絶望の淵で

長女を失い、妻もステージ4の癌が再発してしまった

正直、希望はどこにも見えなかった。
下の娘も居るのに、希望を失う訳には行かないのは分かっているけども、最悪の想像に支配されて前を向けない。自分より妻のが辛いのは分かっている。それでも気休めの言葉なんて出てこないし、ドン底だと思っていた状態から更に底が抜けた場所に突き落とされて、この時は本当に何も出来なかった。

妻は抗がん剤投与のため、一週間程度の入院が決まる。彼女は病院では眠れないから、と入院を拒んでいたのだが、重篤な副作用が出た場合に対応する為、自宅療養は出来ないとの事らしい。

その話を聞いて、その様子を見て、僕は「妻はもう花が枯れてしまうようにこのまま朽ちてしまうかも知れない」と思った。下の娘が居るから、と気丈に振る舞って見せるけど、どこまで頑張れるのだろうか、僕にすら計り知れない悲しみと苦しみを抱えたまま、家族と切り離された場所で闘病が出来るのだろうか、と思ってしまったんだ。

そして入院生活が始まる。

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