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好きな映画

好きな映画はなんですか?

映画が好きです、と言うと「今までで一番面白かった映画は?」と聞かれることが多い。映画好きならわかると思うが、結構困る質問である。
お前は今まで食べた食事で一番美味しかったのは何かと聞かれ答えられるのか?などと大人気ない返事をする気はない。でも答え難い。
答えられない理由は様々であるが、代表する理由が私には2つある。

好きな映画は?と聞かれて答えられない理由

①映画にはそれぞれ良い面があり、鑑賞時の自分の気持ちや状況に大きく左右されるものである。若い頃大感動した映画が、年を取ってから見ると内容をチープに感じてしまうことはよくあることである。同じ恋愛映画でも、彼女とのデートで見るのと孤独を痛感しながら見るのとでは感想がだいぶ違うであろう。
②何か感想を言うのが恥ずかしい。映画の好みはその人の趣味嗜好が如実に現れ、感想など言おうものなら人間性及び知性や感受性、そういったものが露わになってしまうからである。好きな映画は?と聞かれ、「アーノルドシュワルツェネッガーのコマンドーですね」と答える勇気が私にはない。せいぜい「パルプ・フィクション」と答えニワカとマニアのセンターラインを狙うのが限界である。考察や感想など言おうものなら大変だ。「北野武作品はジャックタチの影響を受けていて、今度の作品はまさにフェリーニのテイストにも溢れていたよね」なんてスラスラ出るはずもなく、「シュワルツェネッガーのバズーカぶっ放す時の上腕二頭筋見た?筋肉がワッショイしてたよね」というような感想をもつことしかできない。

映画鑑賞は楽しい時間である。しかし時間が経つのを忘れるほど熱中した映画体験はそれほどないのではないだろうか。少なくとも私は2回しかない。

時間を忘れるフロー体験をした映画


面白いとか感銘を受けた作品はまあ多いが、映画を見るという作業に没入した、いわゆるフロー体験をした作品は2つだけだ。

フロー体験(没頭)は、ハンガリー出身で米国心理学者のミハイ・チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)によって命名された。「ゾーン、ピークエクスペリエンス、無我の境地、忘我状態とも呼ばれる。」何かに夢中になって他のことを忘れる状態のことである。特別な訓練を受けなくても、ゲームに熱中したり、面白い小説を一気読みしてしまった経験がある人も多いだろう。スポーツ選手においてはゾーンに入るという言い方もする。フロー体験(没頭)は、特殊な人に発生するものではなく、誰にでも起こりうる体験と言える。

Flowという単語は、提唱者が研究のためにインタビューを行った際に、インタビューを受けた側の何人かが比喩として利用した単語である。

https://www.cc.aoyama.ac.jp/~well-being/flow-experience/index.html

それがこちら

原題:龍的心 HEART OF DRAGON


ファースト・ミッション
ファースト・ミッション龍的心
Heart of Dragon
監督サモ・ハン・キンポー脚本バリー・ウォン(黄炳耀)[※ 1]製作ジミー・ウォング製作総指揮ウー・マ出演者ジャッキー・チェン
サモ・ハン・キンポー音楽椎名和夫撮影アーサー・ウォン配給松竹公開
1985年10月16日 1985年9月14日上映時間98分製作国
ファースト・ミッション』(原題:龍的心、英語題:Heart of Dragon)は、1985年に公開されたジャッキー・チェン主演の香港映画
概要
サモ・ハン・キンポーがドラマ要素を重視して製作したジャッキー・チェン主演映画。障害を持つ兄とその弟の兄弟愛と絆が描かれている。

監督であるサモ・ハンの意向により、香港公開版では格闘シーンは少なく、日本公開版では病院と駐車場での格闘シーンが追加されている。また、ジャッキー自ら歌う日本語の曲『CHINA BLUE』(作詞:今野雄二 作曲:高中正義 編曲:椎名和夫[※ 2]がオープニング、『TOKYO SATURDAY NIGHT』(作詞作曲:美樹克彦 編曲:竜崎孝路)がエンディングでそれぞれ流れる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

普通はアカデミー賞を受賞した大作とか、全米が涙した感動作品なのであろうが、私の場合はこの作品だ。この映画を見た時の衝撃は忘れられない。本当に時間があっという間に過ぎてしまっていた。え?もう2時間経ったの?と同行したN君に言ったくらいだ。初めて子供同士で見に行った映画でフロー体験をしてしまった私は、ジャッキーチェンの映画=フロー体験ができるとインプットされてしまった。当時はジャッキーの全盛期、3ヶ月後に新作が公開された。その作品は・・・


原題:警察故事 THE POLICE STORY

ポリス・ストーリー/香港国際警察』(ポリス・ストーリー/ほんこんこくさいけいさつ、原題:警察故事、英題:Police Story)は、1985年に公開されたジャッキー・チェン監督・主演のアクション映画/コメディ
ジャッキー・チェンが監督・脚本・主演・武術指導を兼ねたアクション映画。『プロジェクトA』と並ぶジャッキーの代表作といえる1本で、ジャッキー自身も自らのベスト映画の1本として挙げている。興行的にも大ヒットし、この「ポリス・ストーリー」シリーズは2014年現在までに本シリーズやスピンオフ、別作品を含め多数製作されている

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

ジャッキーの映画にフロー体験を期待して行った私の期待を見事に上回る作品であった。とにかくあっという間に時間が過ぎた。集中力が無く落ち着きがないと成績表に常に記入されていた私にとって、退屈と感じる暇が無いのはびっくりするような体験であった。

それまでも沢山映画は見ていたけれども、フロー体験をするのはこの2作品が初めてだった。それは自分にとって「面白い」を超える体験であったのだと思う。

好きな映画は?

結局好きな映画は?と聞かれると答えられないが、時間を忘れた映画なら答えられる。それが上記の作品だ。
この半年後、ジャッキーの新作「サンダーアーム龍兄虎弟」が公開された。すぐに見に行ったが、あの時のようなフロー体験はできなかった。たまたまかとも思ったが、それからのジャッキー作品でフロー体験をした記憶はない(ジャッキー作品が面白くないと言う訳ではない、その後の奇跡/ミラクルなんて大傑作ですからね)。今も映画を見続けているのはあの時の時間を忘れるフロー体験をして見たいからかもしれない。年を重ね、不純になってしまった今ではもうできないかもしれないが。


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