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『京都画壇の青春』を観に行った【感想文】

《京都画壇の青春 -栖鳳、松園につづく新世代たち》

ということで、京都国立近代美術館に行ってきました。京セラ美術館で《竹内栖鳳展》を観終わって、すぐさまその足で訪ねてきました。初めての美術館です。お世話になります。

今回の展覧会を改めて振り返ってみて頭に浮かんできたのは、女性を描いた作品ばかりなのですが、ただ、そんじょそこらの美人画ではない、なかなかにパンチの効いた、一癖も二癖もある描き方のされた女性の姿をたくさん見ました。

稲垣仲静《太夫》なんて、例えば応接間なんかに飾られていたとして、夜中に見てしまったら、ギョッと腰抜かしてしまいそうな恐ろしい絵です。
他にも、秦テルヲ《女郎(花骨牌)》や、徳岡神泉《狂女》などを見るにつけ、こんな不気味な絵の流行は当時の世相を反映しているのだろうし、その見世物興行的なオドロオドロしさが、私には江戸川乱歩の世界観に通じるように思えました。

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岡本神草《口紅》は、しばらく凝っと見入ってしまうほどの魅力を感じました。

どうしたらそんな格好になるの?っていう、立っているのか膝立ちなのか、足元は着物で隠れていて判然としないけれども、腰をくねらせ、丸いお尻を突き出すような前屈み、ロウソクの灯に顔を近づけて舞妓さんが紅をさしている。その姿はコケティッシュでいてちょっとユーモラスな。

曲線的な身体のラインと細く吊り上がった目は猫のようでもあって、ロウソクと行燈の違いはあるけれども、灯の油を舐めるという化け猫の姿を、つい連想してしまうのでした。

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進取の熱気がいろんな方面へ向かってほとばしっている表現の数々は、エネルギッシュで勢いがあって、まさに『青春』を感じられる展覧会やったなー、と思う次第でありました。

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