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彷徨うおっさん17 嫌悪されるオタク(1/6) ついていけない拘り

 おっさんが若いころ、今から20年ぐらい前だろうか、オタクというのは些か差別用語的なレッテルだったように思う。古くは機械いじりや乗物の愛好者などに始まり、比較的近代ではマンガ・アニメ・ビデオゲームの愛好者が、一括りにオタクと呼ばれていたこともある。だが、言うまでもなく、これらコンテンツを好むからと言って、それだけで嫌悪されるのかというと、そういう訳ではない。
 にもかかわらず、現代においても、なんとなくオタク趣味はネガティブな印象をぬぐい切れていないようにも思う。

 今回は、そんなオタクがネガティブに扱われる現状について、おそらくその悪いイメージをまき散らす「嫌なオタク」について、おっさんの経験を交えて考察したいと思う。
(※以後本稿シリーズでは良いオタクと嫌なオタクを分けて話をしたい)

<ついていけない拘り>


 何年か前に都内一円で、JRによりガンダムスタンプラリーが企画されたことがあった。おっさんはその世代よりもやや若いが、ロボットモノは割と好きで、ガンダムも一通り見ていたので、参加することにした。
 その時に、そのことを話題として上司に話したのだが、これが失敗であった。その上司は典型的な嫌なオタクだった。

 まず協力してスタンプを集めようという話になり、上司の弟も関わってきて、1冊だったスタンプは合計で7冊になった。

おっさん「流石に多いですね。これだけ持ってダラダラやってると嫌な顔されますよきっと。」

上司「だから急いで押さないとね。周りを見て列ができるようだったら並びなおすとかさ。

おっさん「3つ、いやせめて5つぐらいにしましょうよ。」

上司「いやいや。。。オタクだったら保存用観賞用(以下略)

 面倒くさいことこの上ない。マナーよりも欲望優先。説明不要な程、嫌なオタクとはこういう人と分かる。

 また、あくる日おっさんが何駅かでスタンプを押して戻ってきた時の話。

おっさん「ちょっと1冊だけズレちゃいましたけど、まあ、あたしゃこれでいいんで」

上司「それは甘いよ~。オタクたるもの丁寧に仕上げないとね。それに1ページ1ページ紙を挟まないと汚れちゃうから次から気を付けてね。

おっさん「いや、そこまでやらんですよ流石に。」

(無視して)

上司「もっと言うと、この5駅達成スタンプの部分なんだけど、全部に押しちゃってるけど、押すなら1冊だけにして欲しいな。

おっさん「そんなこだわり分かりませんてば」

上司「君もまだまだだね。オタクとは(以下略)

 うぜえ。この時点でもう辞退すればよかったが、一先ず7冊を渡して何日かした時のこと。。。

上司「昨日30駅押さえてきたよ、残りは〇〇方面だからよろしくね。」

おっさん「え!? もうそんなやっちゃったんですか? あたしが回る分、もう無いじゃないすか。

上司「いやいや、弟と一緒に一日乗車券で回れるところ全部終わらせちゃったんだよ。」

おっさん「あれ? 冊数増えてないですか?」

上司「うん、押し直したからね。全部で9冊。半紙もはさんであるからそれも使ってよね。

おっさん「いやもうここまでやられたら俺の出る幕無いですよね。やめますわ。

上司「いやいや、オタクたるもの最後までやりきってもらわないと、うんたらかんたら(以下略)

結局断ろうとしても
「最後の一息だし、コンゾー君の方が家が近いのだから」などと幾つも理屈が出てきて引き下がらなかった。挙句、
「プラモの受け取りは全部やっておくよ。何度も貰いに行くのは大変だろうからその分の負担は請け負うよ。」
 などと、自分がやりたいことを一方的に表明して押し切ってきた。オタクでもないし、プラモなんて要らないんだが。。。

 どちらにしても平行線、一応上司でもあるので顔を立てつつ、渋々引き受けた。
こういうのが嫌で、近年は職場ではドライな人間関係が増えたようにも思う。

 さて残り10駅を切っていたとはいえ、ここからは罰ゲームである。家はおっさんが近いとは言っても、結局あまり行かない方面であるし、冊数は増えるし、要求は増すし。。。

 一方イベント中はこんな会話が各駅で見られたものだ。
 親子連れで子供が台紙にスタンプを押しながら。。。

子供「パパこれ違うよ?」

父親「ん? 押すところ間違えちゃったか、いいよいいよ、隣に押しておけば同じだから。」

子供「横に押してるの!」

父親「横? スタンプが寝てるってことか。」

子供「そう、変じゃない?」

父親「うん、そうだね。でもまあいいじゃないか、そこでカードと交換しような。」

子供「うん。」

 オタクの拘りに付き合うのではなく、我が子とこんなやりとりを楽しむ方が幸せだ。どうせお祭りなのだから緩くやりたい、それをクソどうでもいい仕事に変えてくるとは。
 自分の拘り一色で他者との折り合いをつけることができない。こうした気質が、嫌なオタクの特徴の一つではないだろうか。

次回に続く

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