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開拓者

寒さが続く中でも、至る所で春の香りがする。
今日は朝は太陽が顔を出してくれるとのことだったので、しばらく寒くて出来ずにいた朝の散歩を楽しんだ。
ちょうど、大泉緑地の初春の顔を見たかった頃合いでもあった。

いつもの丘の斜面で立ち止まり、いつも同じ山脈を眺める。
自分の場合は、特に山を遠くから見ている時は、自然とのつながりを強く感じる。


黄色いロウバイや、春を教える河津桜の下に立ち寄りながら、ある池に向かう。
生まれたころから身近にある緑地でも、足を踏み入れたことのないエリアはまだ沢山にあるもので、自分が十分に動けそうだと思った日は、開拓者の気分でまったく知らないエリアへ向かう。

東屋や水飲み場、トイレが近くにあり人も少ない(私が滞在している間、ひとりも人が来なかった)その池は、日中過ごすのには十分だった。
自販機や駐輪場は無いが水道は引かれている。
手の加えどころが、それだけで止まっておりちょうど良かった。


池の様子は、冬の荒んだ様子がまだ残っており、枯れたススキが無造作に倒れていた。
その中で小鳥や野良猫などが動き、草が踏まれる音が絶えず聞こえていた。
ススキで隠されているからこそ、余計にススキをどけて、生き物たちの様子を覗きたくなった。


おそらく、マンションの高層階に住みたい衝動と同じ感覚で、高い岩を登り、そこに座ってしばらく日光浴をすることにした。
最近は大きなソファに腰掛けたり布団にもたれかかるよりも、あぐらをかいて岩の上や草の上に座る方が居心地が良い。
冷たそうな岩も、少し座っているだけで自分の体温を通してか座面が暖かくなり、それによってまた自分も暖かさを感じる。


全く新しい池に満足した後は、太陽のよく当たる道をたどりながら帰った。
暖かくなれば毎日朝の散歩が出来るだろうし、これからが楽しみだ。


草たちと、
山の中の小道。
河津桜。
4月には後ろに写る落葉樹が全て、
桜の花を咲かせる。
林の中を歩き続ける。

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