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諸法実相(3) 十二因縁法:前編


前記事について

〈諸法実相(2)お釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見〉では、お釈迦さまの法界知見が法華三部経中、どのように説かれているかを見ました。

一番のポイントは、お釈迦さまは「法界の構造」と「仕組み(法理法則)」を観察されていたということで、記事では、まずお釈迦さま見出された〈法界の構造〉の概要に触れ、お釈迦さまが「無色界」という新たな領域を発見されたとことが画期的であったと書きました。この無色界の発見が、苦縛から逃れる道の構築に繋がったからです。

本記事では、お釈迦さまが法界知見の内容を理解する中で重要なもう一つの軸である「仕組み(法理法則)」の一つ、〈十二因縁法〉について見ていくことにいたします。

十二因縁法を理解するための予備知識

まずは、十二因縁法に関する法華経中の記述を確認しておきましょう。

十二因縁法については、〈妙法蓮華経化城喩品第七〉の中で次のように記されています。

無明むみょうぎょうえんたり、行はしきに縁たり、識は名色みょうしきに縁たり、名色は六入ろくにゅうに縁たり、六入はそくに縁たり、觸はじゅに縁たり、受はあいに縁たり、愛はしゅに縁たり、取はに縁たり、有はしょうに縁たり、生は老死憂悲苦惱ろうしういくのうに縁たり。無明滅すれば則ち行滅す、行滅すれば則ち識滅す、識滅すれば則ち名色滅す、名色滅すれば則ち六入滅す、六入滅すれば則ち觸滅す、觸滅すれば則ち受滅す、受滅すれば則ち愛滅す、愛滅すれば即ち取滅す、取滅すれば則ち有滅す、有滅すれば則ち生滅す、生滅すれば則ち老死憂悲苦惱滅す。』

妙法蓮華経化城喩品第七255|法華経并開結|平楽寺書店版

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