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「文章には必ず宛先がある」ということ

以前より友人・知人のSNSを通じて気になっていた、江角さんの「ライターお悩み相談室」に、思い切って足を運ぶことにした。その一番の理由はゲスト・青山ゆみこさんだった。

私が青山さんを知ったのはいつだろう? きっかけは何だったのだろう? と思い返してみても、これ! というものは実はない。ただ、介護の領域で頑張る友人が青山さんの著書を読んでいたこともあり、おそらくはそちらから青山さんを知ったのだと思う。それからはTwitterでの発信を追いかけたり、『ほんのちょっと当事者』(みんなのミシマガジン)を読んだり、そうこうしているうちに、青山さんの「ことば」を好きになった。そうして青山さんのファンになった。どんな思いでことばを紡ぐのか、他者と向き合うのか、己と向き合うのかを知りたくなった。そんな青山さんがゲストなわけで、申し込まない理由がどこにも見当たらなかった。

主催の江角さんとゲストの青山さん、それから参加者6名の計8名による「お悩み相談室」。「会」ではなく「室」ということばがぴったりだなぁと写真を見て感じる。一室にちょこんと座る。最初のちょっとした緊張感が徐々に和らいでいくのが本当に心地よかった。

取材準備や取材当日の心構え、すごいと思うライター像、仕事の幅の広げ方や書くうえで心がけていること、など、事前に江角さんがまとめてくれた参加者からの質問と、それに対する青山さんの回答はどれも学びあるものばかりだった。

「自分のなかは空っぽ」という青山さんの一言が印象に残っている。だから、書くのだと。「文章には宛先があって、相手が必ずいる。そこに伝わっているかが大事」という言葉は、発信をためらう私の心をふわりと軽くしてくれるものだった。

ある一人の読者に届けられたらそれでいい。

同じようなことを別の方も言っていたな、とプロライター大阪道場の講義を思い出した。そうか、それでいいのか、むしろそれが大事で忘れてはいけないことなのだ、と今一度胸に刻む時間となった。

私が住む街から出町柳は控えめに言っても遠い(参加者の中には福岡から来られていた方もいて、頭の下がる思いになったけれど)。でも、行って本当に良かった。濃密で自分のあらゆる感性が刺激を受け、敏感になっていくのに、それが心地よく、知らない間にたまっていた心の澱が流れ出ていくようだった。

この日いただいた数々のことばを胸に、これからも真摯に向き合っていきたいと思う。

青山さん、江角さん、本当にありがとうございました。

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