今野和人
友人の藤田太郎さんと映画シナリオを最初から最後まで分析するラジオです。 該当作品を観たことある方は楽しめるかもしれないし、単にしつこいなと思うかもしれません。
短編戯曲や短編小説を収録。なんでそんな話するんだよという感想が出ることを目指しています。
※シナリオの形式どおり書くと、スマホで読んでもらう際に文字列がガタガタになってしまうので、今回は形式に準ぜず書いています。 【あらすじ】 大学4年生の入山(21)は斎藤(22)と増田(21)から、大学に入ったのにしたいことをやり損なった大学生が今更やりたいことに取り組むサークル「IMASARA」に勧誘され、入会する。 入山は今更はじめての合コンに参加して美樹(21)と知り合い、彼女が高校生のとき友人にした失言を今更謝罪しようと考えていることに感銘を受け、彼が大学1年のときに
【あらすじ】 栗山日奈子(16)は電車内で痴漢されたところを白石恵理(16)に助けられる。恵理はウルバッハ・ビーテ病という恐怖を感じない病気を抱えており、痴漢が怖いという感情がわからないという。 翌日、日奈子はストーカー被害に悩んでいる笹川玲子のことを恵理に話すと、恵理は日奈子を連れて問題を解決しようと動き始める。 【本編】 ◯電車・車内(朝) 満員の車内。 手が伸びて栗山日奈子(16)の臀部をさわる。日奈子は硬直する。手は日 奈子の臀部をまさぐる。 スマホを見ていた白石恵
映画脚本を分析するラジオです。今回の作品は『あの子は貴族』
直人が目を開けると、目の前で大きな腹がゆらりゆらり揺れていた。瞬時に立ち上がって座席を譲り、妊婦に感謝される。道義心だけではない。妊婦の腹を見ると、胎児が腹を裂いて出てくるイメージが浮かんでしまう。 夕方、直人は財布とスマホだけもって家を出たのであった。Tシャツにショートパンツで足元はサンダル。コンビニへ行く途中で思いついた。このまま、いったん実家に帰ろうと。父親の義男に電話を入れた。 直人は窓の外を見やる。上野公園の木々が目に入る。どうしているだろうか、紗英は。今、二
起きる前から聞こえていた。マンションのどこかで赤ん坊が泣き叫ぶ声が。 スマホを見るとまだ5時で、いつものようにトイレに立つ。 いつからか、朝方尿意がして起きるようになってしまった。まだ40前なのにか、もう40前だからか。 寝室に戻る。まだずっと泣いている。親は泣きやませる努力をしているんだろうか。彼は妻が起きないよう願う。 不妊治療をしてもう長い。もう4年か5年か。そろそろ現実的に養子のことも考えようと口走ろうものなら、わたしの子どもじゃないと静かだが怒りを込めた声
上手で川村と佐伯が、下手で藤岡(女性)が机に向かいパソコンで作業してる。皆20代である。 上手から石川(40代)が来て、川村の横につく。 石川「川村」 川村「はい」 石川「これ(もってる寄せ書きの紙示す)、今度有岡さん辞めるから」 川村「え」 石川「これ書いて」 川村「いや、無理です」 石川「無理ってどういうこと」 川村「寄せ書きとか、きついです」 石川「別にそんな大したこと書かなくていいから」 川村「いや、でも、俺」 石川「じゃあ渡しとくから、書いたらさ、みんなに渡してくれ
#3は中間地点から最後まで分析します。
初回は朝ドラ『ブギウギ』も手掛けている足立紳さんの『百円の恋』。 #1は番組の趣旨説明から序盤の分析まで。 早くも花粉症になっているためお聞き苦しい箇所が多くてすみません。
#2は第2幕のはじまりから映画の中間地点まで分析します。
舞台中央にテーブル、向かい合わせにイス2脚。 妻と夫が上手からくる。 妻「あー、疲れた、足やばい」 夫「……」 妻「でも智子ほんときれいだったよね」 夫「ああ、うん」 妻「なんで結婚式ってあんな泣けるんだろ」 夫「あのさあ」 妻「え?」 夫「ちょっと、話あるんだけど」 妻「え、明日じゃだめ? もう足パンパンで」 夫「お願い」 妻「まあ、いいけど、お風呂入れとくね」 妻、下手にはける。椅子に座る夫。 妻、戻ってきて、 妻「なんか飲む?」 夫「いや、いい」 妻「なに、なんか怖いん
――女性人権ホットラインです。 もしもし、はじめて電話するんですけど。 ――よく電話してくださいましたね。 ごめんなさい、ここでいいかわからなくて。 ――大丈夫ですよ。何でもご相談ください。 ちょっと話しにくいというか……性、性に関する悩みで……。 ――ご安心ください。こちらの利用者の方でもっとも多い相談が性の悩みなんですね。 ああ、そうなんですね。 ――ええ。ですから、なんでもお話いただけたらと思います。 あの、つきあっている人とのことなんですけど。 ――はい。 ちょっと長
舞台中央に背の低い机があり、上手側に新藤(30)と玲子(28)が座布団に座り、下手側に座布団が一枚置いてある。後ろには掛け軸がかかっている。机の上には急須と湯呑みが人数分ある。 新藤「やばい、緊張してきた」 玲子「大丈夫。お父さん優しいから」 新藤「(掛け軸見て)うちなんて」 玲子「気にしすぎだって」 下手から有岡(58)が登場する。 有岡「お待たせしました」 新藤「(立ち上がり)いえ、本日はよろしくお願いします」 有岡「どうぞ(座るようすすめ座る)……いやー、堅苦しくしたく
夫(28)、うろうろしている。義父 (56)、ベンチに座っている。 義父「坂口くん、ちょっとは落ち着きなさい」 夫「でも、時間かかりすぎじゃないですか」 義父「予定時間より出産が遅れることなんか、よくあることなんだから」 夫「そうですけど、それにしても」 義父「きみも父親になるんだから、どっしり構えておかないと」 夫「ああ、すみません、お義父さん」 夫、ベンチに座る。少しの間があり、男(30:ミックスの演者)が走って登場。 男はビニール袋を持っている。 男「お待たせしま