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モヤシばかり食べていた極貧生活時代の話

Gerbera Music Agencyは2015年10月に設立した会社だが、会社の事業だけで食えるようになったのは2020年の話。この5年間、修行させてもらっていたデジタルマーケティング会社の仕事を業務委託で受けており、その収入を頼りにして生活していた。

2015年〜2018年の間、会社は本当にうだつの上がらない状況だった。年間で、30-100万円くらいしか売上が経っていなかったと記憶している。当時は音楽業界の知識もないくせにアーティストのエージェントを名乗っていた。無知というのは恐ろしい。

ありがたいことに何組かのアーティストとお仕事をご一緒したが、満足に役に立てたと自負できるような実績はほぼなかった。その後アーティストのPRをサポートするサービスをはじめた。プレスリリースの作成/配信を代行したり、インタビュー記事を制作したりなど。これも全く需要がなかった。そもそもプレスリリースは、音楽メディアと特別な関係性のない自分のような人間が送っても意味がない。自分がやることに付加価値があるから仕事をもらえるわけで、付加価値をつくれないのであればやめたほうがよい。こんな簡単なことすらも当時は分かっていなかった。迷走時代であり、暗黒時代だった。

どうすれば音楽業界の方々に求められるような会社になれるのか、全く分かっていなかった。分からないなりにいろいろやってみたけども、必要とされない。出口のないトンネルをさまよっていた。2018年になるとポケモンGOに本格的にハマりはじめ、聖地・錦糸町で土日の48時間連続でポケモンを捕獲したりしていた。平日は業務委託の仕事がメインなので、自分の会社の仕事ができるのは土日がメインなのにも関わらず。2018年に狂ったようにポケモンGOをやっていたのは、ゲーム自体がおもしろかったこともさることながら、現実逃避に近かったと思う。

2010年4月から社会人生活がはじまって8年。周りの友人は子供ができたり、マイホームを買ったり、昇進したりしていた。それに引き換え自分は一体何をやっているのだ? 奨学金の返済もできてないし、友人の結婚式のご祝儀さえ払えない(払えないのに参列した。クズだ)。社会人としてろくな生活もできていなければ、誇れるものもなかった。

さすがにヤバいと思ったのか、本業に本腰を入れようとした。が、そんなときに限って業務委託先の仕事がヘビーになりはじめた。このままでは本業に力を入れられない。業務委託の仕事を半減させるかどうか悩んだ。半減させれば当然収入も半減する。収入が半減した場合のシミュレーションをした際、家賃/光熱費を差っ引くとほとんど手元にお金が残らないことが分かった。

極貧生活を経て、本業を活路を見出すか。それともこのまま業務委託の仕事を優先して、本業の成長は諦めるか。非常に悩んだ結果、仕事を半減させることを選んだ。すでに自分は一般的な社会人が歩むようなルートからは大きく逸脱してしまっており、今さら後退りはできないと思った。そもそも、レールから外れてまで音楽の仕事をはじめたのはなぜか? アーティストの役に立ちたいと思ったからであり、日本の音楽に多様性が必要だと思ったからだった。当時、唯一希望を見出していたSNS広告を武器にしようと決め、注力しはじめた。

家の近くに西友があったのはありがたかった。98円で満腹になるカップ油そばがあったので、箱で買っていた。その後、徐々にお金がなくなり、Amazonで格安パスタ5kgを細かく使って日々の生活をなんとかしのいだ。しかし想定したよりも手元の貯金がなくなるペースは早かった。「もやしを食べるしかない」。そしてもやしを工夫して日々をやり過ごす生活になった。

その後の1年間で会社の仕事にやや光が差し始めた。仕事が少し増え、もやしから油そば生活に復帰。その後2020年になり、広告をきっかけにサポートしていたアーティストが爆発的に成長する事例を経験した。この事例に再現性をもたせられれば、事業として成立するのでは? そんな希望を抱いて必死で掘り続けた結果、ついに副業の仕事を完全に卒業しても日々の生活に困らなくなった。7年間お世話になっていたデジタルマーケティング会社を、2020年5月に卒業した。

今思うと、副業の仕事を半減させて極貧生活を選んだという決断には大きな価値があったなと思う。もやしで日々の飢えを凌ぐ生活を選んでよかった。あの生活がなければ今はなかった。

自分のように、「ライスワーク」にかかる時間が重いことによって「ライフワーク」に力を入れられず悩んでいる人は多いんじゃないかなと思う。ライフワークをライスワーク化するには、まず覚悟、そして運が必要だと思う。ギリギリだったが、自分は運が良かった。一番キツいときはポン酢に漬けたティッシュを食べたりもしたけど、あれは不味かった。

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