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浦島太郎をなんとかしてハッピーエンドにする 4

玉手箱からは大量の煙が立ち上り、あっという間に浦島さんを包み込みました。

どのくらい時間がたったでしょうか。視界が少しずつ開けて来ました。座り込んだ膝を見ると、皺だらけで血管の浮き出た手が握られていました。開けた玉手箱の中には何もなく、黒く美しい漆の底には、年老いた男の顔が映っていました。

浦島さんは家に戻り、この家の息子だと話し母の手紙を受け取りました。

細く美しい字で書かれた手紙には、浦島さんと別れてからの生活が書かれていました。不思議な亀に浦島さんの無事を聞いてから、悲しみが和らいで心穏やかに暮らしていたこと。でも、時々、会いたくなって夜中でも浜辺に行くことがあったこと。浦島さんの目には涙があふれてきました。

手紙の最後には、こんなことが書いていました。

「あなたを育てられたことは、私の人生一番の幸せです。そして、あなたに命を助けられて、別れてからも長生きでき、本当に感謝しています。この気持ちを会って伝えられないので、毎日あなたがいる海を掃除しました。海がきれいだとあなたも健康でいられますものね。どこにいても、あなたの幸せを祈っています。」

その後、浦島さんは男から家を譲り受けました。そして、お母さんの後を継いで浜辺の清掃を日課としました。お母さんのことを思いながら、竜宮城の乙姫様と亀に感謝しながら。

そうしているうち、海や山を守る必要性を感じ、村の人たちと環境保全のために働き、充実した人生を送ったそうだ。

めでたし、めでたし。

私的に。


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