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もう一歩、許せるようになる

週3日ある休みの日は、雨の降る日以外はいつも緑地に出かける。
朝の叡智とも言える何かを浴びに行き、今日を生きられることに感謝する。
まだ殆どの人が起きていない時刻に出かけるのが、孤独の中にある至福となっている。

早朝の雨後、暖かくなり目覚めたナミテントウが、まるで自分専用の席であるかのように、そこら辺から伸びるひときわ背の高い草(名前はわからない)の群れに、綺麗に一匹ずつまとわりついていた。
草のてっぺんにはアブラムシ達が屯しており、それを朝食として召し上がっているらしかった。
ひょっとするとこれは、高級ホテルの会食よりも素晴らしい風景だった。
ただいくつか空席も見られたが、その席はフリースペースなのだろう、小さなアブが入れ替わりでやってきて、葉についた水で喉を潤していた。


朝の鉄道の席にも、こういった適度な距離感と静けさがあれば良いと思っていた。
車内では毎回本を読んでいるが、大抵の場合、隣のスマホゲーマーが驚愕した顔でその本を眺め、次にその本を読む男を不思議そうに眺めている。
しばらくして、理解ができないと思うやいなや、画面の中の自分の世界に戻っていくのだ。
電車でアナログな行為をすることが、そんなに不思議なのだろうか?

ただしかし、そういったお互いに理解し得ない関係性にも、幾分か寛容になれてきた。
図らずも種々の人間関係の問題にも触れることになるが、「みんなそうしないと生きていけない」と考えると許せる。


理想を他人に押し付けず、程よい距離感で関わり合いを築いていきたい。

熊は獰猛な恐ろしい動物だが、別にそれは熊の罪ではないのだよ。

カラマーゾフの兄弟
ドストエフスキー著

知識を得るために向かったところで
何も得られないが、
それ以上のものを得られる。
ナミテントウ。
Webサイト「理科教材データベース」より
(http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/SEIBUTSU/DOUBUTSU/09kochu/tento/nami/index.html)

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