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はじめてのテンカラ釣り

コロナで家に篭っているあいだYouTubeで山の翁、渓の翁と呼ばれている瀬畑雄三さんのテンカラ釣りの動画をよく見ていた。

菅笠を被り颯爽と歩き釣る山の翁の動画を見て自分もこんなふうに渓流で釣ってみたいと思いAmazonでテンカラの竿や毛針を買った。

Amazonで購入してから竿を降る機会はなかったが、9月になりまとまった休みが取れたので禁漁期になる前にテンカラ釣りに行こうと決心した。

当日の朝は目覚ましを5時にかけていたが、アラームが鳴る前に目が覚めた。

窓を開けると9月の爽やかな涼しい風を感じた。予報では雨だったが、雨は降っていなかった。チュンチュンと小鳥がさえずる声が聞こえた。爽やかな朝だった。

これは幸先がいいなと思いながら急いで顔を洗い、歯を磨き、リュックに釣り道具を詰めた。車で行こうかと思ったが、山の道を運転するのは不安があったので電車で向かった。

途中の駅で友人の車に相乗りさせてもらい、湯檜曽公園まで山道を登っていく。

側を流れる利根川の光に輝く水面のきらめきや、緑豊かな山々の風景を眺めつつ、心が弾む。岩魚やヤマメが釣れそうだと期待しながら途中のスーパーで食料と、湯檜曾駅あたりの床屋で漁業券を買い、釣りポイントへ向かう。

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土合駅に着くと駅の側から入渓できる場所があるので早速沢に降り、竿を出す。

翠玉のようにわずかに青みがかった緑色をしたとても綺麗な沢で、いかにも釣れそうな気はするのだが魚の反応はなかった。

そもそも思っていたよりテンカラはキャスティングが難しかった。ラインが弧を描いて美しく飛ぶことを想像していたが、思ったところに毛針を飛ばすことができず毛針は足元にふわりと着地するばかりだった。

それでも諦めずなんども竿を降ったが、釣れなさそうなので念のため持ってきたルアー用のタックルに変えた。マス用のルアーでは一番釣れると思っているスピナーをチョイスした。

楽天で買ったオルルド釣具の安スピナーはブレードもよく回って良い動きをしていたが、1匹チェイスがあっただけでバイトまでには至らなかった。

その後も反応はなかったが、それでも澄んだ空気のなか、山々に囲まれて沢を歩くことはとても楽しかった。足を踏み外さないよう、足元に注意しながら岩と岩のあいだを飛び移ったり、泥に汚れたりしながら斜面を降りるうちに日頃の強ばった心身がほぐされていくように感じた。

以前新潟に行った際、居酒屋でたまたま仲良くなったおじさんを思い出した。おじさんはテンカラ釣り師で、その日も渓流で日中釣りをしていたようだったが、「何匹釣れたんですか?」 と訊くと、こいつはわかってねえなという顔をしながら、「釣れたか釣れないかじゃねえんだよ」と言い、酒をあおった。

釣れたか釣れないかじゃないんだというおじさんの気持ちがいまは分かる気がした。

しかし同時に渓流釣りは難しいのでおじさんもその日は釣れなかったんだろうなとも思った。もう少し山の翁や服部文祥のYouTubeを見てテンカラの勉強をしよう。


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