わたしより上手なひと、たくさんいるし。
ジェルネイルにこだわっていた時期がある。仕事がしんどすぎて、つめがかわいくないとやっていられなかった。それだけが癒しだった。
かわいいつめは最強だ。目に入るたびに「はあ、こんなにダルくてもつめはかわいい。最高。」っていちいちテンションぶち上がる。
デンマーク人の友達が、ネイルサロンでジェルネイルをしたらしい。そのキレイな爪に、「このペンで漢字書いてくれない?」と友達がサインペンを差し出してきたのだ。
「え、気分を左右するつめを、わたしに捧げてくれるの?!」ととっても驚いた。でもうれしくて、高2で止まっている自分のハンドライティングを悔やみながら、お受けすることになった。
彼女の要望は家族の名前と、わたしの名前を書くこと。小指にはこの名前、親指にはこの名前、と細かく書かれた指示書をもらった。
ひらがなカタカナよりも、漢字の方が「美しく」見えるようで、全て名前を感じで書くことに決める。意味や見栄え考える時間は楽しくて、Googleの検索履歴はあっという間に、子供が生まれるひとのそれになった。
普段は喫煙所になっている開放的な場所で、ネイルサロンを開いたのは世界でわたしだけだろうと思った。(海沿い)
海岸で拾った石が、最高に指を置く台のようなカタチをしていた。日本では絶対ネイリストになれないと思っていたから、思わずネイリストっぽいことをできたことが嬉しい。(親もびっくりするほど手先の細かい作業が苦手)まあどちらかと言うと彫り師かもね。
正直、わたしの文字はキレイではないし、手先も器用ではない。だけれども、そのひとはわたしの文字を見て「美しい、、、最高!」と感嘆してくれた。わたしがサロン帰りのつめを見て「うわ〜〜んかわいい〜」とテンションが上がっていたように。
「漢字を書く」なんて、わたしだけの才能じゃないと思っていた。字もキレイじゃなきゃいけないと思っていた。
でも、「ひとと比べたら上手じゃないし」って思うことも、場所を変えたら勝てることがあるのかもしれない。
もちろんひとと比べて「もっとうまくなるぞ」っていう向上心は、わたしは絶対持ち続けたい。
でも、うまくなるために、誰かと戦う必要はないのかもしれない。
「え〜どうしよう!ぎゃああバランスが〜!!アハハハハ!」とわかりやすくテンパるわたしに友達は、「もし、書き間違えても誰も気づかないから大丈夫!」と励ましの言葉をかけてくれた。
たしかに。そうだよね。それくらい、気楽でいいんだよね。
日本人の友達が見たらきっと笑うだろうけれど、目の前のひとが「美しい」と喜んでくれるなら、きっとそれ以上の満足はない。
わたしができる「ひとを喜ばせること」は意外なところにたくさんある。
「わたしより得意なひといるし」って思うことでも、喜んでくれるひとがいる。
お返しの愛は無限大、一緒に幸せに貪欲になりましょうね!!