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最近の記事

2018.11.14

 キーボードにそっと指をあてる。気配を消しながら作業することには慣れた。部屋の明かりはフットライトだけ。私が立てても良い音は空気清浄器の音が目安だ。今なら家族に隠れてアダルトビデオを観ている少年たちの気持ちに少しだけ寄り添える気がする。  あくまでこっそり、こっそりと作業する。そんな暮らしの中で至福の時は食べ頃のアイスクリームをちょうど良い時間で食べ切ることだ。アイスクリームを冷凍庫から冷蔵庫に移して45分待つ。その間にケトルにお湯を沸かす。1分おきに寝室の様子を伺いながら紅

    • 2018.10.03

      朝起きるとテーブルの上にイカ焼きがひとつ。 あぁ、昨日は秋祭りだったんだ。 この生活になり、めっきり夜遊びがなくなった。おひさまと一緒に起きて、おひさまがおうちに帰る頃には私たちも明日の準備をする。夕食の準備をして、温かいお風呂に浸かり、いつも同じ時間に夕食を頂く。1時間くらいだろうか。たまに晩酌に付き合いながら2時間ほどテーブルを囲むこともある。席順はいつも決まっていて、私はいちばんお台所に近い席。20時にはおうちの仕事はすっかり終わって、テレビを消してお布団に入る。ベッ

      • 2018.10.02

        この時期の朝食は決まって梨。 トーストを焼く日も、炊きたてのご飯と納豆にお味噌汁の日も、サラダの日も、コーヒーだけで済ましてしまう日も、必ず4等分に切り分けた梨を頂く。シャリっとした食感も、みずみずしさも、朝の目覚めにちょうど良い。 幼い頃、私が風邪をひくと母は冷蔵庫でよく冷やした梨をすりおろしてジュースにして飲ませてくれた。喉がさっぱりする感覚。胃が冷えて身体中の熱が下がる感覚。両方が大好きだった。とりわけ、私だけすりおろした梨を食べる、という一手間に母を独り占めしている

        • 2018.10.01

          スクリーンに映った自分のシルエットを眺める。真っ暗な画面。整えていない無造作な髪型。撫でたところで気休めにしかならなくて余計に恥ずかしくなる。個包装のチョコレートをひとつ。部屋には包み紙を開く音だけが響く。口に放り込んだチョコレートはフリーズドライのいちごが入っている。いちごの酸味が奥歯にしみる。口を洗うようにコーヒーを流し込む。 久しぶりで緊張しているのかな。エンターキーの音が部屋に響く。あぁ、私は毎日生きていて、毎日進んでいるはずなのに。 日付が止まったままのページは足

        2018.11.14

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          75本

        記事

          2018.05.12

          久しぶりにノートをひらく。なんだか緊張している。以前の自分が書いたものを読んでみる。ふふふ、何か変わった。何も変わっていない。もう少し読んでみる。ふふふ、よく変わった、と思おう。 どこに放れば良いかわからない言葉をここに託していた。 きっとこれからもそう。 約一年、カラダに起きたことを糧にまた進んで行こう。そうしよう。 なんだかむず痒くて、恥ずかしかったこともはじめよう。 もう大丈夫。

          2018.05.12

          2018.03.11

          1m離れたところ。 口元に耳を寄せなければ聞こえない寝息。 そっと口角を上げて、微笑んでいるように見える。 私のことばかり追いかける目線に気がつく。 いのちはめぐる。 いのちは美しい。 静かに心でゆれる炎。 ことばにゆれる炎。 奪うばかりでなく、与え続ける。 奪えないものの数が増えていく、いずれ。 この穏やかな笑顔がたゆまぬものとなるように。 もうこんな時間だ。 私はそっと抱きかかえる。

          2018.03.11

          2018.01.06

          数えられるものと数えられないもの。 可算名詞と不可算名詞。 数える、自分でちゃんと認識してる、ってこと? 区切りがはっきりしている、ってこと? 数えられなものばかりで溢れるわたしの生活。 誰かに何かを盗まれる心配もない。

          2018.01.06

          2018.01.05

          「 男に媚びる気が無いだなんて、なんて向上心がないんだ。 」 顔を洗っている。コーヒーを飲んでいる。1日のスケジュールを確認している。ニュースにざっと目を通す。外出できるくらいにお化粧をする。もう一度コーヒーを淹れてデスクに向かう。 毎朝同じことを繰り返している。自分で選んでそうしている。それなのに。昨晩投げかけられた言葉がふと蘇る。 昨日はホームパーティというには質素で、かと言っておうちごはんというには少し気合が入った夕食だった。友人たちを招いて、適度にお酒も楽しんだ

          2018.01.05

          2018.01.04

          あか みどり きいろ とうめい おれんじ むらさき 何が入っているかわからない袋に手を入れて、あなたのイニシャルを探す。いつだって自分の名前はすぐに見つかる。それなのに、想っている人のはイニシャルを探すので精一杯。違うものは全て口の中に放り込んでしまう。 K キッチンの白いライトに透かしてみる。天板にうつる赤い光。ずっと眺めているわけにもいかず、かといって袋に戻す気にもなれない。わたしは思い切って食べてみることにした。あぁ、さくらんぼ味だったんだな。意固地になって食べず

          2018.01.04

          2018.01.03

          たった紙切れ一枚。これに一体どれだけの効力があるのだろう。 書けば始まって、書けば終わって。 学生の頃アルバイトしていた喫茶店のタイムカード。いつまでも残しておくからまた遊びに来るんだよ。そう言ってくれたマスターに会いに行くことはなかったし、今となっては顔を思い出すのも難しい。2年も働いていたのに。 きっと、紙切れ一枚。そんなものよ。 あの頃教わったサイフォンコーヒー。すっかりお気に入りで自宅でも淹れていたけれど、いつしかペーパーフィルターで淹れることしかなくなったな

          2018.01.03

          2018.01.02

          きっかけは些細なことだった。 わたしは、こまめに網の上のお餅をひっくり返していた。 お雑煮に入れるお餅。膨れ上がったものよりも、ちょうど良い焦げ色がついて香りが立つ方が美味しいと思っていたから。だから、そんなに大きい声をあげられるようなことじゃないと思っていた。 餅は腫れ上がっているのが餅なんだ。 わたしはすっかり窓ガラスを割ってしまった子供のように小さくなった。 少し目を離している隙にお餅はどんどん膨れ上がって、そして、中から柔らかい部分が飛び出てきた。お餅は倒れ

          2018.01.02

          2018.01.01

          リセットに良い日だよ。 ポストには簡単に数えられるくらいの枚数の年賀状が入っている。幼い頃は誰がポストを覗きに行くかじゃんけんで決めた。もちろん、取りに行きたくて。それなのに今は、なんとなく面倒で。 今日も初詣で家を出たついでにポストをのぞいた。 そういえば、住所を教えあうことも減ったな。必然的に、人生の節目を分かち合った大切な人としか年賀状を送り合うこともない。わたしのことをよく知っている人たち。一緒にいないときに顔を思い浮かべながら書く一言。   元日は、人生のリ

          2018.01.01

          2017.12.31

          時間の単位は難しい。 1日、1週間、1ヶ月、1年。 1分、1時間。 人間生活を営むうえで避けては通れないのだけれど。 やる気、とか モチベーション、とか。そんなことはじゃなくて。 時間も、生き様も、自分の中にあるものだ。 自分の腹に命を宿す。 なんて不思議なことなのでしょうか。

          2017.12.31

          2017.12.30

          贈り物の季節は悩み事がふえる。 献立が偏る。 それでも、わたしも贈り物をやめることはしない。

          2017.12.30

          2017.12.29

          スーパーマーケットからの帰り道。 救急車をみた。 耳のそばで音が変わって。 通り過ぎたところで音がなくなった。 左手にあったはずの買い物袋は地面に叩きつけられていた。 何事もなかったかのように拾い上げる。 たまごが2つ割れていた。残りの4つを冷蔵庫にしまった。

          2017.12.29

          2017.12.28

          豊かさ、ってなんだろう。 これが分かれば生きやすくなるんでしょうね。 キミはそんなことを言いながら、冷蔵庫の中とにらめっこ。 お味噌汁の具なんてなんでもいいんだ。 この時間が当たり前になればいいのにな、なんてぼくは考える。

          2017.12.28