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100年前と現代の人の共通点/『ラスカル』ナショナル・ストーリー・プロジェクトより

こんにちは!
此島このもです。

先日から『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』という本が、生きる時代も住む場所も全く違う人の生活を知ることができて素敵なんだよ! と語っておりました↓(リンクは貼りますが読まなくてもわかるように今回の記事を書いています)

今回も『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』「動物」の章から一編をご紹介します。

スカッとジャパン的な痛快さのある物語『ラスカル』です。

『ラスカル』

ストーリーをご説明する前にまずお伺いしたいのは、

クー・クラックス・クランってご存知ですか? ということ。

クー・クラックス・クランとは本文を引用すると「黒人とユダヤ人を社会から抹殺することを目的とする」秘密結社。その歴史を見ると脅迫、暴行、殺人まで行なっているど直球の人種差別団体です。

関連する映画とかもありますね。

↑刑事が潜入捜査する話です。見ようと思ってウォッチリストに入れてるけどずっと見てない…これを機に見ようかな。他にも検索したらいっぱい出てくるけどその暴力的な実話に胸糞が悪くなると思うので影響を受けやすい方は注意してね。でもそういう事実を知ることは必要なことだから頑張って生きていこうね💪


さて話を『ラスカル』に戻して、

この物語の筆者イエール・ハフマンが住む町ではカトリックがその攻撃の対象となったと書いてあります。

筆者の父親のところにもカトリックをボイコットするよう匿名の脅迫電話がかかってきたそうです。

筆者の父親が抵抗すると、報復の対象にされたのは妻(筆者の母親)でした。不倫していると中傷されて教育委員会選挙なるものに惨敗したそうです。

物語のテーマとは直接関係しませんが私にはこの部分がすごく印象に残っているんです。なんて卑怯なやつらなんでしょうね。

匿名で中傷を流すなんて現代のSNSみたい。
匿名で正体がバレないからといって驚くほど倫理を無視した行動をとる人がいますよね(そして裁判沙汰になってから慌てる)。

これは100年ほど前の出来事だそうですが、人間のサガはそれくらいの年数では変わらないことがよくわかりますね。


さて、肝心な物語の主題は、ある町でのクー・クラックス・クランの最期です。

秘密結社が堂々たる姿で威厳のある行進を行っている最中に、意外なきっかけから匿名性が失われてしまう。先頭を歩いているグランド・クリーグル(不勉強でグランド・クリーグルとは何なのかがわからないのですが先頭を歩くのだからきっと偉い人なんでしょうね)が誰なのかが知られてしまうのです。その転換がすごい。

面白かったのは「秘密結社」「威厳のある行進」と「正体が知られてしまうきっかけになったもの」との落差ですね。大変おかしみがありました。

そしてすでに正体が知られているにも関わらずそれを追い払おうとする滑稽さ。笑いが人の列に伝わっていく速さ。

短いのに読みごたえがあり、痛快な展開が面白かったです。

そしてグランド・クリーグルの正体が知られた行進が、その町でのクー・クラックス・クランの最期となったそうです。

もちろん、クー・クラックス・クランが終わりを迎えた大きな理由として、本来威厳があるはずだった行進が滑稽なものとなってしまったことがあるでしょう。

しかし私は匿名でなくなってしまったことももちろん関係していると思います。

正体が知られてしまったあとに脅迫や中傷をしても自分の首がしまるだけですからね。


私もこうしてペンネームでブログを書いたり、本名とは一切関係のないハンドルネームでSNSを行っています。

それは本名を隠して他人に害を与えるためではなく、匿名であることが自分を守ってくれると思うからです。

ただ、私もSNSは誰でも見られることを忘れて「〇〇な人は××だ」など当事者が目にしたら傷ついてしまうようなことを書いてしまっているかもしれません(書かないように心がけてはいますが)。

匿名ではあっても、本名でも堂々と言えることだけを発信するよう、忘れないでいたいと思います。

次の話↓



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