見出し画像

【言霊ピンポン】第11週

No.68:sideM 「変若水(をちみず)」

昔々、月の神は使者を遣わして人には変若水(不死の水)、蛇には死の水をかけようとした。が、使者の手違いで逆の水をかけてしまい、蛇が不死に、人は死ぬさだめとなったという。これは沖縄の不思議な伝承だが、不死の蛇=悪魔、永遠の命をもらいそこねた人間、月からもたらされる不老不死の薬…と神話や民話との共通項が多い。遥か昔、「お話」のおおもとになった出来事があったのかもしれないなあ、などと想像するとなかなかロマンだ。


No.69:sideH「不死の山」

竹取物語のかぐや姫は、使いが来て月の世界に戻る。その際、帝に不死の薬を託すものの、帝はそれを高い山の上で焼いてしまう…その山が不死の山、富士山。この薬を持ってきた月の使者たちの言い草が酷い。地上を「穢い所」と呼び、かぐや姫については「罪人だから、この地上に島流しになった」と説明している。地上は、そのくらいひどい場所なのだと語られているのだけど、ある意味、確かに、罪人だらけの場所…なのかもしれないなんて思う今日このごろだ。


No.70:sideM 「once in a blue moon」

昔、ブルームーン探偵社という海外ドラマにハマっていた。男女のバディもので、主役はまだ髪がフサフサな頃のブルース・ウィリスだったな…なんて思い出しつつ「あれでもなんでブルームーンなんだ?」と疑問が出てきて調べてみたら、月が青く見える現象は珍しいため「極めて稀なこと」「あり得ないこと」転じて「奇跡」という意味があるらしい。なるほど、様々な謎を解く奇跡のような探偵社、ということかと数十年ぶりに腑に落ちた。


No.71:sideH「非共感力」

探偵という職業に必要なものは、たぶん、非共感力だと思う。ホームズもポワロも、榎木津礼二郎もF・マーロウもみんな共感性が薄い。要するに犯人や依頼人の気持ちに入り込み過ぎたら仕事にならない…ということ。よく考えてみれば、探偵ならずとも非共感力は必要。だって誰かに共感しすぎては己を失ってしまうから。ナウシカだって蟲に入れ込みすぎて死にかけていたしね。


No.72:sideM 「ファーストコンタクト」

例えば、宇宙の果てで地球ではない星出身の存在に出会って。人間どころか地球上のどんな動物いや生物にも似ていない、コミュニケーションの手立ても見当もつかないモノだとする。そして、あなたは地球代表の外交官である。この宇宙人(?)との関係次第では地球が危うい。さて、あなたならどうする?「それ」に好意を持ってもらうために。その答は以下のシリーズ中に… 星へ行く船シリーズ1星へ行く船 


 No.73:sideH「また微熱つくつく法師もう黙れ」(川端茅舎)

俳句ってちょっと遠い存在だった。だから「ああ、俳句ってこれか」と、己が俳句にコンタクトできのは、この句が最初だったと思う。それから、

「虹立ちて忽ち君の在る如し」

「虹消えて忽ち君の無き如し」(高浜虚子)

この二句は、「そうそう、わかる〜」と俳句にキュンを感じた最初のもの。


No.74:sideM 「七姫」

秋去姫、薫姫、ささがに姫、百子姫、糸織姫、朝顔姫、梶の葉姫…これらは皆、七夕の織姫の異名だそう。総称して七姫、ちなみに秋の季語。季語を知れば知るほど、日本語の奥深さ美しさにハッとさせられる。


取材、執筆のためにつかわせていただきます。