず自分たちの音楽をマイペースに奏でていこうという彼らの思いがよく伝わってきます。
DENIMSの音楽は、古いものと新しいものが絶妙なバランスで融合したようなジャンルレスミュージックです。
聴く音楽や交流関係に枠をもたない彼らの自由な感性は、常に新しいものを取り入れつつ、結成当初のスタイルを曲げずに進化し続けています。
私の中でDENIMSというバンドは、「角(かど)がない温厚なアウトサイダー」というイメージです。
さよなら、おまちかね
『さよなら、おまちかね』は、アルバム「makuake」に収録されたDENIMSの代表曲です。
前作の「DENIMS」はどちらかと言えば落ち着いた曲が多かったのに対し、「makuake」にはロックテイストで激しめの曲が多く収録されています。
『さよなら、おまちかね』もアップテンポな曲で、「さよならお待ちかね新しい私誰も止めないで」というサビの力強い言葉が印象的です。
釜中の書く歌詞は情景と心理描写のバランスが絶妙だと思います。
心理的な言葉一辺倒で押し切ろうとするのではなく、日常の何気ない風景やシチュエーションを丁寧に織り込むことで、より心に響く歌詞に仕上げているところが彼の書く詩の魅力です。
Rocinante
『Rocinante』もアルバム「makuake」に収録された曲で、yurinasiaがかっこよく踊った動画をYouTubeにアップロードしています。
この曲の作詞を担当したのはギターの岡本です。
どちらかといえば直感的な釜中の歌詞と違って、岡本の書く詩は文学的かつ語りかけるような雰囲気を帯びています。
タイトルにもなっている「ロシナンテ」とは、スペイン人作家セルバンテスの書いた小説『ドン・キホーテ』に登場する馬の名前です。「Rocinante」にはスペイン語で「痩せた老馬」という意味があり、風刺的なこの名前は様々な作品で引用されています。『ONE PIECE』に登場するコラさんの本名「ロシナンテ」もここから取られた名前です。
岡本が熱心な読書家であるのかどうかは分かりませんが、彼が文学的な詩を好んでいることは、『W.S.J.H』『Too dry to die』『Story of the Mountain side』などの曲からなんとなく伝わってきます。
そばにいてほしい
『そばにいてほしい』は2020年にリリースされたシングル曲です。
恋愛曲として書かれたこの曲ですが、改めて聴くとDENIMSというバンドと私たちリスナーとの関係について歌っているようにも思えます。
どちらにせよ、うっとりしてしまうほど優しい素敵な曲です。
DENIMSの魅力の一つに、イントロの力強さがあると思います。
曲の雰囲気を凝縮し、これから始まる物語への期待感を膨らませるようなイントロは、私たちの心を一瞬にして掴みDENIMSの音楽世界へと惹き込みます。演奏レベルの高さと息の合った彼らの関係性だからこそ可能な技なのでしょう。
ドラムから始まる『そばにいてほしい』のイントロも、私たちをロマンチックで優しい世界に誘ってくれます。子守唄のようなコーラスに続く「寝息たてる横忍び足 意味はないが愛の言葉言う」という始まりも最高です。
ふたり(feat. アユニ・D)
『ふたり』は、最新アルバム「ugly beauty」にも収録されている昨年リリースされたシングル曲です。
『BiSH』のアユニ・Dが女性ボーカルとして参加したこの曲は、DENIMSにとって初めてのコラボ曲となりました。
元々DENIMSのファンだったというアユニ・Dは、彼らからコラボのオファーがきてすぐに承諾します。
あどけない雰囲気の中にぶれない強さを感じる彼女の声は、「夢を追う男性とそれを応援する女性の交流」を描く『ふたり』の歌詞と見事に調和しました。カントリー調のアレンジもいい具合に存在感を引き立てているように感じます。
DENIMSは最新アルバム「ugly beuaty」の全国ツアーにおいて、「ゴトウチ・D」と称した地元出身のシンガーを呼び、『ふたり』におけるアユニ・Dパートを歌ってもらう試みをしています。
参加したシンガーは一生の思い出ができ、それを見たお客さんも嬉しい気持ちになる、実にハートフルな企画です。
実際私が足を運んだ札幌公演でも、ゴトウチ・Dの伸び伸びしたパフォーマンスはその日1番と言ってもいいくらいの盛り上がりを見せていました。
何でも受け入れてしまうノリでジャンルレスに交流する彼らだからこそ成立する企画だと思います。
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DENIMSというバンドが持つ最大の強みは「思いやり」だと思います。
地元大阪の朗らかで寛容的なノリは、音楽の根源にある“全てを楽しむ心”を表出しています。
人へのリスペクトを含むノリだからこそ、彼らの音楽には心地良い明るさがあり、アウトサイダー的な音楽性にも刺々した印象を与えていません。
長年バンドを支えてきたベースのまっつんがバンドを辞めて別の夢を追いかけたいと言った時、無理に引き留めようとせずに送り出したことにも彼らの思いやりが表れています。枠に囚われず個人の意思を尊重する姿勢は全人的な理想の形です。
カッコいい大人でありながら常に遊び心を忘れないDENIMSの音楽は、彼らがおじさんになるにつれてますます真価を発揮していくと思います。
温故知新のスタイルを貫きながらジャンルレスに進化し続けるバンドDENIMS。彼らの活躍をこれからも応援し続けたいと思います。
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