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読了のおっさん11 葬送のフリーレン(山田鐘人(原作)、アベツカサ(作画)/週刊少年サンデー)

今日も、おっさんが全巻読んで面白かった漫画をご紹介です。
個人の感想であり、感じ方はそれぞれなれどご参考に。
概要的なネタバレは含みます。

葬送のフリーレン
(山田鐘人(原作)、アベツカサ(作画)/週刊少年サンデー)
2020年〜 既巻12巻 連載中

① タイプやテーマなど
 少年漫画、剣と魔法、ファンタジー、勇者の物語、長寿、人間の心、精神、他者理解、悔いのない人生、巡礼、冒険

② 簡単な内容
 勇者一行が魔王を討ち果たした後の物語。主人公でエルフの魔法使い「フリーレン」は、かつて勇者と一緒に旅をして魔王を倒した仲間の一人であった。平和になった後、勇者が老いて死を迎えると、実は自身が、人間としての勇者に、生前それほど向き合えていなかったことに気がつき、涙することになる。
 かくて勇者の足跡をたどり、再び勇者と語らうために、フリーレンは昔の旅程を辿ることになる。

③ 読みどころ
 ストーリー全体として、人間とは如何なる存在であるかを、考えさせられる。
 成長し、語らい、有り様に従って振舞い、短い人生を懸命に生きる。そうした人間の生き方に比べて、作中では「ごく長命」であるエルフの日常は淡白である。故に人間が二人称、あるいは三人称で語られ、客観的立場から理解を示すスタンスが見られる。
 フリーレンだけでなく、同じ人間キャラクターでも、年長者は客観的に若い人間(またはかつて若かった自分)を見て(あるいは振り返り)、心情についてどう整理するか、折り合いをつけるか、あるいは挑むのかといった哲学を、端的に語るシーンがある。
 剣と魔法の世界、美しい背景、テンポの良い冒険ストーリも見どころだが、世界や人間について核心をついた台詞回しやエピソードが随所にあり、読みどころである。

④  雑多な感想
 アニメも放映されており、ほぼ原作どおりの展開で続いている。原作も美しいが、アニメの音楽や絵、お芝居も素晴らしく、おっさんも毎週楽しみにしている。
 僧侶系のキャラクター達が自由奔放で、締めるときは締めるという印象的な人物で描かれており、かなり好きになれる。また、人間哲学を語る役割や、狂言回しとしても機能しており、物語のテーマに欠かせない存在でもある。
 バトルシーンは単純ゴリ押しでもなければ、優れた智謀をめぐらせたものでも無いが、仲間同士の協力や、個人の成長、そして「仲間を信じる」という部分が強く前面に出ているように思う。おっさんはこうした「人の心」を描いた物語が好きで、最近の新しい作品の中では一番のお気に入りでもある。

⑤ その他
 フリーレン一人旅ではなく、弟子となる魔法使い、戦士らがおり、かつての仲間と繋がりの深い人物達でもある。また、この二人は若く、それ故に、とても人間の本来的な感情が溢れ出ている存在でもあり、戸惑いながらも一緒に行動するフリーレンは読んでいて微笑ましい。
 また、登場人物のうち、年長者の言葉に共感してしまうことが多いため、おっさんはやっぱりおっさんなのだなと再確認すると共に、少年誌でありながらもかなり大人向けな作品なのでは無いだろうかと思う。
 子供の情操教育にも読ませたいなと考えている。


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