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読了のおっさん5 陸奥圓明流外伝 修羅の刻(川原正敏/月刊少年マガジン)

今日も、おっさんが全巻読んで面白かった漫画をご紹介です。
個人の感想であり、感じ方はそれぞれなれどご参考に。
概要的なネタバレは含みます。

陸奥圓明流外伝 修羅の刻
(川原正敏/月刊少年マガジン)
1989年〜 既刊18巻 2024年1月現在 新章連載再開

① タイプやテーマなど
 時代劇、少年漫画、格闘技、日本史、剣術、異説、オムニバス、外伝

② 簡単な内容
 修羅の門の主人公、陸奥九十九の祖先達が活躍する陸奥圓明流(架空の古武術)物語の外伝。平安時代、戦国時代、江戸時代などあらゆる時代の名のある兵法者達(宮本武蔵や柳生一門、新撰組など)と勝負し、陸奥圓明流こそが古今無双であることに挑み続ける物語。
 「歴史の影に陸奥あり」のキャッチフレーズのとおり、我々がよく知る日本史の異説としての陸奥の活躍が描かれている。

③ 読みどころ
 歴史の軌跡を追いながら、陸奥が巻き起こす様々な歴史上の奇跡を楽しむことができる。ヒーローとしての陸奥、敵役やライバルとしての歴史上の兵法者、そして魅力的な姫君と、本当に王道のストーリー展開で痛快でもある。
 本伝の「修羅の門」を読むと、陸奥圓明流という古武術の古今無双ぶりが分かるので、そちらもお勧めしたい。作中何度も言及されているが「人を殺すための技術」という側面から、国内の有名な様々な紛争・抗争で大活躍である。
 基本はサクサクと読み進められるが、実は歴史についてとても丁寧に調査し、考察されていて、物語上もそうであるが、武将の鎧といった作画部分や、将軍が催した御前試合の人選といった細かい内容も、しっかり読むと沁みる。

④  雑多な感想
 作者の川原正敏先生は「海皇紀」などのファンタジーも手がけている。先生の、国があって、人がいて、その中で何がどのように動くといった世界の描き方に、おっさんは心地よさと好感を持っており、作品と同時に作者のファンでもある。
 本作も、史実を元にしている物語であるが、陸奥がとても違和感なく(違和感なくという言い方もなんとも言えず失礼なのだが)その中に入り込んでいて、客観的異説としても、主観的ヒーロー物語としてものめり込める。
 また、おっさんは本作はアニメから入ったのだが、名作時代劇の一つといった感じで、今も時々視聴したくなる。
 内容面では、特に人間描写が面白いかもしれない。歴史上の人物の人間性は当然、証拠が少なくハッキリしない事ばかりだが、例えば宮本武蔵編の沢庵和尚、寛永御前試合編の柳生宗矩や柳生兵庫助の描き方が、他の漫画作品や小説などと比べてもかなり好きである。

⑤ その他
 よく知る格闘漫画は、技や強さの描写、修行によるパワーアップ、仲間達との共闘といった内容が多いように思う。それはそれで良いのだが、修羅の門シリーズの主人公たる陸奥は、常に最強かつ孤独な存在として描かれていて、強さの描写よりも、戦う生き甲斐や喜びのようなものを前面に描いているように思う。
 そこにカッコ良さも感じるのだが、これって色々な物語に入り込める可能性があるなとも思った。異世界ものの主人公も、無双したりボケーっと一人で活動しつつも強者を引き寄せたりと、ちょっと似た感じがあるよなと思っていたら、なんと「修羅の紋」という異世界転生もののスピンオフが出ていた。作者は異なるが、スピンオフには納得して興味が湧いた。


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