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【言霊ピンポン】第9週

No.55:sideH
「死すべき人間にとっての悲嘆」
(アンデルセン『絵のない絵本』)

童話では、プリンセス・冒険・お宝などが子どもにわかりやすい言葉で描かれる。けれど『絵のない絵本』では、子どもにわかりやすいとは到底言えない言葉を使っている。
「死すべき人間にとっての悲嘆」
なんて、子どもがサラッと理解できるとは思えない。が、たぶん、よくわからないが深い…ということはわかる。これが、子ども心に素晴らしく心地よかった…ことを覚えている。


No.56:sideM
「冒険するヒロイン」

アンデルセンの「雪の女王」で、少女ゲルダは雪の女王にさらわれた少年カイを取り戻すため、旅に出る。
数多の童話のお姫様のように運命に振り回されるどころか、大切な人のために自ら運命を切り開くヒロイン。
なんてカッコいいんだ!幼い私は彼女に憧れ物語にのめりこんだ。それにしてもなぜこんなに時代を先取りした先鋭的なヒロイン像が生まれたのだろう?今この時代にこそ原作準拠のアニメ映画化を切に希望。


No.57:sideH
「この物語に主題を見出そうとする者は起訴される。教訓を見出そうとする者は追放される。プロットを見出そうとする者は射殺される」(『ハックルベリー・フィンの冒険』マーク・トウェイン)

この言葉は「警告」として物語の冒頭に書かれている。
わざわざ書かなくてもいいこの文を、この作家があえて書いたのは、戦争や差別がヒートアップしていく時代に生きたから、小説が「主題や教訓」によって利用されたくなかったからじゃないかな?と思うのです。


No.58:sideM
「Black or White」

Mジャクソンのドキュメンタリー映画を観た。世界一のキング・オブ・ポップ。栄光と孤独。光と影。黒と白。アメリカという国のあらゆる矛盾と混沌を抱えたスターだったのだと、今こそよくわかる。


No.59:sideH
「渾沌に目口をあける」

莊子に出てくる『渾沌』は、目口鼻耳がない生き物。そこに、無理に目や鼻の穴を開けたら、渾沌は死んでしまったとか。

それはそれで存在しているのに、人間が「このほうが生きやすいだろう」と勝手に思い込んで目や鼻をつけちゃいけない。
存在をそのままに認めよう…渾沌は、そこにあるのだ。


No.60:sideM
「猫の目の虚ろに映る施餓鬼壇」(松宵)

猫がじっと見てるのが仏壇だったりすると、えっ何かいる?怖い系?ってなるよねっていう。
まあたいてい虫とかのオチなんだけど。
ちなみに季語は施餓鬼壇(初秋)。


No.61:sideH
「無財有財」

餓鬼には、
無いものを欲しがる無財餓鬼と、
持っていまっめ誰にもあげない有財餓鬼がいるらしい。

確かにガキ=子どもって、このどちらの要素を持っている。これらを捨てられた人だけが大人なんだろう。

取材、執筆のためにつかわせていただきます。