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自然による頭の掃除

日頃から街中の公園や緑道、近所の緑地には行くようにしているが、時折そこらに少しある自然の力だけでは足りない、何か体の中の細胞や"気"まですっかり入れ替えてほしい気になる。

ここ一週間ほどは、まるで私みたく神経症の頭の中のような雨模様が続き、そろそろ耐えられなくなっていた。
やはり日光が暫くお預けとなると、些細なことを何回も確認しなければ気が済まなくなるし、些細なことにしがみついては不安が増大する。
大自然による、自分の掃除が必要だと思っていた。


命からがら迎えた休日は、感謝をしてもしきれないほどの快晴だった。
これを機に、前々から気になっていた、近畿自然歩道の一部を歩いてみようと思った。
まずは行きやすい、生駒山脈を縦断するルートの中の、およそ3.7kmある十三峠~鳴川峠間を歩いてみることにした。
また、雨天の翌日ということもあり、まだ乾ききらない湿った土から、あの良い香りを吸い込めると踏んで、なおさら歩く気になっていた。


駐車場も空きが多く、快調な足取りで歩き始めた。
途中、崩落している道やアップダウンの激しいところもあったが、脚は喜んでいた。
しかし、久しぶりのハイキングだったからか早くに疲れが見え始め、目標距離のちょうど半分で折り返した。
この道の先に何があるのかという期待と、自然に優しく包まれた余韻を残して、帰路についたのだった。
やはり自然の中歩くことは、脚の鍛え直しやメンタルケアにも効果があるので、この調子で近畿自然歩道を少しずつ踏破していくのを、楽しみのひとつに入れようと思った。

歩いている中、様々な自然の一コマに出会えた。
花期を終え、地面に落ちた椿の花は、まだ生き生きとしていた。
湿った腐葉土を踏むたびに、落ち着いた香りが広がっていた。
ウグイスも所々で鳴いており、私を出迎えてくれているように感じた。

大自然による、自分に対する掃除は十分に行われた。
とくに自然の中で呼吸すると、その吸って吐く行為が、身体の中に溜まった濁った何か、邪気のようなものを流して出て行かせるように感じる。

帰ると、肥料をまいたデイジーが元気になっており、花を綺麗に咲かせていた。
最後の最後まで、自然のありがたみを与えられていた。


椿の道しるべ。
木のトンネルをくぐり、
うねる道を歩く。

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